やっぱり結婚も格差社会が進行中? 経済学から見たパートナー選びのトリビア4選+α

恋愛・結婚

更新日:2016/1/13

 人は、結婚相手や付き合う相手をどのように決めるのだろうか? 現在パートナーがいる人に「なぜこの相手を選んだの?」と聞けば、「好きになったからに決まっているでしょう」との答えが返ってくるだろう。そこで再び質問をしてみる。「なぜ好きになったの?」。回答には、「優しいから」「誠実だから」など長所がたくさん挙げられるはずだ。ただ、同じ長所をもつ人は世界にごまんといるのに「なぜこの人なのか?」となると、本人でもよくわからないのではないだろうか。

 人を好きになったり、恋人になったりするのは、さまざまなプロセスを経ての結果だ。ましてや結婚する相手ともなれば、「なぜこの人なのか?」の理由をはっきりと説明するのは特に難しいだろう。「運命の赤い糸」といった非科学的理由が受け入れられるのもよくわかる。

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 しかし、この疑問にマリナ・アドシェイドという経済学者は科学的に答えを出している。その著書『セックスと恋愛の経済学 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業』(マリナアドシェイド:著、酒井泰介:訳/東洋経済新報社)から、経済学の視点から考察された“パートナー選びの選択傾向”をピックアップした。

経済学のデータと理論がはじき出した、パートナー選びの傾向

1 金持ちのイケメンと貧乏人のイケメンがいたら、女性は貧乏な方を選ぶ!?
 女性が結婚相手を選ぶ時、容姿以外の条件が同じならば、顔立ちの整った方を選ぶのは、身も蓋もないが事実であろう。では、同じ顔、同じ背恰好の男性が2人いて、片方はお金持ち、片方は貧乏とする。女性はどちらを選ぶのだろうか?

 結果は、驚くべきことに貧乏な方だという。これは、お金持ちの男性の方が浮気をする確率が高いという無意識が働くから。つまり、女性は浮気をされるリスクより、安定した関係が築ける確率の高さを選ぶのだ。

2 選んだ相手は自分の鏡…
 人は、自分と似ている相手とパートナーになりやすいそうだ。とはいっても、双子のように顔や姿が似ているということではなく、レベルの問題である。例えば、容姿に自信がある人は容姿のレベルが高い人を、頭の回転が速い人は速い人を、収入が高い人は同じく高い人をといった具合だ。

 これは、出会い系サイトでのカップル成立例を見ると顕著だという。サイト内で人気がトップ10パーセントに入る人物の心をつかむには、恋愛市場において自分も上位に入っていないと難しい。そして、一般社会の中でも、人はこの法則に無意識に従っているというのだ。

3 自分から告白する時は、高嶺の花を相手にしている
 著者によると、多くの人が「自分は平均的な人よりもユーモアがあり、賢く、親切で、見栄えが良く、セックスが上手い」と思っているそうだ。このため、客観的に見れば、恋愛市場的には同レベルの人から告白されたとしても、「自分はこんな相手では満足できない」という理由で、お断りしてしまうことがあるとか。つまり、自分から告白する相手というのは、恋愛市場で客観的に見た場合、自分より高価値の相手ということになる。

4 恋愛も格差社会!?
 世の中が格差社会と言われるようになって久しいが、パートナー選びにおいても、高収入の男女同士が結ばれる確率が高いという。出会いの場であるコミュニティが、収入によって分離していると考えれば、当然の結果だろう。

 冷や汗をかくのは、結婚の結果だ。男女とも高収入の2人が結婚した場合、世帯収入は低収入同士で結婚した2人に比べて、遥かに豊かなものとなる。その差はひとりずつの年収を比べた時よりも大きくなり、格差が拡がったことになるのだ。

 以上4つを取り上げてみたが、無意識に行われる行動をこのように論理で述べると、「恋愛市場における自分の価値」という現実を突きつけられるようで、なんだか落ち込む。そこで、最後に、幸せな未来に繋げるべく、近年新たに浮上してきた良きパートナーの条件を1つ紹介しよう。

“新”幸せな結婚に適したパートナーは「長所が異なる人」

 かつては、結婚相手を選ぶ要素として、男性に学歴と収入、女性に家を切り盛りする能力が求められた。一昔前の家庭モデルは、「男性が生計の糧を稼いで、女性が育児と家事をする」というものだったからだ。

 しかし、現在は男女共に生計と家事育児を担うようになっているので、徐々にこの基準は崩れつつある。そこで新たに重要視されるようになった要素が、「互いに優れている点が異なっていること」だという。理由は、家事を分担する時に、得意なものが重ならないほうが効率的だからだとか。

 例えば、1人が子どもを寝かしつけている間に、もう1人が食器を洗う。このような時間短縮と質の向上が、幸せな結婚生活のポイントだという。男女とも仕事が終わって、家での自由な時間を確保したいと思ったら、最小の時間と手間で家事を片付けたいと思うのは当然だ。それに、得意なことをやる方がストレスは少なく、楽しく協力しあえるというわけだ。

 結婚生活にも時間と効率が求められるとは世知辛い時代かもしれないが、実際の生活を思うと、無視できないポイントである。

 とはいっても、知識と理性だけでは恋も結婚もできないのが現実。人がどのような選択をしやすいのかを頭の隅に置きつつも、出会いを運命と信じて前進した方が幸せな気持ちになれそうな気がするのだが、どうだろうか。

文=奥みんす