フランス人がお手本! 女性が幸せになれる仕事とのかかわり方とは

ビジネス

更新日:2015/4/10

 フランス人女性は、日本人女性にとって憧れの存在のようだ。ファッションやグルメを始め、ライフスタイル全般にわたってお手本になることが多く、おしゃれで洗練されたイメージがある。では、仕事についてはどうだろう。

 フランス人のビジネスウーマンが、自らの経験を元に、若い女性に向けて、仕事とのかかわり方をアドバイスしたのが、『フランス女性の働き方』(ミレイユ・ジュリアーノ:著、羽田詩津子:訳/日本経済新聞出版社)だ。本書から、その仕事ぶりを覗いてみよう。

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●ビジネスマンとビジネスウーマンの働き方は違う!

 ビジネスの多くの面で、一昔前に比べると男女の権利は平等になった。しかし、ビジネスの構造自体は、長い歴史をかけて男性が中心となって作り上げてきたもの。いくら女性が活躍できるようになったとはいえ、基本的には“ビジネス=男性社会”だ。そして、ここには多くの競争が存在する。売り上げ、仕事の正確さ、スピード、コミュニケーション能力、そして出世だ。

「一般的に、男性のほうが女性よりも競争に慣れている」と著者は言う。また、男性は競争した相手と後に友情を築くことが容易いが、女性は競争相手を脅威と見做すことが多いそうだ。つまり、女性は男性よりも競争にストレスを感じやすいと言える。

 このような中で、女性が快適に仕事をするには、どうすればよいのだろうか。いくつかのアドバイスを抜粋してみよう。

1、自分の望みを管理する

 多くの人が望む、将来の成功。成功とは一般的に、ビジネスで大きな利益を手にすること、大きな権力を手にすることを指す。しかし、これは男性的な考え方。女性の場合は、成功を仕事の中だけではなく、人生全体の中に設定した方が良いという。世界平和への貢献を目標にしても良いし、温かい家庭を作ることを目標にしても良い、音楽で人の心を癒すことを目標にしても良い。自分の成功は自分で定義しよう。

 多くの女性の人生には、子どもを持つか持たないかを選択する場面が訪れるだろう。必ずしも家の跡継ぎを産むことを求められる世の中ではなくなった現在、出産するかしないかは極めて個人的な願望だ。産んでも良いし、産まなくても良い。ビジネスでの名声か子どもか、どちらの望みがより自分を満たすだろうか。

 キャリアでの成功と子どもの両方を望むことも、また自由だ。ただし著者は、その場合は「そこそこのキャリアを築くことはできるだろう。簡単ではないが可能だ。しかし宇宙飛行士になると同時に、かいがいしい妻であり、四、五人の子育てを完璧にこなす母親になれる女性はめったにいない」と述べる。要は、自分の限界を見据えつつ、何を一番に望むのかをはっきりさせることが重要なのだ。

2、他人からの評価に囚われない

 周囲との関係により敏感な女性は、周りからの評価や視線を気にしがちだ。しかし、ビジネスにおいて、他人はそれほどあなたへの評価を気にしていない。

 ビジネスでは、「鈍感になること」「20%の騒音をあまり気にしすぎないこと」「コントロールできない事柄に、精神的、肉体的エネルギーを注がないこと」が大事な教訓だという。余計なことに心を砕く必要はないのだ。

 できないことにはノーと言って良いし、可能な限りビジネスパートナーを選んで良いし、転職もして良い。ただし、その場の感情に流されず、自分の最も望む状態から見て、自分に有利になる選択をするべきだと著者は強調する。

 そうは言っても、他人に良く思われたいというエゴは誰にでもある。捨てられるものならもうとっくに捨てている――と思った人は、著者のこんな言葉で開き直ってみよう。「もっとも重要なのは会社の業績であり、個人の業績ではないと認識するべきだ」。

3、自分の広告塔になろう

 職場で自分らしく振る舞えて居心地が良いならば、仕事上のストレスは限りなくゼロに近くなる。そのためには、「自分の内と外、両方に対して誠実にふるまう」ことが必要だ。同僚や上司に見せたい自分の姿はどのようなものだろうか。その姿にふさわしい振る舞い、声、雰囲気、服、アクセサリーをしているだろうか。

 人の目などどうでもいいという人も、自分の長所となる個性を見極めて欲しい。他人とは違う自分の特徴は何だろう。それが、今まで親の前や学校では出せなかったものだったとしても、個性は恐れず出してしまおう。きっと今までより快適な環境が築けるだろう。

 著者は、個性をアピールしていくことを「自身がブランドになる」と表現する。個性が他人の目に留まるようになれば、買いたいと言う人、つまり一緒に働きたいと思ってくれる人が現れるはず。その数が多いほど、さらに居心地の良い環境で仕事ができるだろう。

 その他、ストレス対処法を持つこと、ワーク・ライフ・バランスを考えること、など学校の就職指導では決して教えてくれないアドバイスに満ちた本書。著者の主体的に人生を創り上げていく姿勢が、魅力的だ。もちろん、人生仕事がすべてではないし、自分の力ではどうにもならないこともあるけれど、どうせならより賢く働いて楽しい毎日を送りたい。もっと言えば、世の中の働く人すべてに感謝の気持ちを抱きながら。

文=奥みんす