同性愛が割と普通!? すみだ水族館の飼育員に聞くペンギンの驚くべき生態

スポーツ・科学

更新日:2015/5/15

 最近、水族館に行きましたか? あわただしい日常から、少しだけ抜け出せる場所として大人気の水族館ですが、そこで生きものたちが元気にくらせる環境をつくり、守っていく飼育員という職業にも注目が集まっているようです。つい先日も水族館を舞台に飼育員のドタバタな日常を綴るコミックエッセイ『水族館で働くことになりました』(日高トモキチ/KADOKAWA)が発売されました。

 そこで、同書の舞台となったすみだ水族館の飼育員・高嶋悠加里さんに突撃取材。同館の人気者であり、自身が毎日世話をするマゼランペンギンたちの意外な生態について聞いてみました。

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 知っているようで知らないかわいいペンギンたちの生態に詳しくなれば水族館の楽しみも倍増、友だちや恋人にもうんちくを披露できるチャンス! それではさっそく見てみましょう!

その1 同性愛が割と普通である

マロン(左)とライム(右)は男子同士のカップル!
※残念ながら最近別れてしまったそうです

「はじめて見たときは何それっ!て感じでした(笑)。通常のカップル並みにいちゃいちゃしますよ。若い個体が同性同士で仲良くして、実際に異性にアピールするときの練習にするという説もありますが、オス同士のカップルに卵を渡したら、立派に雛を孵してちゃんと育てたというケースもあり、一概にそれだけが理由とは言えません。謎ですね」(高嶋)

 

その2 オスメス共に浮気する

わらび(中央/♀)はサワー(左/♂)とバジル(右/♂)で二股する悪女
※現在わらびはローズ(♀)と付き合ってるそう。自由すぎ!

「意外に思われるかもしれませんが、独身時代はかなり自由に恋愛を楽しんでいます。カップルとして成立する前はメスをめぐってオス同士でケンカしたりもしますよ。ただ、メスがどちらか一方を明確に選ぶともう一方は潔く引き下がるんですよね。ペンギンは卵を産んだら夫婦という認識で、そうなったらなかなか離れなくなります」(高嶋)

 

その3 常に空気イスをしている

ペンギンは実はヒザを曲げた体勢でしゃがんでいるのが普通の格好

「骨格図の通り、中腰姿勢というか人間で言うとつま先立ちの状態です。ペンギンは足が短く見えますが、実は見えてる部分が足首から下の部分だけだからなんです。なので引っ張るとびよーんと伸びますよ(笑)。これはペンギンに直に触れる飼育員だからこそ分かるのかもしれません」(高嶋)

 

その4 尻尾からオイルが出る

尻尾の付け根から出るオイルは水をはじく役割があるのだそう

「オイルを体に塗るのは撥水のためです。ペンギンは羽が年に1回しか生え換わらないので、傷んで抜けると泳げなくなって死活問題です。なので一生懸命にお手入れするんです。やり方も誰に教わったわけでもないのにみんな一緒で、くちばしでとったオイルをフリッパー(翼の部分)につけて頭とか背中に塗り、そこから足を使って再び頭に塗るといった感じです」(高嶋)

 

その5 立ったまま寝られる

寝ているときでもつま先立ちの状態だとか。ペンギンすごい!

「ペンギンは基本的に直立姿勢で寝ますが、夜も更けてリラックスしてくると、腹ばいになって眠る子も目立つようになります。寝方にも個性が出ますね。また、立って寝るときは必ずプールの方にからだを向け、パッと目をあければすぐにでも逃げ込める体勢になってます」(高嶋)

 

 さていかがだったでしょうか? なじみ深いペンギンにも意外な面がたくさんありますよね。このほかにも「実は無駄な指がある」「耳がある」「空中を飛ぶ」など知られざる生態もまだまだあるんだとか。このあたりのペンギンの秘密は水族館に行って飼育員さんに直接質問してみるといいのでは?

 

すみだ水族館では開業3周年記念企画が実施中!

現在行われているのは「Penguin Candy(ペンギンキャンディ)」「江戸リウム」の2つ。「Penguin Candy」は、プール全面で常時光の演出を行い、47羽のペンギンたちが光を追いかけたり潜って底面を啄ばんだりといった能動的な動きを引き出す新しい手法の行動展示。さらに1日5回、映像と音楽を使用し、5,000のポップでカラフルなキャンディを模した光の演出でペンギンプールを満たす特別コンテンツが見られます。

「江戸リウム」は、江戸時代より人々に身近な約2,000 匹の水生生物が「粋」と「雅」という2つのテーマでエリア分けして展示された新ゾーンで、天才画師・葛飾北斎の水生生物画を使用した空間構成が楽しめたり、煌びやかな装飾で彩られた空間で金魚の王様・ランチュウなどを鑑賞できます。

詳しくはすみだ水族館公式サイトで紹介されているので、チェックしてみて!

  • 「Penguin Candy(ペンギンキャンディ)」
  • 「江戸リウム」

 

↓すみだ水族館関連の書籍はこちら!↓

水族館で働くことになりました

日高トモキチ/KADOKAWA

ペンギン1匹ずつにごはんをあげ、毎日オットセイの体温を測り、潜水しながら掃除して……。分刻みのスケジュールで、毎日走り回る水族館飼育員。すみだ水族館を舞台に、そんな飼育員のドタバタな日常を綴るコミックエッセイ。「生き物相手の仕事」は、かくもタイヘンで、かくも喜びに満ちている!

飼育員だけが知っているペンギンたちの秘密の生活

中田啓子/文踊社

怖がりなのに好奇心旺盛。マイペースなのにたまにせっかち。一番目じゃなくて二番目が安心、行列にはとりあえず付いていってみる……ってどこか日本人に似ていませんか? この本は、すみだ水族館の飼育員の目をとおして描いた、愛情あふれるペンギンたちの生活の記録です。

魚たちが飛び出す! ARすいぞくかん

すみだ水族館(監修)/東京書籍

最新デジタル技術(AR)で、海の生きもののさまざまな魅力を体感しよう! 紙面に掲載されたマーカーにアプリをダウンロードして画面にかざすと、魚や海獣たちの3Dや、いま話題のチンアナゴなどの映像を見ることができる!

ゆらゆらチンアナゴ

江口絵理(文)、横塚眞己人(写真)/ほるぷ出版

水族館で大人気のチンアナゴ。ケンカをしたり寝ぼけたりと、さまざまな表情を見せてくれるのが魅力の生き物です。でも、その生態は意外に知られていません。本書は、親子で楽しめるチンアナゴの写真絵本。解説も入って読み応え充分です。

なになにチンアナゴ

※絵本アプリ「森のえほん館」内で配信中

「すみだ水族館」監修の絵本。チンアナゴが出題するクイズに答えながら、不思議なチンアナゴの生態を親子で一緒に学ぶことができます。さーかんがえて!ゆらゆらー