ポール・スミスも衝撃を受けた! 世界一エレガントで格好いいコンゴの男たち=サプール

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/20

  • サプール

 2014年12月、NHKのドキュメンタリー番組で取り上げられるやいなや大反響を呼んだのが、“世界一エレガントで格好いいコンゴの男たち”=「サプール(SAPEURS)」。

 サプールはコンゴ共和国の首都・ブラザビル郊外にあるバコンゴ地区を拠点にする、「エレガントであることに全てを捧げる」という志向を持った、世界でも例を見ない集団だ。彼らは高額かつ豪奢な衣服を購入するために働きお金を貯め、時間をかけて選んだハイブランドのスーツに身を包む。

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 しかし、ただオシャレなだけではない。サプールの特筆すべき特徴は、外見に気を配ること以上に紳士のルールを身に付けることを何よりも重視している点だ。「本物の紳士は礼儀や優しさを知らなければならない」という考えのもと、教養を身に付け、洗練された立ち振る舞いを体得。地元住人たちからもセレブリティーのように羨望の眼差しを集め、尊敬されている。

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オシャレで優雅な紳士協会
正式名称は、「オシャレで優雅な紳士協会(La Societe des Ambianceurs et des Personnes Elegantes)。略して「サップ(SAPE)」であり、それを体現するのがサプールである。

 「サップ」は、フランス統治時代に多くのコンゴ人たちがフランス流のエレガンスに憧れ、そのスタイルを真似ようとしたことが起源。1970年代から1980年代にかけてコンゴから多くの移民がフランスに渡り、その後「エレガンス信仰」を手土産にコンゴへ戻ってきたことで芽吹いた。現在ではキンシャサ、パリ、ブリュッセル、サウス・ロンドンなどに「支部」を持つ世界的な運動となり始めている。

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 2009年、そんな彼らを写した写真集がイギリスで刊行され、世界中のファッショニスタの間で話題になった。その写真集『SAPEURS the Gentlemen of Bacongo』(青幻舎)が、2015年6月中旬に日本でも刊行されることが決定した。イタリア人の写真家ダニエーレ・タマーニがサプールの中心的人物に会って撮影したスナップと、彼らへのインタビューを余すことなく掲載。また、彼らのファッションセンスに衝撃を受けたデザイナー、ポール・スミスの序文によって構成されている。

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 決して裕福とはいえない生活を送るサプール。エレガントであることに誇りと情熱を持つ彼らの生き様は、現代に生きる我々に多くの示唆を与えてくれる。この写真集は、ファッションの参考書に留まらず、人類史に残る一書と言えそうだ。

ダニエーレ・タマーニ
ミランを拠点に活動するイタリア人のフリーランス・フォトグラファー。過去数年にわたり、世界のアフリカ人コミュニティーにおける文化、信仰、音楽、ファッション、アートなどを掘り下げてドキュメントするプロジェクトを行っている。『Congo Dandies』というシリーズで2007年、キヤノンのヤング・フォトグラファー・アワードを受賞。2009年にサプールのスナップをまとめた写真集『Gentlemen of Bacongo』を「Trolley Books(英)」より刊行。2010年、その写真集がニューヨークの国際写真センター主催のインフィニティ・アワードの商業・広告写真部門で受賞した。本作は世界各地の美術館で展示が続けられている。

サプール■『SAPEURS the Gentlemen of Bacongo
著者:ダニエーレ・タマーニ
発売日:2015年6月中旬
定価:2,300円(+税)
総頁:224ページ
出版社:青幻舎

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