史上初! 1905年当時の創刊号を丸ごと1冊完全復刻した『婦人画報』発売

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/20

  • 婦人画報

 過去、太宰治や三島由紀夫の作品も掲載された『婦人画報』(ハースト婦人画報社)が、2015年7月に創刊110周年を迎える。「110周年記念号」として、1905年発刊の創刊号完全復刻版を特別付録とした7月号が、2015年6月1日(月)に発売された。

 創刊号に記された初代編集長・国木田独歩の発行の辞は、『婦人画報』が当時の理想の女性像を発信するために発刊された雑誌であることを力強く物語っている。時代に即した理想の女性像を読者に伝え、「世界に向けて視野を広げてほしい」という、国木田独歩の想いは、110年を経た現在でも脈々と受け継がれている。

7月号では「1905年の日本婦人」と題した、創刊号の読み解き特集を実施。創刊当時の『婦人画報』が、どのような女性像を理想とし、その理想像がどのようにグラビアに描かれているかを、当時の社会背景などを織り交ぜながら解説している。今回、創刊号が特別付録にされたことで、先人たちが遺した熱いメッセージが、現代に生きる女性たちに伝わることだろう。

advertisement

当時の常識を覆した『婦人画報』創刊号
当時は門外不出であった華族女学校(現・学習院女子中・高等科)の運動会の様子を、巻頭グラビアのトップで紹介。続くグラビアには、遠足で潮干狩に出かける女学生や、ヨーロッパから移入された体操をする女学生の写真が掲載されている。女性が学ぶことに対し「有害無益」という声がまだまだ根強く、体を鍛えるために女性が運動することなどほとんど考えられない当時、これらの記事が社会に大きな衝撃を与えたことが容易に想像できる。また、このほかにも「離婚は女の恥」とされた時代に、「徒(いたずら)に恐縮せぬ様」と励ましの原稿が寄稿されるなど、女性の自立や、女性が世界へ目を向けることを促すメッセージが数多く見られる。

  • 婦人画報

時代のトップランナー達と歩んできた110年
110年の歴史を紐解く中で、さまざまなエピソードが発掘された。リアリズム写真の巨匠・土門拳が取材カメラマンとして撮影していたこと。大正・昭和を代表する詩人として語り継がれる中原中也や、金子みすゞのデビューが『婦人画報』の読者投稿欄であったこと。そして、倉庫より発見された水上勉の生原稿など…。『婦人画報』がいかに、近代日本の文化史に多大なる影響を与えるトップランナーたちと歩んできたかが分かる。

ハースト婦人画報社『婦人画報』編集長 出口由美 コメント
<110年の時を経て蘇った大和撫子たち>
創刊号でいきいきと描かれた女性たち。彼女たちが110年後に蘇り、しかも電子雑誌化までされて世界中の方々の目に触れることを当時想像できたでしょうか。技術の進歩に驚きを覚えると同時に、読者へ伝えるメッセージの根本が、110年前から連綿と変わらず受け継がれていることにも嬉しい驚きを覚えます。110年前の『婦人画報』を手に取り、併せて本誌の「1905年の日本婦人」をお読みいただき、そこに登場する溌剌とした大和撫子の姿をお楽しみください。

婦人画報■『婦人画報』2015年7月号
価格:1,300円(税込)
発売日:2015年6月1日(月)
出版社:ハースト婦人画報社
⇒『婦人画報』公式サイト

関連記事
【作ってみた】大正時代のシチューやカレーはどんな味? 100年分の「くらしの家庭面」を凝縮した珠玉のメニュー
吃驚仰天、抱腹絶倒。明治・大正・昭和に生きたあのエライお方は、かような変人であったのか!