プロレス界のゴールデン☆スター! 飯伏幸太の“規格外”のヤバさに驚愕必至

スポーツ

更新日:2015/6/22

 「トンパチ」――型破り。破天荒。規格外。(キ○ガイ)

 格闘技の世界で使われるこの隠語は、プロレスラー飯伏幸太のためにあると言っても過言ではない。命がけの信じられない空中技を、リングの上でも花やしきでもTSUTAYAの店内でも繰り広げる。試合中、突如プチンとキレて覚醒する様は、まさにスーパーサイヤ人になる孫悟空そのもの。

advertisement

 そんな飯伏を徹底解剖した『飯伏幸太―DDT、新日本プロレス(スポーツアルバムNo53)』(ベースボールマガジン社) が、これまた最高にトンパチな仕上がりになっている。

 ビジュアルページ、飯伏の「プロレス論」インタビュー、「華麗なる技図鑑」につづいて、「飯伏幸太のヤバさをよく知る人たちの証言集」なるものを掲載。「飯伏はヤバい」とよく言われるが、実際にどうヤバいのか、そう広くは知られていない。それがこの証言集を読むと、「本当にヤバい人なんだ…」と唖然とする。

レスラーの顔面に花火をぶっ放す

 飯伏と言えば、「路上プロレス」。リング外のありとあらゆるところでプロレス技を掛けあう。元週刊プロレス編集部の鈴木彩乃さんはこう証言する。「路上であっても躊躇なく中澤マイケルを投げつけたり、練習の段階なのに平気な顔をして伊橋剛太を垂直に落そうとしたり、喜々として2人の顔面に花火をぶっ放すあたり常軌を逸している」。…このヤバさは、どうやら幼少の頃から。同書の本人インタビューで、「部屋で垂直落下式の受け身を取り過ぎて、フローリングの床に穴が空いた」エピソードを明かしている。「友だちにお金を払って技をかけさせてもらっていた」という逸話も残っている。

殺人ビデオ…「見なきゃいけない!」

 「これは載せちゃマズいやつでは…?」と思わずギョッとする証言は、元DDTプロレスリング・柿本大地選手。道場の近くに住んでいた柿本選手の家に、飯伏が遊びに来たときのこと。当時、ほかの選手が来るとアダルトビデオを持ち寄って鑑賞していたそうだが、飯伏は「一番見たくないビデオを見ましょう」と言って、“スナッフ(殺人)ビデオ”をレンタル。惨状シーンの連続で「もう無理だよ」と柿本選手が言うと、「これを見なきゃいけないんです!」と怒り、…と思ったらそのあと嘔吐。「飯伏もギリギリの限界だったんでしょうね」という柿本選手。なぜ“これを見なきゃいけない”のかは、本人のみぞ知る。

ヤバい、だけではない

 ヤバいエピソードの数々は、あくまで天才・飯伏幸太の天才性の象徴に過ぎず、実体は…もっとヤバい。所属するDDTプロレスリングの高木三四郎社長は、デビュー戦を見て「こいつは大事に育てようと思った」と語っている。通常デビュー戦は打撃が中心になるが、飯伏はいきなりムーンサルトなどの派手な飛び技を繰り広げ、バックステージでは「なんだ、この飛んだり跳ねたりは!」と非難の嵐。しかし高木社長は、「なんでこんなことができるんだ。こいつすげー、天才だ」と感激したという。

 2013年、DDT所属のまま新日本プロレスにも所属という、業界初の2団体所属選手となる。IWGPジュニアヘビー級王者(新日本プロレス)、KO-D無差別級王者(DDT)、NJC(新日本プロレス)初参戦初優勝と、団体の垣根を越えて華々しい成績を残してきた。中邑真輔選手とのシングルマッチで、2013年の東京スポーツプロレス大賞でベストバウト賞を獲得。中邑選手は飯伏について、「親和性を感じる相手。こんなヤツがいる、似たような生き物がいるって思って嬉しかった」と、好敵手として認めている。誰もがその才能を絶賛する。ヤバいだけではない。ヤバくて、とんでもなくスゴいのだ。

 プロレスに興味がないという人も、ぜひ試合を生で観てほしい。目の前で人がぽんと空を飛ぶ景色はまるで絵空事。不思議な空虚感に襲われ、鳥肌が立ち、涙が出てくる。こんなモノが見られるなんて、この時代に生まれてよかった…。ありがたや、ありがたや…。思わずリングに手を合わせてしまうこと間違いない。

文=尾崎ムギ子