家電の進化とエロの相関関係 ―最新技術にあくなき“妄想”をぶつけてみた

ビジネス

公開日:2015/6/24

 家電の発展と普及にエロは欠かせない。やや暴論に聞こえるが、過去をたどるとこれまた合点のいく話でもある。例えば、家庭用ビデオデッキ普及の背景に、アダルトビデオの存在があったという見解はあまりにも有名な話だ。

 書籍『アダルトビデオ革命史』(藤木TDC/幻冬舎)によれば、1970年代からしのぎを削った、いわゆる“ベータ・VHS戦争”をけん引したのは、ポルノビデオの存在だったという。さかのぼれば、1969年に家電メーカーが相次いで市場へ投入した家庭用カセット“U規格”で唯一成功したといわれるジャンルが、ポルノビデオだったことに由来する。

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 その後、ベータとVHSに切り替わった映像機器市場だが、1981年には一般家庭のビデオデッキ普及率が10%を超え、1983年に販売された成人向けビデオカタログには、約90社に及ぶビデオ作品を手がけるメーカーが名を連ねていたという。

 家電と男の下心には、間違いなく相関関係がある…と、筆者は思いたい。そして、今こうして考えている間も、次々と最新機器が実用化され、市場へ投入されている。

 では、近年の最新機器にエロをぶつけてみると、何ができるのだろうか。前置きが長くなったが、ひとつだけ断っておきたい。これからつづる内容は、先の疑問にもとづいて筆者が提案する、ある種の“飛ばし記事”である。しかし、現実離れしすぎない期待も込めた妄想…もとい、考察を、書籍『「VR」「AR」技術最前線』(工学社 刊 ※補足しておくが、いたってまじめに現代の最新技術を紹介した一冊である)を片手に繰り広げていきたい。

◎映像の世界を見渡せる「没入型HMD」。現実の距離感を再現したAVに期待

 古くは「ダイノバイザー」を思い出させるのが、没入型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)だ。ゴーグルの形をした映像機器で、まるで映像の世界に入り込んだような感覚を味わうことができる。近年では「ヘッド・トラッキング」と呼ばれる頭の傾きを検知する機能も搭載されており、3D映像ならば、眼前に広がる空間を自分の思うがままに見渡すことも可能だ。

 現実かのように奥行きのある立体的な光景が広がる。まっさきに思い浮かぶのはやはり、3次元映像によるAVだろう。じつは、2010年頃から、この手の作品は既に数多くリリースされている。それならばいっそ作品の“質”にこだわりたい。男というのは行為そのものではなく、前段階となる“見えるか見えないかギリギリのところ“もしくは“脱がせる瞬間”に興奮をおぼえるものである(異論はもちろん認める)。よって、のっけから一人称視点で、はた目ではこばみつつも、内心「早くしてよ」と訴えかけるような目つきで向き合う女の子とのじらされる攻防を、現実かのような距離感で味わえる作品ならば、ひとりっきりの“夜の営み”もさらに楽しくなるはずだ。

◎触覚へのアプローチも続く「AR」の研究。遠く離れたあの子とムフフな展開も…

 ここ数年でよく聞かれるようになったのが「AR」という言葉だ。拡張現実ともいわれるが、広義でいえば、現実の世界で味わう感覚に何らかの情報を加える技術を示す。特定のマーカーにスマートフォンのカメラをかざすと映像を楽しめたり、街中に地名などの情報を映し出すアプリ「セカイカメラ」(2014年1月22日にサービス終了)が、先駆けとして注目されたのも記憶に新しい。

 しかし、人間の感覚は何も視覚だけとは限らない。なかでもとりわけ、エロとの親和性を考えておきたいのは“触覚”である。じつは、実用化を待ち望むばかりではあるが、モノへの触りごこちを再現する技術の研究が各所で進められている。映像と連動する男性向け“ホール”は既に販売されているが、触覚を再現できる技術が一般にも浸透すれば、遠く離れた女の子と同じ時間、同じ瞬間に、恍惚(こうこつ)に包まれた空間を擬似的に体感できるというわけだ。

 やはり、創造力の源泉はエロにあるというべきか。どれほど年を重ねようが、心のどこかに“童貞”を抱えた男というのは、妄想によるあくなき探究心を抱いているものである。近い将来、家電とエロがどう結びついていくのか。その動向には、期待も膨らむばかりだ。

文=カネコシュウヘイ