『四月は君の嘘』『パラキス』『絶対彼氏。』…雨の日は悲恋マンガでジメッと過ごす!

マンガ

更新日:2015/7/2

 子どもの頃に夢中になった少女マンガ。大人になった今読み返すと、どうも違和感を感じる。なぜかって地味で目立たない女の子が、学校一のイケメン(金持ち、暗い過去を持っているなどのオプションもつく)と恋に落ちるわけがないと頭の中でわかってしまっているから。読んでて面白いことには違いないけど、正直、一途な純愛&ハッピーエンドの少女マンガは物足りない…ならば、悲恋マンガを読んで、ガッツリ切ない気持ちになろう! この梅雨の時期に、さらにジメッとした気持ちになろうではないか!

 悲恋マンガといえば、江戸城で繰り広げられる男女の愛憎を描いた『大奥』(よしながふみ/白泉社)が思い浮かぶ。好きな人とは結ばれないし、愛し合っても別の人に取られるし、なんでこんなにうまくいかないの? ってくらい、うまくいかない。また、王道の少女マンガ的展開かと思わつつ、ラストで見事ひっくり返った『Paradise Kiss』(矢沢あい/祥伝社)も外せない。好き同士だけど、別れを選ぶ…この結末に納得できなかった若い読者も多かったことだろう。そして、これまた意外な結末が待っていたのが『絶対彼氏。』(渡瀬悠宇/小学館)。どうせ、魔法か何かでフィギュアの彼氏が人間になるんでしょ、と思ってたらそんなことはなかった。

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 今年の3月に完結したばかりの『四月は君の嘘』(新川直司/講談社)も、その結末はたまらなく切なかった。

 中学生の有馬公生は、かつて数々のピアノコンクールで優勝をかっさらった天才ピアニスト。対するヒロインの宮園かをりは、独創的な世界観を表現することのできるヴァイオリニスト。音楽を通して絆を深める2人と、その周囲の人たちとの人間模様を爽やかに描いたストーリーだ。

 最初の印象では、きっと主人公・公正が、ライバルたちとの壮絶なピアノバトルを繰り広げるんだろうな~という展開を思い浮かべていたが、中盤から様子が一変。ヒロインのかをりに不幸が振りかかる。まさかな、いやもしかして、でもでも…読みながら何度も思った。どうか幸せな結末になりますように! ネタバレになってしまうので詳しくは書かない。が、悲恋マンガのくくりで紹介するにあたり、すでにネタバレかもしれない。タイトルが指し示す意味も、ラストで明かされる。“嘘”ってそういうことだったのね、と。

 破局・別離・死別と、悲しい恋を描いた作品は、読んでいて胸が苦しい。でもハマってしまう。普段ハッピーエンドしか読まないという人も、たまにはアンハッピーエンドなマンガにトライしてみては。

文=中村未来