子どもを狙う犯罪者は、どんな子どもにどんな言葉をかける? 我が子を守るために親がしてあげられることとは

社会

公開日:2015/7/11

 なにかと物騒な今の時代、暗くなるまで外で遊んでいる子どもを見ると、「危ないな」と思ってしまう。自分が子どものときのように、いつまでも思う存分遊んでいられる時代ではなくなっているのだ。

『大切な子どもの守り方』(舟生岳夫/総合法令出版)によると、近年、13歳未満の子どもの犯罪被害件数は少しずつ減少していたものの、2013年にふたたび増加へ。連れ去りの件数は2014年に約10年ぶりとなる3桁台に。昔と違い、低年齢層では男の子もわいせつ目的で連れ去られるケースが増えており、男女ともに親が守ってあげなければならない時代に突入している。

advertisement

 子どもの安全とリスクマネジメントを研究している著者は、「不審者」や「怪しい人」、「知らない人」という言葉で子どもに連れ去りの危険を知らせることは勧められないという。「不審者」や「怪しい人」は、子どもにとって、具体的にどんな人であるか、というはっきりとした決まりがない。あえて定義するなら、「その場所、その状況、その時間などにおいて、ふさわしくない格好や行動をしている人」だが、これは人生経験がある大人だから判断できる概念なのだ。また、「知らない人」についても、たとえば、いつも公園で見かける「犬を連れたおじさん」や、近所でよく見かける「優しそうなおばさん」などは、子どもにとって「知っている人」に分類される恐れがある。たとえ、子どもにとって「知っている人」であっても、事前に親が了解していない人には絶対について行ってはいけないことを理解させるのが大切だ。

 子どもを狙う犯罪者は、どのように子どもに声をかけてくるのか。親がパターンと安全な対応方法を知っておき、子どもに伝えておくことが有効だ。

【パターンA】助けを求めるふりをする
例1)駅までの道を教えて
例2)おなかが痛いから病院に連れて行って

→その場で道を教えてあげる程度まではよいとしても、「一緒に来て」と言われた場合には、「いやです」「大人の人に聞いてください」などと、はっきりと断る。

【パターンB】好きなもので誘う
例1)最新のゲームがあるから、うちに来ない?
例2)かわいい子犬が産まれたから見に来ない?

→「勝手に人のうちに行っちゃいけない、って言われています」「家に帰って聞いてきます」など、家庭で禁止されていることを伝える。

【パターンC】緊急事態を装う
例1)お母さんが事故にあったから病院に連れて行ってあげる
例2)先生が大急ぎで来なさいって言っているよ

→車に乗せられてしまうと逃げることが難しい。無理やり乗せられそうになったら、大きな声で逃げるように教える。

【パターンD】大人の世界に誘惑する
例1)君、かわいいね。モデルにならない?
例2)タレントの◯◯さんに会わせてあげる

→「いやです」「家でダメって言われています」など、はっきりと拒絶する。

 人通りが少ない場所や、普段通らない道などは、子どもは多かれ少なかれ警戒するが、歩き慣れた通学路や、子どもにとって安全地帯である学校の目と鼻の先…校門前は無防備になる。しかし、本書によると、校門前というのは、学校の管理区域である校内と、地域の管理区域である通学路をつなぐ地点であり、意外な空白地帯。犯罪者は校門近くで身をひそめ、出てくる子どもを観察し、ターゲットにしたら人目の少ない場所で犯行に及ぶのだという。安全と思われている通学路も、植栽が伸びて見通しが悪くなっていたり、工事などで迂回する必要が生じたりと、環境が刻々と変化するため、注意が必要。かといって、「決められたルート」以外を通るのは、いざというときにどこにいるかわからず発見が遅れる、防犯対策が立てにくいなどがあるため、決められた通学路を警戒意識を持ちつつ歩く、というのがリスクマネジメント的にお勧めだという。

 本書は、「どんな子どもがターゲットになりやすいか」についても示している。人目を引くようなかわいらしい格好の子どもがターゲットになることについては容易に想像できるが、意外にもだらしない格好をしていたり、周囲に気を配らずにゲームや本を見ながらふらふらと歩いていたりするような子どもも、「警戒心がない」と見られ、犯罪者の目に留まってしまうという。

 子どもの傾向に合った対策を考え、方法を伝えておくために、家族のコミュニケーションを活発にし、親子がお互いにいつも気にかけている関係性を築くことが、子どもを守るために親がしてあげられるもっとも重要なことだと強調している。

文=ルートつつみ