前歯は乾くし、黒歴史だってある ――国民的怪獣・ガチャピンのツイートがちょっと雑
公開日:2015/7/12
いつも元気いっぱいで前歯が出ていてムックと仲良し――ガチャピンに対するイメージといえばこの程度のものだった。何の気もなしに『#ガチャピン本』(ガチャピン/一迅社)を開いた私は、その認識を改めなければならなくなった。『#ガチャピン本』は、ガチャピンのTwitterの投稿をまとめた本。本書にまとめられている投稿はいずれも、視聴者からの質問にガチャピンが答える形式を取っている。ほかには、ガチャピンの自撮り(失敗して前歯がドアップになっている)や、ムックとの一日を追った写真ページも楽しめる一冊だ。これだけなら、一見のほほんとしたキャラクターブックに思えるのだが、ガチャピンのTwitterの発言を読んでいくと、どうも様子がおかしい。
投稿の半分くらいは、以下のようにアイドル然とした明るい受け答えである。なんせ、地上波の人気番組を支える、国民的怪獣なのだ。こういうキャラクターになるのは必然であろう。
Q.ガチャピンは、どうしてチャレンジするの?
ガチャピン「やってみなくちゃ、わからないから。失敗してもいいんだ。その次は、成功するかもしれないしね p(*・o・*)q」
だが、読み進めていると、ときどきおかしな発言が見受けられた。
Q.黒歴史はないですか?
ガチャピン「ある。」
Q.最近調子はどう?
ガチャピン「いい。」
これだけではない。一番の仲良しであるはずのムックに対しても、この扱いである。
Q.最近、ムックとうまくいってる?
ガチャピン「ぼちぼち。」
さらには、「かわいい」と褒めてくれた視聴者に対してこの仕打ちだ。
「痛いよ!」じゃないよ。そういう話じゃないよ。ガチャピンよ、お前さん、「かわいい」の褒め言葉をもっとまっすぐに受け取ろうよ……。
ガチャピンは思っていたよりもずっと、雑で冷たい怪獣なのだった。
取材・文=朝井麻由美