『可愛いままで年収1000万円』とは? “ゆるふわキャリア”って一体何だ!

ビジネス

公開日:2015/7/27

 年収1000万円。これを多いと見るか、少ないと見るかは人によるだろう。手取りでなのか、額面でなのか、はたまた個人事業主であれば年収と所得はまったく別モノなので、年収1000万円=お金持ちの図式が必ずしも当てはまるかといえばそうでもないと思う。ただ、ひとつのハードルではあるだろうし、もちろんライターである筆者の収入は1000万円にはなかなか届かない。貧乏暇なしとはよくいったもので、毎日細々とした仕事をこなしては、つねにお金のことを考えている。そんなときに目に飛び込んできたのが『可愛いままで年収1000万円』(宮本佳美/WAVE出版) だ。

 タイトルよりもさらに面食らったのが「ゆるふわキャリアで仕事もプライベートもうまくいく♡」という帯の言葉だった。毎日外回りでダラダラと汗を流し、軽く熱中症になりながらも働いている世のお父さんがたが見たら思わず壁に投げつけたくなってしまうのではないか。そもそも「可愛いままで」というタイトルからして、元が可愛くなければ年収1000万円は達成できないということなのか。

advertisement

 幼いころから親といわず先生といわず「可愛くない」と言われ続けてきた筆者である。猜疑心は人一倍、そして可愛い女性への嫉妬もなきにしもあらずだ。若干、眉根を寄せながらもページをめくっていくと、想定よりもはるかにまとも…といっては失礼だが、多くの示唆に富んだ内容に、ふたたび面食らった。

 著者であるワークライフスタイリストの宮本佳美さんは、高校卒業後、アパレル販売員や一般企業の受付・人事を経験したのち、司会業へ転身。28歳で起業し、パーソナルスタイリストのサロンの経営を始める。現在は女性の起業についてセミナーなどを行いアドバイスするワークライフスタイリストとして活動をしているという。

 本文中でもハートマークが多用されていたり、語り口こそふんわりとしているのだが、読み進めていくと、著者の宮本さんの足跡をたどる中で、自身がまっとうな努力を続け、正しい選択をして、適切な方法でビジネスを立ち上げてきたことがわかる。

 そもそも、宮本さんが起業してパーソナルスタイリストを始めるにあたっても、毎月あらゆるファッション雑誌を隅から隅まで読み漁り、「普通の会社員の10倍は服やメイクに散財してきた」という実経験をともなう下地があってこそ。そうした努力も、自分が好きなことであれば、楽しく続けられるというとてもシンプルな考え方がベースにある。

 起業するしないは別として、自分自身の仕事の向き合い方や、生活をする上で役立ちそうな言葉をいくつか引用してみる。

自分がどう生きるかを決めた上で、どう働くのかを決めていく

投げる球は軽く、そして数を多く!!

「できない理由」を一つ言ってしまったら「できる理由」を3つ考えてみてください

自分のエネルギーが一番大きく使えることを仕事にし、夢中になって楽しむことが理想の年収を叶える一番のテクニックなのです

 本書で語られる“可愛いままで”とは、「自分のままで」「女性らしく」という意味だと書かれているが、私は、前向きに人生や仕事を受け止めながら、やりたいことやなりたい理想の自分を顕在化させ、自らを導いていく“素直さ”のことなのだろうと理解した。決して、本書の内容を鵜呑みにして「ようし、これを真似していれば1000万円チョロい!」ということではない。

 とはいえ、やはり年収1000万円が実現したらとても嬉しいので、まずは本書に載っていたおまじない、満月に向かって財布を振る「お財布フリフリ」から実践してみようと思う。

文=本宮丈子