プロレス女子の生活は「衣・食・住・プ」!? 女たちのセメント座談会【前編】

スポーツ

更新日:2015/8/4

 プロレス会場に集う女性たちがこぞってテレビで特集されるなど、今、プロレス女子、略して“プ女子”が注目を集めている。関連書籍やグッズも多くなり、先日、発売された『日めくり ゴールデン☆スター 飯伏幸太』(日本文芸社)の出版記念イベントでは、「握手&やさしく☆スリーパーホールド&撮影会」が行われ、多数の女性プロレスファンが詰めかけた。

 じつは筆者も、ブランクはあるが、18年来のプロレスファンである。今回は、そんなプ女子ブームを実際の“プ女子”たちはどう感じているのか、現役プ女子の皆さんに集まっていただき、オススメのプロレス本とともに座談会形式でお聞きした。集まったメンバーは、それぞれ観戦歴や好きな団体・選手もバラバラな4名。局所的ではあるが、現在のプ女子の“リアル”を忌憚なく語っていただいた。

ぴた(前列左):プロレス観戦歴1年半。好きなレスラーはスターダム所属のクリス・ウルフ選手。

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彩藤(前列右):プロレス観戦歴16年。プロレスサークルに通い、自らも試合に出場するなど、自他ともに認めるガチプ女子。

マツモト(後列左):プロレスファン歴は15年。好きなレスラーは新日本プロレスリング所属の中邑真輔選手。

なつみ(後列右):中学3年生にして観戦歴は10年ほど。好きなレスラーは大阪女子プロレス所属の山下りな選手。

思い思いのプロレスグッズに身を包むプ女子の皆さんとプロレス本の数々

――まず、皆さんがプロレスにハマったきっかけを教えてください。

ぴた:わたし普段は音楽系の活動をしているんですけど、最近、身近で「プロレス」っていうワードを聞くことが増えてきたんです。男女問わず「じつはプロレス好きなんだよね」っていう隠れプロレスファンがいっぱいいて。それである日、知り合いに連れて行ってもらったのがプロレスリングWAVEの試合でした。そこで、渋谷シュウ選手(2015年5月に引退)の試合がすごく良くって、Tシャツをその場で買っちゃったんです。最近はスターダムをオススメされて観に行くようになりました。

マツモト:わたしはスカパーで放送していたWWF(現WWE)がプロレスを知ったきっかけでしたね。その後、テレビ埼玉の深夜でDDT(DDTプロレスリング)の『マッスル牧場classic』という番組をやっていたのをたまたま観て「なんじゃこりゃ!?」って。

――男色ディーノ選手が「男色48手」(48手あるオリジナル男色プロレス技)を披露したりしていた番組ですね。

マツモト:それで検索したらプロレスの団体で、ちょっと気になりだして。その後、2009年に「キン肉マニア」っていう『キン肉マン』の世界をプロレスラーが再現したイベントがあったんですが、そこから本格的に観戦を始めました。今はDDTと新日本プロレスを主に観に行っています。
 新日本プロレスは、わたし、中邑真輔選手が好きなんですけど、最初はホント”なんだこの人!?”と思っていて。でもだんだん癖になってきて、夫が買ってくるプロレス雑誌を見ては「今月、あの人出てないの?」って、最終的には「真サマ~」と呼ぶようになっていました(笑)。クセがあるけど、その分、癖になっちゃう珍味みたいな。中邑真輔のセクシーさを、認めたくないけど抗えない…みたいな感じでハマってしまいました。

なつみ:わたしはもともとお父さんがプロレスが好きで、小さいころからいろんなところに連れ回されていて…一番覚えているのが、小学生のときに観た、里歩(プロレスリング我闘雲舞所属)さん対真琴(REINA女子プロレス所属)さんの試合(2006年NEO女子プロレス「第4回ジュニアオールスター戦」当時小学3年生の里歩と17歳の真琴が対戦)です。小さい女の子に大きい女の人が負けているっていうのがすごく衝撃的でした。
 その後、ずいぶん経ってからアイスリボンを初めて観に行ったときに、同年代の選手…柊くるみさんとか、弓李さん(両者とも現役女子高校生プロレスラー)を知りました。自分と年の近い人たちがプロレスをしているのを観て感動して。それで今はアイスリボンのプロレスサークルに通って自分も練習をするようになりました。

彩藤:わたしがプロレスにハマったきっかけは2歳上の兄です。入口は新日本プロレスだったんですが、その後、プロレスリング・ノアの旗揚げがあって。そこで「小橋建太ってカッコいい!」ってなったんです。小橋さんがいなかったら、今のわたしはいなかったですね。
 初観戦は、後楽園ホールで。生のプロレスラーを観て、血が逆流するような興奮があったんです。後楽園ホールって、入り口から南側の階段をのぼって、会場全体が見えるじゃないですか。それを観たらもう。

――後楽園ホールのあの造りってすごいですよね。階段をあがってパッと視界がひらけたらリングが見えるっていう。

彩藤:聖地ですからね。その後、今ほどインターネットも普及していなくて、SNSみたいなものもないし、プロレス仲間みたいなものがいなかったんでひとりで観に行ったりしていて…。いろんなことが知りたくて、古本屋でゴングとか週プロのバックナンバーを買い漁る日々でした。今は特別応援している団体や選手はいないけど、食う・寝ると同じレベルでプロレスは自分の生活になくてはならないものになっています。

――もうそれ衣・食・住・プ、みたいなことですよね!

 ひとくちにプロレス女子といっても、本当にその嗜好はさまざまだということがおわかりいただけただろうか。決してイケメンレスラーを追いかけるだけがプ女子なのではない!と声を大にして言いたい。
 後編では、プロレス女子オススメの愛読書をご紹介。さらに現在の“プ女子ブーム”についてのぶっちゃけ話もうかがった。

取材・文=本宮丈子