手に汗握るバトル『蒼き鋼のアルペジオ』は、コミックも劇場アニメも両方押さえておきたい!

マンガ

更新日:2016/1/14

 軍艦や潜水艦が、美少女姿で活躍。そんな擬人化ブームの火付け約を果たした作品『蒼き鋼のアルペジオ』(Ark Performance/少年画報社)。「ヤングキングアワーズ」での連載に加え、完全新作アニメ『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza』も2015年10月から上映していた。今回はコミックス11巻が絶賛発売中のこちらをご紹介。

 潜水艦と美少女と世界の存亡……。アニメ版の魅力は、岸誠二監督へのインタビュー記事でも紹介した通り。今回はコミックスからその魅力を読み解くことに!

▲『蒼き鋼のアルペジオ』最新11巻は絶賛発売中!

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——西暦2056年。温暖化により人類は地上の土地を失っただけではなく、海上の物流を寸断され困窮していた。それは突如現れた謎の艦隊「霧の艦隊」により制海権を失ったため。彼らはなぜ人類を攻撃するのか。そして彼らに勝つ手段はないのか……。

 風前の灯火の人類の前に現れたのは、潜水艦・イ401。「メンタルモデル」という人型をした戦艦は、18歳のエリート海軍生・千早群像の前に現れる。そしてともに、「霧の艦隊」と戦いに挑む——

コミックでは千早群像艦長の作戦が冴え渡る!

 これから「アルペジオ」デビューするなら、マンガ版とアニメ版の両方抑えることをお勧めする。作品のベースは同じだが、ストーリーの分岐が微妙に違っているからだ。

 作品のキーとして覚えておきたいのは、新兵器「振動弾頭」。人類の希望ともいえる兵器で、霧の艦隊を駆逐できる代物。物語は、新兵器をアメリカで量産するために、設計図とサンプルを届けることを基軸としている。主人公・千早群像は、イ401の艦長として霧の艦隊の攻撃を避けつつ輸送するという、重大なミッションを請け負っている。

 この作品の魅力は、なんといってもリアルな戦闘設定とメンタルモデル。グループで執筆しているという著者Ark Performanceは、軍艦と兵器を綿密に設計している。SF的要素を含む「量子通信網」「クラインフィールド」などという設定が迫力あるバトルシーンを演出し、物語へ引き込む。

▲「超重力砲」を放つなど本格的SF要素がアクションを盛り上げる

メンタルモデルと人間の交流は感泣もの

 そしてライトなファンもヘビーなファンもトリコになっているのは、登場するメンタルモデルたちだ。軍艦が意思と人間の姿を持つようになったという設定のもと、ロリッ子・メガネっ娘・ツンデレなど、かわいらしい姿で作品に花を添える。彼女たちは、コンゴウ、ヤマトなどかつての軍艦の名前で登場する。

 なぜ兵器がヒトの形を取り、意思を持つこととなったのか。それは霧の艦隊の存在理由にも関わる。彼女たちが絶対服従している勅命「アドミラリティ・コード」と関係しているらしい。
 だがそんな理屈抜き彼女らの心の機微が感動を呼ぶ。人間に接触する前のメンタルモデは、感情に欠き理屈のみで動いている。だが、予想不可能な行動をする人間と触れあううちに、何かが彼女たちのなかに芽生えていく。

 象徴的なシーンは、8巻のハルナと蒔絵が再開するシーンである。お互い敵同士と知らずに出会い、大切な友達となったふたり。お互いの身分を明かしたうえでも、親う気持ちは止められない。心通う場面が丁寧に描かれ、涙を誘う。

▲ハルナは蒔絵とは友達であり、絶対に殺さないと誓う

 最新刊では、群像と離れ潜水艦を操舵することになったイオナ。コンゴウに戦いを挑むも被弾してしまう。戦いに勝利するのはどちらか……? そして群像が霧の艦隊と人類の未来のビジョンを語る。戦闘が佳境に入るなか、続々と現れる強敵に2人は勝つことができるのか。最新話が納められている。一度読み始めたら止まらない、超級作品をぜひ手にとってほしい!

■コミック『蒼き鋼のアルペジオ』の最新情報は
「ヤングキングアワーズ」公式HPにて

■劇場版の前売り券などの情報はこちら
『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』公式HP

文=武藤徉子