東山紀之が“自身のルーツ”を赤裸々告白 自伝的エッセイ『カワサキ・キッド』文庫化

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/19

カワサキ・キッド

 少年隊の東山紀之による自伝的エッセイ『カワサキ・キッド』の文庫版が、2015年8月7日(金)に刊行された。2010年6月に刊行された単行本では、川崎のコリアン・タウンで母妹3人、貧しくも懸命に生きた少年時代、ジャニーズでの生活、初恋などについて初めて赤裸々に明かし、大きな話題を呼んだ。

僕は、かなり臆病な子どもだったと思う。(略)いま、この時代、僕は恐怖に敏感であること、臆病であることは悪いことではない、むしろ大事なことだと思っている。東山紀之(文庫版あとがきより)

東山が優しい眼差しで、在日韓国人・朝鮮人といったマイノリティ、弱者に対する思いを綴った点が再評価され、2014年11月にニュースサイトが紹介するやいなや、SNSを中心に「たくさんの人に読んでもらいたい」「ここまで書く人はなかなかいない」「滅入っていた気持ちが明るくなった」「弱い立場の人への思いやりが素晴らしい」などのコメントが殺到。“いまの時代にこそ読むべき良書”として再び大きな注目を集めている。

あとがきでは「五年後に思う」と題し、父親になった5年間の自身の変化を加筆。「寛容さを失ってきたといわれるいまの社会で最も必要とされているのは『優しさ』だと思う」と東山は訴えかける。単なるタレント本としてではなく、東山のまっすぐな生き様や言葉が、いまの世の中に問いかけるものは大きいのではないだろうか。

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■『カワサキ・キッド
著:東山紀之
価格:660(+税)
発売日:2015年8月7日(金)
出版社:朝日新聞出版