新作TRPG『ガーデンオーダー』最大の特徴は「バディスタイル」。『艦これRPG』制作者による『神話創世RPGアマデウス』も初公開!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17

 2015年8月6日、東京都内の角川本社ビルにて「富士見ドラゴンブック 新作TRPG発表会」が開催された。ドラゴンブック編集部の初の試みとなる当イベントでは、富士見ドラゴンブックから出版される新作TRPG2作品について、ゲームデザイナー本人によるゲーム紹介とともに、会場に詰めかけた報道メディアに向けての新作TRPG体験会が行われた。

 ドラゴンブック編集部副編集長の稲垣健は、冒頭の挨拶で「ドラゴンブックは今年で創立30周年を迎えました。その記念の節目にふさわしい新しい世界観、新しいシステムの意欲作となっています」と新作タイトルについての意気込みを語った。

新作TRPG『ガーデンオーダー』 GARDENの一員となって宿敵ネフィリムを倒せ

 最初に発表された新作TRPG『ガーデンオーダー』。ゲーム制作を担当するのは、これまで『トーキョーN◎VA』『アリアンロッドRPG』『ダブルクロス』を手がけてきたTRPGクリエイター集団F.E.A.R.(ファーイースト・アミューズメント・リサーチ)。会場では解説ゲストとしてF.E.A.R.所属のゲームデザイナー・久保田悠羅氏も招かれた。

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 ゲームの舞台は現代。プレイヤーは人類の天敵ネフィリムに対し討伐組織GARDEN(ガーデン)の一員となって戦うアクションRPG。ゲームシステムは、10面体ダイス2個を使ったパーセンテージロールによる判定方式。10面体ダイスは同社の『ダブルクロス』でも使用しており、ダイスを振った際の直感性に優れ、初心者でもわかりやすい明快で爽快なルールとなっている。

 『ガーデンオーダー』の最大の特徴は、「バディスタイル」と呼ばれる協力プレイ。これはプレイヤー2名がお互いを「バディ」として設定することで、バディを敵の攻撃からかばったり、バディを能力で強化したりとプレイ中に様々な恩恵を得ることができるというもの。プレイヤー人数がひとり余ってしまった場合や、ひとりで戦いたい場合には、「ソロスタイル」も選択可能で、物資を調達しやすくなったり、能力がさらに上がるなど、ソロならではのプレイも楽しめるという。

新作TRPG『神話創世RPGアマデウス』 神に愛されし者よ、新たな神話を紡ぎ出せ

 続いてこちらも新作タイトルとなる『神話創世RPGアマデウス』が本邦初公開となった。ゲーム制作担当は、『シノビガミ』、『艦隊これくしょん -艦これ- 艦これRPG』などのTRPGの他にもボードゲーム、カードゲーム、コンピュターゲームの開発で幅広く活躍する総合ゲームクリエイターチーム・冒険企画局。その冒険企画局所属のゲームデザイナー・河嶋陶一朗氏に、現在開発中という本作についてお話を伺った。

 『神話創世RPGアマデウス』のテーマは「神」。プレイヤーは神の力を受け継ぐ異能力者「アマデウス」となって、現代の日本で蘇った神話の再現「神話災害」の解決に尽力する。ゲームシステムは、六面体ダイスを使った「1D6+修正値」というシンプルな判定。ただし能力値が高いキャラクターであれば複数のダイスを同時に振り、そのうち好きな数を一つ選んで判定に用いるという、少し変わったシステムを採用している。使わなかったダイスは「インガ」として蓄積することで強力な必殺技を使うことができるなどの仕掛けもあるという。

『ガーデンオーダー』体験会レポート ~アメミットを討伐せよ~

 発表会の終了後。会場を移して行われた『ガーデンオーダー』体験会にライターである著者も参加した。

 今回プレイしたシナリオは『アメミットを討伐せよ』。ストーリーは「東京郊外の製薬研究所に出現したネフィリム・アメミットを討伐せよ」というもの。本来はプレイヤー人数4人用のシナリオを人数の都合上3人でのプレイとなった。用意されたサンプルキャラクターから作成したキャラクターは、以下の通り。

PC1:コールサイン”ラスティ”……幼少期に人体実験を受けた強化人間。物質転移の能力を持ち、物質の構造を変換することで障害物を破壊したりできる。PC2とのバディ。
PC2:コールサイン”ルミナス”……秘密結社HHHに所属していた元テロリスト。光波干渉により光を屈折させ透明化したり、レーザーとして撃ち出せる。PC1とのバディ。
PC3:コールサイン”ストップ・ウォッチ”…警察庁からGARDENに出向している公務員。感覚強化の能力で五感を研ぎ澄ますことで、標的を狙い撃つ銃の名手。ソロスタイル。

 PC1が敵の攻撃を受け止める前衛、PC2とPC3が遠距離攻撃を得意とする後衛というチーム構成だ。今回は体験プレイのため、GARDENから討伐命令を受けた3人が現場へ急行し、クロウラー3体とボスであるアメミット1体と対峙している戦闘シーンからスタートする。

 開始早々、PC1が特性能力《プラズマ・フレア》を使用しクロウラーAに先制攻撃を仕掛ける。キャラクターは戦闘中に敵を攻撃したり、バディを支援したり様々な特性能力を使用できる。能力のコストは主に「疲労」を消費する。キャラクターには疲労ゲージがあり、能力を使うたびに疲労が蓄積し、疲労が限界に達した場合は、能力が使えないだけでなく、判定が半減されるなどのデメリットもあり、計画的な運用が求められる。

 続いて生き残ったクロウラーAの反撃が運悪くクリティカルとなりPC1が大ダメージを受けてしまった。キャラクターが受けるダメージは、HP(ヒットポイント)のような数値ではなく「負傷」で表される。例えば、前衛のPC1であれば軽傷は9、重傷は6、致命傷は4と耐え切れる負傷の回数があらかじめ決まっている。モンスターの攻撃が命中してダメージを受けると、ダメージ参照表によって「軽傷:3」であったり、「重傷:1」であったりと負傷の重さが判定され、負傷ゲージが溜まっていく。ゲージがすべて溜まってしまったら「死亡」だ。TRPG初心者にも明快でわかりやすいシステムとなっている。

 さらにボスのアメミットの手番になったが、PC1を狙った攻撃が空振りしてからくも難を逃れる。そして命中率を引き上げる《バトルセンス》を使用したPC3と、高威力の《レーザーショット》を使用したPC2が「連続攻撃」によってクロウラーA、B、Cを倒すことに成功する。「連続攻撃」とは、自分の攻撃の命中率を分割することで2回攻撃をする攻撃方法だ。例えば命中率120%のキャラクターであれば命中率60%で2回攻撃できる。攻撃時には1シナリオに1回、使用者が致命傷を1個負うことでダメージを上乗せする「オーバーブースト」という特殊攻撃もできる。

 2ターン目以降は、ダイス運にも恵まれ、3人で「連続攻撃」と「オーバーブースト」で畳み掛けることで無事アメミットも倒すことができた。

 2時間ほどの簡単なプレイ体験であったが、自分の能力とバディの支援、連続攻撃、オーバーブーストを重ね合わせることで瞬間的に大ダメージを与えることが可能になっており、これまでのTRPGと比べると、明快でありながら短時間で濃密なプレイ体験が味わえるように工夫されたゲームシステムになっていると感じた。

 今回紹介した『ガーデンオーダー』は、9月4日(金)~6日(日)で開催されるJGC2015にて、製品版ルールで遊べる体験会を企画している。

 『神話創世RPGアマデウス』も、さらなる最新情報と最新バージョンを使用したコンベンションを予定している。さらに物販ルームでもスターターブックの無料配布と体験会を準備しているので、JGC2015に参加を考えている方はKADOKAWAブースを覗いてみよう。

ガーデンオーダー ルールブック(リプレイ同梱)
2015年9月19日発売予定。

『神話創世RPGアマデウス ルールブック(リプレイ同梱)』
2015年12月20日発売予定

近刊情報

文=愛咲優詩