「思いつきで行動する」or「考えすぎて行動しない」、 自分の”脳タイプ”を知って仕事のパフォーマンスをあげる方法  

仕事術

更新日:2016/1/13

 働いていると、自分なりに頑張っているのにうまく評価されない、なんてこともあるだろう。いいアイディアが次々ひらめいても「思いつきでものを言うな!」と叱られたり、会議中は慎重に発言しようと気を使ったら「積極性がない」と言われたり……。そんなミスマッチはいったい何が原因なのか? その答えと対処法が、『思いつきで行動してしまう脳と考えすぎて行動できない脳 頭の使い方を少し変えたら、自分の弱みが武器に変わった!』(菅原洋平/KADOKAWA メディアファクトリー)に示されている。

 筆者の菅原さん曰く、物事を理解する時、私たちの脳は「思いつきタイプ」と「頭でっかちタイプ」の2パターンに分かれるという。「思いつきタイプ」は直観的に答えがひらめき、イメージや比喩で物事を理解することが多い。一方、「頭でっかちタイプ」は話の流れを時系列で整理してまとめる能力に長け、共通点や法則性をみつけることが得意だそう。仕事のパフォーマンスをあげるには、まずそれぞれの特性を知り自分がどのタイプなのか把握することが大切だ。

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 下のチェックリストに回答すると、自分が思いつきタイプか頭でっかちタイプか傾向を知ることができる。

【チェックリスト】

(1)新しい電化製品はまず使うか、説明書を読むか
A.買ってきた電化製品を箱から取り出し、シールなどをはがしてまずスイッチを入れてみる
B.製品を操作する前に、取扱説明書に目を通す

(2)何か面白いことがあったら、面白かったところから話すか、出来事の順に話すか
A.「この間こんなことがあってさぁ」と面白かった出来事から話す
B.「昨日○○さんと○○にいったときに……」と出来事の順番から話す

(3)気になった本は、面白そうなところから読むか、最初から読むか
A.本を興味のある章やコラムから読んだり、漫画を途中の巻から読む
B.最初のページや最初の巻から順番に読む

(4)食品や日用品の買い物はまず店に行ってみて買うか、買い物リストをつくるか
A.買いたいものがいくつかあって、とりあえず店に行って、目についた物も買う
B.出かける前に必要な物を書き出しておいて、リストの通りに買い物をする

(5)お酒やワイン、お土産を買うなら見た目で買うか、原産地や製造方法を読むか
A.ビンや箱の形、表のラベルデザインなどで選ぶ
B.裏のラベルを見て詳しい説明を読む

(6)お菓子を開けるときは開け方を見ずに開けるか、開け方を見て開けるか
A.ビニールや箱を止めてあるところからバリッと開ける(うまく開かないときもある)
B.ビニールや箱の「開け口」の表示を探し、開け方にしたがって開ける

(7)旅行に行くときは行きたいところに行くか、行けるところに行くか
A.「海がきれいなところ」「遺跡を見たい」など行った先をイメージする
B.予算と日程を考えて、行ける範囲で興味のあるところを探す

 いかがだろうか? Aが4つ以上ある人は思いつきタイプ、Bが4つ以上なら頭でっかちタイプに分類される。

 本書には、それぞれのタイプが仕事でより成果を出すにはどうしたらよいのか、具体的なコツが紹介されている。今回はその中から、仕事で役に立つ「話し方」と「作業の進め方」の改善策を紹介しよう。

【思いつきタイプ】

●セリフの前に「今までは」と言ってみる

 アイディアが次々ひらめく思いつきタイプは、「じゃあ……」「たとえば……」という言葉を多用し、思考をどんどん広げていく傾向にある。しかし、際限なく広がるアイディアを口にしたところで、聞き手は話についていけず「また突飛なことを……」と思われてしまう。そんな時は、頭でっかちタイプの口癖である「今までは」「……ということは」といった言葉を使うほうがいい。これらの言葉には、情報を過去の記憶と照会し思考の広がりを抑える働きがあるため、より整理されたアイディアを理論的に説明することができるという。

●1日の最初にやることだけ決めて、それだけは絶対に守る

 臨機応変さが長所の思いつきタイプは、行動表などを作らなくともその場で重要だと思ったことをこなしていく。反面、目についたものに注意を奪われやすいため、結果的に2つの作業を同時にこなすことも多いそうだ。同時作業が得意な思いつきタイプだが、なんでも同時進行にすると脳が疲れてしまう。そうならないためには、出社するまでに「デスクに座ったら一番にやること」を決めて実行すると効果的だ。重要な仕事をひとつこなしておけば、あとは安心してストレスなく作業を進めることができるという。

【頭でっかちタイプ】

●セリフの前に「じゃあ……」と言ってみる

 「今までは」「ということは」といった言葉を多用しがちな頭でっかちタイプは思いつきタイプの口癖、「じゃあ」を使うと効果的。情報をまとめ、法則性を見出すのが得意な頭でっかちタイプだが、急にアイディアを求められると反応が遅れてしまうことがある。そのような時、「じゃあ」と口にすることで「(言ってしまったからには何か話さなければならない)」と思考し、黙りこんでしまうことを避けられるそうだ。

●やるべきことと、その結果を口にする

 頭でっかちタイプは「やらなきゃいけないことをやっていない」という状況にイライラしがち。気になる作業があっても中々手につかない場合は、やるべきことと、それをしたらどうなるかを口にするといい。「デスクの領収書をノートに貼れば机が広くなる」などのように声にすると、その言語情報をもとにやるべき動作を脳がシュミレーションする。結果、身体が楽に動くようになるそうだ。

 2つの脳タイプには、それぞれ得意な分野もあるが苦手な分野もある。仕事で上手くいかないと自己嫌悪に陥りがちだが、「自分自身を知ると、短所は悩むべきものではなくただの“傾向”ととらえることができる」と、本書には記されている。自分のタイプを知ることはパフォーマンスを上げるだけでなく、前向きな気持で仕事に取り組むことにもつながるのだ。

文=松原麻依(清談社)