まさかの淫語を連発! 「女流エロマンガ家」の日常は、やはりエロだらけなのか!?

マンガ

公開日:2015/8/25

 「女流エロマンガ家」という言葉から、あなたはどんな人物を想像するだろうか。ものすごくセクシーなお姉さん? それとも、内に淫靡さを飼い慣らした地味っ子? いずれにしても、想像するだけで興奮…もとい、ドキドキしてしまう。

 そんな妖艶さの塊である「女流エロマンガ家」を主人公にしたマンガが登場した。それが『ぱらのいあけ~じ』(クール教信者/GOT)だ。本作で描かれる、「女流エロマンガ家の日常」とは、いったいどれほどまでにエロティックなのだろうか。と、胸の高鳴りを抑えながらもページをめくってみて…、思わず拍子抜けしてしまった!

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 なんせ、本作の主人公・水木は、妖艶どころかセクシーさの欠片すらない、生粋の処女。いや、処女でも、恥じらいながらエロマンガを描いているのなら、それはそれでアリだが、この水木に至っては恥じらいなんてこれっぽっちもない。実家を離れてひとり暮らしをすることになり、「げへひひひひひひ」と、思う存分エロマンガが描ける喜びを爆発させるほど。さらには、口にするのも憚られるような淫語を連発。いやー、予想の斜め上を突き進む水木の姿は、男子の興奮を萎えさせてしまうだろう。

 とはいえ、エロマンガ家ならではのエピソードは、他であまり見られないこともあり、非常に興味深く、ところどころでニヤニヤしてしまうこと請け合い。

 たとえば、エロマンガ家と担当編集者の打ち合わせ風景。ここでも水木は、淫語を炸裂させてしまう。「次の話はレイプものにチャレンジしたい。逆レイプでもいい」「和姦も大好物だけど、もう少し強いセックスが描きたい」「おっぱい」「オカズ」「※※※(自主規制)」…などなど、とにかく水木はエロのマシンガントークをぶちかます。しかも、周囲に人が大勢いるカフェで。水木と担当編集者の会話を耳にした周囲の客は、「やべーぞ、レイプだ」「やばいやばい」とヒソヒソ耳打ちしだす始末。しまいには、店員から「他のお客様のご迷惑になりますので」と、静かにするよう促されてしまう。それでも、水木はケロッとしているのだから、図太いのかなんなのか…。おそらく、現実でも、エロマンガ家と担当編集者は真面目な顔をしてエロ話の打ち合わせをしているのだろう。そう考えると、ちょっとシュールだ。

 さらに水木は、アシスタントや友人に「アへ顔(=セックスしているときの表情)」を見せろ!とせがんだりもする。そんなことを他人にお願いするなんて、想像したこともないが、水木にとっては普通のこと。そう、すべてはエロマンガのため。素晴らしい作品にはリアルな表情が必要なのだと悟れば、すぐさまそれを目に焼き付けようと動きだすのだ。そのバイタリティはさらに暴走し、やはり処女のままでは限界があると、担当編集者をラブホテルに誘い出そうとする場面も! …もちろん、あっけなく断られてしまうのだが。

 また本作では、エロマンガ家以前に、ひとりのクリエイターとしての苦悩も描かれている。将来への不安、アシスタントとの関係性、伸び悩む画力に対する焦り…。エロという色眼鏡を外してみれば、水木もひとりの作家であり、「なにかを表現したい」という欲求に従って努力をしているだけなのだ、と気付かされる。エロマンガ家の日常ってどういうものなんだろう…と、不純な動機でページをめくった自分が恥ずかしいくらいだ。

 そう考えると、猛然とエロに突き進む水木が立派に見えてくる。いやー、エロマンガ家を題材にしたマンガで、こんなにも胸がアツくなるとは思わなかった!

文=前田レゴ