「オトナ」と思わせる”怒り”への対処法教えます。

人間関係

公開日:2015/9/15

「あ~あ、そんな言い方しなきゃいいのに」。上司や先輩に叱られる同僚を見て、そんなことを思ったことはないでしょうか。口は災いの元とはよく言ったもので、ちょっとした一言で小火を大火事にした経験は誰にだってあるでしょう。そんな人におすすめなのが本書『これが言えれば、あなたは嫌われない』です。

 みんな、間違ったことは言っていないはずなんですよ。たぶん。
 自分的には正当な権利を主張したり、怒りを表明したりしているだけのつもり。かくいう私だってそうです。ふだん誰彼かまわず食って掛かっているわけじゃない。どうしても我慢ができなくなったときに「よし、言うぞ!」と心を決め、何度かシミュレーションを重ねた末に、なるべく感情を排して適切に伝えているつもりなんです。
 なのに、怒られる。喧嘩腰で返される。
 そうすると「私は間違っていないのに!」とさらに怒りの沸点が下がって今度は積極的に相手を責めてしまう。そんな諍いを積み重ねた結果、修復不可能なほどにこじれる。あるいは修復できたとしても、どちらの胸の奥にも小さなしこりが残ってしまう。そういうのって、多かれ少なかれ誰しも経験しているものじゃないでしょうか。

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 その証拠に最近、「アンガーマネジメント」というものが浸透しつつあるそうです。怒りの管理? 怒らないよう我慢しろってこと? それができたら誰も困らんわ!
と思うかもしれませんが、調べてみると少しちがうらしい。日本アンガーマネジメント協会のHPによると、アンガーマネジメントとは「1970年代にアメリカで始まったアンガー(イライラ、怒りの感情)をマネジメント(上手に付き合う)ための心理教育」のこと。要するに、「なぜ自分はこんなに腹を立てたり苛立ったりしているのだろう」ということをみずから解析することによって、きちんと相手に自分の怒りを伝える方法を身につけたり、むやみやたらに感情を乱したりしないようにするための訓練なのです。
 たしかに焦りや不安、怒りや嫉妬などの感情は、発奮するための起爆剤となる一方、度が過ぎると実力を発揮しきれなかったり空回りしてしまったりする要因ともなりえますよね。かといって、その負の感情の源が自分以外の誰かだった場合、それをどうにかするのはほぼ不可能に近い。他人を変えるよりまず自分をどうにかしたほうがどう考えてもてっとりばやくて簡単なのです。

 たとえば、なにか腹の立つことを言われたとしても、怒りをあらわにする前にその場を立ち去るか、できない場合は頭のスイッチを切り替えて「今日のお昼は何食べよう」なんて考えるのもひとつの手だと本書は言っています。上司に言われたいやみに「お言葉を返すようですが!」などといちいちやりあっていては、「そうだよね、上司が悪いよね」と同情されるよりも、「適当に流しておけばいいのにあの人めんどくさいな」と敬遠されてしまう可能性のほうが高い。まっすぐな心根は人としてたしかに美徳ですが、「オトナ」に求められるのは安定したスルー力。もちろん、上の空がバレてさらに怒りに火を注ぐことになってはコトですが、脳内でなにを考えていようとそれは個人の自由なのですから、適当にいなしていればいいのです。

 同時に、自分の怒りが理解できれば、相手を怒らせないようにするコツも見えてくるはず。酔ってへべれけになった夫に「はやく帰ってくるって言ったじゃない! そんなになるまで飲んで!」と怒ったところで「付き合いなんだからしょうがないだろう!」と返されるのがオチ(この手の愚痴はよく友人から聞かされます)。最初に相手をカチンとさせたら最後、どれだけ理性的に訴えたところで聞いてはくれません。どんなに怒りが爆発しそうでも、最初の一言こそ“言い方”を深慮したほうがいいのでしょう。

 断り方。謝り方。頼み方。文句の言い方。さまざまな、こじれのもととなりそうなケースにあわせてたくさんのアドバイスを教えてくれる本書。「そんな優しい言い方をしていたら、けっきょく真意が伝わらないじゃない」なんて人もいるかもしれませんが、怒りをド直球にぶつけたところでどのみち真意は伝わりません。

 本書のタイトルをもう一度よく見てください。これが言えれば、“あなたは”嫌われない。つまりこれは、あなた自身が無駄に損をしないためのコミュニケーション術を教えてくれる本なのです。

文=立花もも

こんな本もお勧め!

何でもわかりやすくする技術、伝える技術
安田正/著
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)/発行

情報をいかに効率的に吸収し、それをいかにわかりやすくできるか。話す、聞く、書く、質問、図解による伝え方のコツを伝授。

“あの人”とうまくやるための対話力の高め方
北川達夫/著
河出書房新社/発行

知らない人、嫌な人とのコミュニケーションほど気乗りしないものはない。どうしたらいい?嫌な相手とラクに話す方法を解き明かす

そんな「口のきき方」では恥をかく
日本語倶楽部/編
河出書房新社/発行

考えなしの物言い、つい余計なひと言で、相手に舌打ちされないための“会話チェック本”で、大人の会話ができる社会人になろう!

品のいい人と言われる言葉づかい
日本語倶楽部/編
河出書房新社/発行

挨拶する、頼む…何気ない会話の中にこそ、あなたの品格が表れる!相手の気分を害さずに言いたいことを伝える話し方が身に付く本。

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