“引き寄せ”って結局なんなの? 今さら聞けない「引き寄せの法則」をマンガで知ろう

人間関係

公開日:2015/9/23

 ここ数年、いたるところで「引き寄せの法則」という言葉を目にするようになった。なんでも、モデルの道端ジェシカが実践しており、その成果(?)としてF1ドライバーのジェンソン・バトン氏とセレブな結婚ができたとか…。調べてみると、たくさんの類書が出版されているが、どうやら『ザ・シークレット』(ロンダ・バーン/角川書店)という自己啓発書がその発端となっているらしい。しかしいきなり入門編として読むには少々ボリュームがあるので、カンタンにその内容を知りたいと考えていたところ、見つけたのが『まんがで叶える 引き寄せの法則』(Miko、城咲綾/あさ出版)だ。

 まんがのストーリーはこうだ。デザイン事務所で働く28歳のあすかは彼氏にフラれ、その上、仕事も停滞ぎみ。ふと同僚の由美を見ると、彼女は仕事も恋も何もかもがうまくいっている。そんな中、由美が「引き寄せの法則」を実践していると知って――というもの。

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 著者のMiko氏は、ブログで「引き寄せの法則」実践のコツを発信している人気ブロガー。本書では「引き寄せの法則」とは一体何ぞやというところから始まり、法則のしくみ、うまくいかない場合の考え方など、ポイントを絞った解説がわかりやすくまとめられている。

 本書によれば、「引き寄せの法則」とは、自分の叶えたい夢や願いをワクワク妄想していると、やがて適切なタイミングと場所で、「偶然」「たまたま」といった想定外のかたちで願いが実現する=引き寄せる、という法則のことなのだそう。これだけでは何のことやら、だったのだが、読み進めていくと、願いを叶える・叶えないということ以前に、ふだん生活する上でも心がけていきたいアドバイスが紹介されていた。

 たとえば、本書中では「ピンクのエネルギー」と「グレーのエネルギー」という例が挙げられている。「ピンクのエネルギー」は楽しく充実した気持ちで過ごしていると出るもので、「グレーのエネルギー」はネガティブな状態に落ち込んでいるときに出るのだという。ワクワクした気分で「ピンクのエネルギー」に満たされていると「引き寄せの法則」が発動しやすくなるが、逆に願い事を「どうしても叶えたい!」と思いつめてしまうと、手に入らない思いが強くなり「グレーのエネルギー」に傾く。すると、かえって願いは叶いにくくなってしまうというのだ。

 エネルギーやオーラという話が出てくると、どうもうさんくさい雰囲気になってしまうのだが、確かにネガティブな気持ちが強い時期というのは何をやってもうまくいかず、さらに自己嫌悪を感じて悪循環に陥ってしまうという経験は多くの人が持っているのではないだろうか。また、こうした考え方は、発した言葉が現実の結果に影響を及ぼすという日本古来の「言霊」の考え方に通じる部分もある。

 まんがでは、主人公のあすかはだんだんと「引き寄せ」をマスターし、成功をつかんでいく。若干、某通信教育の販促冊子に載っているまんがのようなできすぎ感は否めないが、ネガティブ思考のドツボにはまりがちな人が、いったん自分を俯瞰で見て「こういう考え方もある」と発想の転換をはかるきっかけにするにはよいテキストなのではないだろうか。

文=本宮丈子