年収が高い人の共通点は“声”にあった!「声を変えるだけで仕事がうまくいく」

ビジネス

更新日:2016/1/13

 ビジネスで自分に足りないものは何か。おそらく、その問いに「声」と答える人は多くないだろう。しかし、その「声」こそ、ビジネスパーソンとしての格を上げるための道具になるかもしれない。『声を変えるだけで仕事がうまくいく』(マイナビ)の著者である秋竹朋子さんは、ビジネスのためのボイストレーニングで、述べ3万人のビジネスパーソンの声を変えてきた。生徒には、社会的に地位の高い人物も多い。豚骨ラーメンで知られる人気店「博多一風堂」の創業者・河原成美社長は、トレーニングの効果を評価して、社員研修にボイストレーニングを採用したそうだ。

 本書では、「声まで気を配ってこそ、ビジネスパーソンとして成功できる」と指摘。「名刺交換がうまくできない」「人前でうまく話せない」「思っていることをうまく伝えられない」と、一見「振る舞い」や「話す内容」に関係しているような悩みも、「声」の適切なアドバイスで解決している。発声によって話の内容に説得力が出るので、声の訓練はトークに自信がない人にも効果的と言えそうだ。

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 第一印象で与える声の作用にも注目したい。ファッションや髪型といった見た目に気を使える人は多いが、声にも注意を払うべきだろうか。本書では、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが導き出した、相手の情報が少ない時にどんな情報を優先して相手を判断するかという研究結果を参考にしている。

「見た目・表情・しぐさ」55%
「声の質・速さ・大きさ・口調」38%
「話す言葉の内容」7%

 この結果によると、第一印象では、話の内容よりも、声や話し方が重要になっていることが分かる。たしかに、相手に聞き取りやすい声で喋ることは、最低限のビジネスマナーとも言えそうだ。初対面の相手との会議で、「声がよく聞き取れず、結局何を話していたのか、よく分からなかった」といった経験もあるだろう。せっかく話す内容を工夫しても、声が良くなければ聞き入れてもらえないとは、損をしているとしか言いようがない。

「“おはようございます”を聞いただけで、その人の年収をある程度言い当てることができる」という記述も興味深い。企業のトップや社会的にリーダーと呼ばれている人に共通するのは、まず腹式呼吸でしっかり挨拶できること。肺にたっぷりと空気を入れて、勢い良く声を吐くことで、声の通りが良くなる。その結果、パワフルな印象を与えることができるのだとか。

 もうひとつ、「“お”の使い方が上手」なことも年収の高い人たちに共通する。母音の中でも暗い音になりがちな「お」を攻略するには、腹式呼吸をマスターした上で、のどを開くことが大切。訓練には「げんこつ含み法」が効果的だそう。手をグーにして開いた口に当て、人差し指と中指を軽く噛みながら「オー」と声を出す、とじつに簡単な方法だ。

 もともと声にコンプレックスがある人は、自分には無理だと思うかもしれない。しかし、「声は生まれつき」とは単なる思い込みで、どんな声でも良くなる素質はあるというのが本書の考え方。もしかしたら声のコンプレックス自体、発声法によって解決できるかもしれない。

 本書では、基本的な声の出し方に始まり、クライアントに謝罪する時、部下を説得する時、と状況にあわせた声の技術や、プレゼンやスピーチが上手になる声のテクニックなどを紹介している。ちなみに、謝罪の時の演技は、女性より男性のほうが下手な傾向があるそうだ。一つ一つの単語の語尾を飲み込むように喋ると反省している感じが出るそうなので、上司にミスを報告する時に試してみてはいかがだろうか?

 筆者もいくつかの方法を試したが、その明確な違いに驚いてしまった。恥ずかしがらずに実践することと日頃の訓練を怠らなければ、スティーブ・ジョブズのようなスピーチも夢じゃないかもしれない。そして、年収アップにも期待したい!

文=麻布たぬ