『それでも僕は君が好き』『ピースオブケイク』…ダメ男キャラを通して、男を見る目を磨け!

マンガ

公開日:2015/10/1

 仲のいい女友達に一人、いわゆる”ダメ男好き”がいる。彼女の好きになる男は、必ず、浮気癖、借金癖、ギャンブル好きのどれかが当てはまる。友人みんなが「あいつはやめとけ」と言っても聞かないので、半ば諦めているが、最終的にはボロボロになって終わっているのを何度も目撃した。いい加減、この負のスパイラルから抜け出てほしい。

 そこで筆者は思った。「最低なダメ男が出てくる漫画を読めば、自分を客観的に見ることができるかも?」と。幸いにも、過去の(ダメな)恋愛を振り返るのにうってつけの作品がある。別冊少年マガジンで連載中の『それでも僕は君が好き』(絵本奈央:著、徐 譽庭:原著/講談社)は、まさにそれだ。9月28日~10月1日まで4夜連続の実写ドラマ化にもなった。主演は小出恵介だ。

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 ある日、芹沢にかかってきた1本の電話。声に聞き覚えはあるが、相手の名前まではわからない。どうやら、過去に関係のあった女性のようだが、一体誰なのか? 心当たりのある女性たちとの思い出を一人ひとり振り返っていく…という展開なのだが、この芹沢という男、毎度毎度、相手の女の子を傷つけて恋を終わらせていく。もちろん、本人にも葛藤があって、すべてに悪気があるわけではないけど、「今それ言うか?」「なぜそんな行動するのか?」というイライラが読んでて止まらない。芹沢目線で進む物語だから多少ひいき目になれるが、逆の立場だったらどうだろう。相手の女の子たちが哀れでならない。


 ジョージ朝倉の『ピースオブケイク』(祥伝社)も、ダメ男の宝箱みたいな作品だ。現彼女とズルズル付き合いながらも、新しい女に目がいってしまうダメ男の典型が登場する。腹が立つのは、本人に悪意はないところ。ちゃんと彼女を大切にしたいという想いが描写されているからこそ、余計ムカつく。「どんなに言い訳してもやってることは浮気だから!」と、ついガチなツッコミをしてしまったほど…。これもこの秋に多部未華子主演で実写映画化されている。


 しかし、上記2つの作品を軽く凌駕するダメ男がいる。『生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと』(永瀬ようすけ/双葉社)の主人公・和也だ。漫画家志望だったが目が出ず腐っていた和也は、幸せそうな友人たちを見て恨みを募らせていた。そんな和也がひょんなことから小学校6年生にタイムスリップしたとき、世にもおぞましい計画を打ち立てる…。初恋の女の子を犯すため、周囲を不幸へと突き落としていく和也が悪魔に見えてくる作品。しかし、そんな性根が腐った和也に恋心を抱く女子生徒がいたりするので、本当人の好みってわからない。

 さて、冒頭の彼女にこれらの漫画を紹介してみた。すると彼女はこう言った。「この漫画を今の彼(浮気&借金の二重苦)に読んでほしい。そしたら、自分がどんなにダメな男かを認識できるじゃない?」。…なんか違う気もするけれど、打開策になるならまぁいっか。ダメ男に悩んでいる真っ最中だというアナタの意見も聞いてみたい。

文=中村未来(清談社)