安倍総理もハマる手軽な健康法、「呼吸法」のブーム再燃か!? 1分で心が軽くなるポジティブ呼吸法とは

健康

公開日:2015/10/9

『たった1分で心が軽くなるポジティブ呼吸法 』(響 怜於奈/小学館)
『たった1分で心が軽くなるポジティブ呼吸法』(響 怜於奈/小学館)

 ジワリ、ジワリと、呼吸法ブームが再燃している。最近ではあの安倍総理が、ハーバード発の「4-7-8呼吸法」を実践していることが報じられ話題となった。記事によれば「これをやると落ち着ける。この呼吸法で、国会での野党からの追求にも耐えています」(『週刊新潮』2015.9.17号)と笑いを誘いながら自らの健康法を披露したという。呼吸法は多忙な人でも取り入れやすく、比較的、効果を体感しやすいという一例だろう。

 一国の総理を始め、オフィスや教育現場において人々のメンタル強化・ストレス対策が大きな関心事となっている昨今。「ストレス心理学」のエキスパートがメンタル強化・ストレス対策につながる呼吸法を指南した『たった1分で心が軽くなるポジティブ呼吸法』(響 怜於奈/小学館)が発刊された。誰でも簡単にでき、いつでもどこでも行えてその効果をすぐに感じられるという、即効性ある「ポジティブ呼吸法」とは、いったいどんなものなのか?

なぜ呼吸は心と体に効果があるのか

 本書で最初に説かれるのは、呼吸の科学的効果や心との関係性だ。たとえばオフィスで、あなたがなんらかのストレスや不安に直面したとしよう。その瞬間、体は無意識のうちに緊張感が高まり、心拍数は上昇し、少しでも多くの酸素を取り込もうと“早くて、浅くて、弱い呼吸”に陥りがちになってしまう。本書の解説をふまえてそのメカニズムをざっくりご説明してみると…。

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なんらかのストレスを受ける・感じる

不快刺激をキャッチした体はすかさずストレスに対抗しようと、交感神経を優位にする

“闘争と逃走の神経”という異名をもつ交感神経は、危機に備えて臨戦態勢を整える

すなわち心拍数が増加し、血圧も上昇。ぼんやりしていては反応できないため、体に緊張感がみなぎってくる

耐え難い“ドキドキ感”に包まれる

…という図式になる。その状況をコントロールできる唯一の方策が、呼吸なのだ。

 ふだん、自律神経によって支配されている呼吸だが、呼吸は自分でコントロールが可能である。そして呼吸をコントロールすることで、自律神経を逆コントロールすることも可能となるのだ。“ゆっくりと深い呼吸”を行う。たったこれだけで副交感神経が優位になり、ドキドキ・バクバクしていた緊張感から心と体を解き放ち、ゆるやか~なリラックス状態に導いてくれるのだ。

集中力を瞬時に高める「中心力呼吸」

 では、本書の中から〈会議でのプレゼンや恋人の親への結婚挨拶など、失敗できない重大事の前におすすめ〉だという、集中力を高める呼吸法をご紹介してみたい。ポイントは吐くことに集中して腹圧を高めること。やり方は次のとおり。

1、イスに腰を掛けて姿勢を整え、おへその下側に両手を当てる(科学的自然体をとる)
2、口から12秒で強く長く息を吐きながら、お腹をへこませる
3、鼻から6秒でゆっくり息を吸い、お腹をふくらませる
4、2と3をくり返す

 上記の“科学的自然体”とは健康科学の視点から見た自然体の状態であり、力が抜けるべきところ、入れるべきところが正しく意識されている姿勢のこと。簡単に言えば、首、肩、胸などの上半身は力を抜き、腰から下の下半身には力を入れる。上半身の力が抜けると、深くてゆったりした呼吸ができるというわけだ。

“響式ポジティブ呼吸”6つの基本ルール

 このように呼吸はきちんとした裏づけがある“科学”であり、定められた手順をふまないと、いざ試してみても思いのほか効果が出ない。ということで、本書には著者の響氏が提唱する6つのルールが紹介されている。

●よりスムーズに空気を取り入れられる姿勢で(上記の科学的自然体で)
●まず息を「吐く」
●「息の吐き方」は3パターン(鼻から吐く、口から吐く、鼻と口の両方から吐く)
●必ず「鼻から吸う」
●吐く時は意識して吐き、吸う時は自然に任せて吸う
●自分が「心地いい」と感じる呼吸でOK!

 呼吸法を行うときは“自分が気持ちいいと思う秒数で行っても良い”というあたりが特徴的で、実際に試してみて、やりやすさを実感した。

 ほかにも、窮屈な満員電車での不快気分を解消する「電車ユラユラ聴息法」や、苦手上司への進捗報告前に行いたい「プチ気合呼吸」、夕方のだる重さをリセットする「屈伸呼吸」等、日常生活で直面するさまざまなシチュエーションで使えそうな呼吸法が10紹介されている。

 もはや“呼吸は科学”の時代。イライラ、クヨクヨなど“心のざわめき”モードに陥ったら、すかさず呼吸法を行ってみる。副交感神経を優位にもちこみ、心のポジティブスイッチを押してみるのだ。人生、ピンチのときこそ動じずに平常心を保ち、いかにふだんのパフォーマンスを発揮できるか否かで、その後の展開がいかようにも変わってくるもの。何か大きなイベントを予定している方はぜひ、呼吸でモードを変えてみてほしい。

文=タニハタ マユミ