吉成曜監督が語る、魔女っ子アニメ映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』の魅力とは?

マンガ

公開日:2015/10/9

 公開が開始された劇場アニメ『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』。本作は2013年3月に公開された『リトルウィッチアカデミア』の続編で、第一作から2年半の時を経て、10月9日(金)から2週間限定で上映されます。

 このシリーズの特徴は、今時珍しいほど王道な“魔女”ぶりと、実力派アニメ制作会社のTRIGGERによる楽しくゆかいなアニメーションです。今回はそんな夢に溢れた本シリーズおよび最新作について、制作の指揮を執る吉成曜監督たっぷりと伺いました。

    (C)2015 TRIGGER/吉成曜/GOOD SMILE COMPANY

――『リトルウィッチアカデミア』は「アニメミライ」プロジェクトの「アニメーター育成」という目的から着想されたと伺いました。ほかにも色々な“新人育成”ものは考えられたと思いますが、そのなかで魔女ものを選んだ理由を教えてください。

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吉成:アニメミライの作品として、プロデューサーから「魔女もの」というアイディアの提案がありました。アニメーター育成のための作品という部分と「魔女もの」というテーマがうまく合って、物語がまとまったと思います。

――『リトルウィッチアカデミア』は海外での評価が非常に高かったそうですが、その理由をどう分析されますか?

吉成:アメリカのTV局「カートゥーンネットワーク」で、以前、ガイナックスで手掛けた『フリクリ』(2000~2001年制作)を放送したところ非常に人気が高く、アメリカのアニメファンに日本の作品が浸透し始めてきたと感じました。そうした動きがきっかけとなり、今回のようにファンに支えられるようになったのかなと思います。2015年7月のアニメエキスポでの『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』先行上映では、アメリカのファンのみなさんの熱気がすごく、こちらも元気づけられました。

――魔女見習いの主人公アッコの設定はどのように作られましたか?

吉成:当初は真面目な性格にするか、自由奔放な性格にするかで迷っていました。しかし後先を考えずに行動するほうが物語を展開がしやすいと思い、今のような性格になっています。デザインもその性格に合わせて一緒に決めました。

――『リトルウィッチアカデミア』のキャラクターデザインで意識していることを教えてください。

吉成:短い作品だったのでキャラクターの説明を極力しなくても済むよう、ひと目でわかるシンプルなデザインを意識しました。ライバルキャラクターや、その取り巻き連中もなんとなくその性格が伝わるようにデザインしています。

――『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』の制作にあたって掲げたコンセプトを教えてください。

吉成:シナリオの初期段階では、不良っぽいキャラクターが登場し、反乱を起こすために周りを引っ掻き回すようなイメージでした。結局そのコンセプトとは方向性が変わってしまったのですが、リーダー格のアッコとアマンダが、それぞれ周囲の人々を巻き込んでいくという名残りはあります。

――吉成監督の作品らしく映像も見どころが多い作品になっています。特に注目してほしい/気に入っているシーンを3点教えてください。

吉成:まずアクションシーンですね。追っかけっこをしているシーンに注目して頂きたいです。キャラクターの心情面では、仲直りのシーン。最後に、エンディングの爆発シーンは、わかる人には盛り上がってもらえるシーンだと思います。

――今のところアッコが通う魔法学校の周辺が舞台となっている『リトルウィッチアカデミア』ですが、どのような世界観なのでしょうか?

吉成:魔法が当たり前に存在する、現代と変わらない世界として描いています。あの世界では魔女も数ある職業のひとつ。もちろんほかにも魔法学校はあります。ただ、たとえば魔女がほうきに乗って空を飛ぶことが一般的には禁止されているなど、多少、現実とずれている部分はあります。

――『リトルウィッチアカデミア』での魔女像は黒服、杖やほうきなど近年のアニメでは珍しいくらいオーソドックスです。影響を受けた作品や、参考にした作品はありますか?

吉成:イギリスの児童文学で、海外ではドラマとしても放送された『ミルドレッドの魔女学校』という作品が印象に残っています。テレビでドラマを観て、非常にアニメ向きの作品だなと感じました。定番の設定ではあるのですが、魔法学校や寄宿舎が舞台であったり、作中の主人公がほうきに乗れなかったり、魔女の血筋ではなかったり……改めて考えると、特に設定面で影響を受けている部分がありますね。

――『リトルウィッチアカデミア』は今後も色々な物語を展開できそうな作風です。もし「自由に続編を作っていい」となったらどんな作品を作ってみたいですか?

吉成:群像劇を作りたいので、アッコだけでなく、ほかのキャラクターの目線から見た世界も描いていきたいですね。また現在、ウルトラジャンプとりぼんで2種類のマンガが連載中です。個人的に『リトルウィッチアカデミア』の世界観が他人からどのように解釈されているか単純に楽しいですし、うれしいです。映画を観てあの世界を気に入ったかたは、ぜひそれらも読んでほしいですね。

――ありがとうございました。

取材・文=はるのおと

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