いよいよ始動したマイナンバー制度 通知カードを受け取ったらどうする？

　今月5日、マイナンバー法が施行された。順次、住民基本台帳に登録のある国民または外国籍を有する人たちへ「通知カード」が発送されているのは、すでに多くの報道で伝えられていることである。

　政府広報によれば、2016年1月以降から社会保障、税、災害対策の手続きで本格的な運用が開始され、2017年1月からは、行政関連の個人情報を各自の番号ごとにネット上から確認できる「マイナポータル」がスタートする。すでに通知カードを受け取った人たちもいるかもしれないが、自治体ごとに若干のバラつきがあり、全国的にはおおむね11月中に発送を完了させる見通しだ。

　では、手元に通知カードが届いたら、私たちはどうすればよいのだろうか。マイナンバー法について解説した書籍『マイナンバー国家改造計画 12ケタの番号が日本社会を変える』（梅屋真一郎/日経BP社）から紹介していこう。

　尚、前段として通知カードは、住民票に記載された住所へ送付される。そのため、居住地と住民票の住所が異なる場合には、あらかじめ異動の手続きが必要となる。ただし、家庭内暴力の被害を受けたなどの理由で居住地を特定されたくない場合には、市区町村の窓口で相談を受け付けている。

　それでは、同書にもとづき通知カード到着後の流れを整理していこう。

1）通知カードは大切に保管する

　通知カードは簡易書留により、世帯ごとへ発送される。家族や同居人がいる場合は全員分が届いているかどうか、氏名や住所などに誤りがないかをしっかりと確認してから、紛失しないよう大切に保管しよう。また、通知カードと共に「個人番号カード」の申込書が同封される。こちらの手続きについては、のちほど紹介していく。

2）勤務先などへマイナンバーを届ける

　来年1月以降から始まる社会保障や税の手続きによるマイナンバー使用を受けて、パートやアルバイト、正社員などの雇用形態を問わず、従業員は会社へマイナンバーを届け出る必要がある。加えて、副業を手がける人や自営業者は、確定申告の時に必要になるため税務署へ申告しよう。

　尚、扶養家族がいる場合は家族のナンバーを申告者が記載するだけでよい。また、自営業者の場合は取引先との支払調書にも記載する必要があるため、それぞれ、会社や各関係先などに対応を問い合わせてみてほしい。

3）年金受給者・退職者も申告が必要。金融機関にも届け出る

　年金を受け取る高齢者も日本年金機構へマイナンバーを、本人確認書類と共に届け出る必要があるほか、先の自営業者と同じく確定申告のときも必要になる。ただし、今年8月末の時点で、年金分野についての紐付けは延期されることが決まった。

　また、退職者も国民健康保険への加入手続きのときには、マイナンバーの申告が求められる。ただ、従来の国民健康保険加入時に必要だった「健康保険資格喪失証明書」の添付は、マイナンバーの使用により省略可能になる。

　さらに、投資信託や株式、国債などの取引口座を持っている場合には、金融機関にもマイナンバーの申告が必要。尚、様々な金融機関に口座を持つ場合には、それぞれの対応に沿って手続きを済ませよう。

4）個人番号カード交付の手続きに備える

　個人番号カードは2016年1月からの交付が予定されている。通知カードと共に同封された申込書により、市区町村の窓口で申請しよう。尚、原則として本人確認書類と共に本人による手続きが必要とされているが、病気や障がいなどの理由により窓口へ出向くのが困難な場合は、委任状を持った代理人により手続きを取るのも可能だ。

　そして最後に、2017年1月からの始動を予定しているサービス・マイナポータルについてもふれておこう。

　マイナポータルを使用すれば、行政機関の持つマイナンバーに関わる情報の閲覧や、情報をいつ誰が利用したかという履歴の確認、さらに、住民異動などの手続きをネット上で済ませられるようになるという。また、市区町村の窓口にもマイナポータル専用の端末が設置される予定だ。

　以上、簡単ではあるが、通知カード受け取りからの流れを書籍『マイナンバー国家改造計画 12ケタの番号が日本社会を変える』（梅屋真一郎/日経BP社）から整理してみた。ただ、発行日の2015年8月3日を最新とするデータであるため、現在も議論の続く各分野でのマイナンバー使用開始時期などについては、各省庁などからの公式情報も随時確認してもらいたい。

◎特集 マイナンバー（政府広報オンライン）
http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/
◎一般社団法人マイナンバー推進協議会
https://www.mynumber.or.jp

文＝カネコシュウヘイ