21世紀最大級の“異種格闘技戦”? 猫vsフクロウのかわいさ頂上決戦『フクとマリモ』

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/18

 異種格闘技戦といえば、アラフィフの呼び声高い自称アラフォー世代にとっては、1976(昭和51)年「アントニオ猪木 vs モハメド・アリ」が、なんといっても思い起こされるのではないでしょうか。プロレス技ほぼ禁止状態で生み出された、リングに腰を落としてローキック戦法で攻める猪木、そしてパンチの届かない位置に攻めあぐねるアリ。地球最強の人間はどちらか?と注目された世紀の一戦の勝敗は、引き分けに終わりましたが、あれから約40年の時を経て、新たな最強対決が生まれます。それは、「猫 vs フクロウ」のかわいさ頂上決戦書籍と表現しても過言ではない『フクとマリモ』(五十嵐健太/KADOKAWA)であります。


 ハンドメイドショップや小洒落たカフェの集う大阪・中崎町の「HUKULOU COFFEE」で看板フクロウとして人気を集める「フク」のもとに、やってきたのは子猫の「マリモ」。このシチュエーションからして、東京・後楽園ホールを主戦場とする「新日本プロレス」の看板選手「アントニオ猪木」のもとに、「モハメド・アリ」がやってきました、と脳内変換できてしまう類似性を感じられるのではないでしょうか。そうでもないですか、そうですか。

 燃える闘魂に対して、蝶のように舞い蜂のように刺す異種格闘技を思い浮かべながら、そのページをめくると、出るわ出るわ、まんまるお目々たちのランデブー。小さな段ボールハウスで頬を寄せ合い眠る2匹。共に窓の外を見ながら、フクの羽に前脚を掛けるマリモの後ろ姿。スマホサイズの小さな2匹ですが、写真に写るその姿に目はクギ付け。穏やかにがぶり寄るモフ vs モフの間に割って入りたい衝動に駆られること間違いありません。熱い戦いならぬ、ほどよいぬくもりを感じるぬくい戦いといったところでしょうか。

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 朱が交わると赤くなりますが、異種が交わるとこんなにもかわいくたのしくエキサイティングになるのだと、約40年前にブラウン管テレビの前で感じたあの思いを、新たにすることができる一冊です。

文=猫ジャーナル


フクとマリモ』(五十嵐健太、監修 HUKULOU COFFEE 永原律子/KADOKAWA)
『飛び猫』のカメラマンによる撮り下ろし「子猫&フクロウ」写真集。仲睦まじい2匹の愛らしさに、SNSや海外メディアも大注目。その人気に押されて、発売後間もなく重版が決定。