三島由紀夫の隠れた怪作が20万部突破!三島作品No.1を決定する“緊急国民投票”も開催中 『命売ります』もラインクイン

文芸・カルチャー

更新日:2017/10/17


 1968年に『週刊プレイボーイ』にて連載された、三島由紀夫の長編小説『命売ります』。同作は、従来の三島作品のイメージを覆すような、軽いタッチとスリリングな展開で繰り広げられる、極上のエンタメ小説だ。

 1998年に文庫版が刊行された『命売ります』だが、2015年10月13日(火)に累計発行部数が20万部を突破した。刊行から2015年6月までの17年間の発行部数は約4万部。静かな売れ行きの作品だったが、新しい帯を付けて再展開を始めた2015年7月から人気が爆発し、計17万部を重版することに。

 その人気は、各書店の“週刊文庫ランキング”や、“月刊文庫ランキング”で1位を獲得するほど。映画化やドラマ化されたわけでもなく、突如、文豪・三島由紀夫の名前が2015年の文庫ランキングに並ぶということは“事件”と言えるかもしれない。

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 この異例のヒットの背景には、“文豪作品再評価”という文庫の新トレンドの兆しがあるといえる。30~50代の女性が「今までとは違った価値観で、文豪作品を読んでみよう」、または「読み直してみよう」とするトレンドがSNSなどから見えてきたという。これには、芥川賞を受賞した又吉直樹が、太宰治をはじめ、文豪とよばれる作家の魅力を積極的に発信している影響もあるといえるだろう。また、名だたる文豪がイケメンとして登場して人気を博す『文豪ストレイドッグス』の大ヒットにより、文豪が身近な存在となったことも大きい。『命売ります』の突然のブレイクは、新たな文庫ブームの幕開けを告げるものになりそうだ。

 そんな、自分だけの“隠れた名作”を再発見したいという読者の要望が高まっている中、2015年に“生誕90年・没後45年”にあたる三島作品に関するアンケートが開催されている。2015年10月15日(木)から始まった「90年目の決着! 2015 今の私が1番オモシロイと思う三島由紀夫作品は…」と題された、三島作品No.1を決定する“緊急国民投票”である。

 No.1を獲得する三島作品は、やはり王道の名作なのか、それとも意外な作品なのか。今の読者が感じ、求めている三島作品が炙りだされるだろう。なお、集計結果の発表は、三島の命日である11月25日(水)(憂国忌)を予定している。

三島由紀夫作品・緊急国民投票」
投票期間:2015年10月15日(木)~11月14日(土)
プレゼント企画:投票した方の中から、新潮文庫『HANDY NOTE』&ちくま文庫『月のノオト』を抽選で5名にプレゼント。※ともに非売品
結果発表:2015年11月25日(水)
⇒詳しくは「三島由紀夫作品・緊急国民投票」投票フォームまで

■『命売ります
著:三島由紀夫
解説:種村季弘
カバー装画:山本容子
価格:680円(+税)
発売日:1998年2月
出版社:筑摩書房

目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、これを売ろうと新聞広告に出したところ…。危険な目にあううちに、ふいに恐怖の念におそわれた。死にたくない―。三島の考える命とは。