52年ぶりに図書館に本返却「元の場所に返却すべきときが来た。処理は任せる」上から目線に疑問の声!?

社会

公開日:2015/10/29


 DVDをレンタルするも、つい返却を忘れてしまい、後悔しながら延滞金を支払う… ということは、よくある話だ。このたび、アメリカで起きた話の“返却期限”があまりに桁違いだったため、日本でも話題を呼んでいる。

 1963年1月3日、アメリカのオレゴン州ポートランドにある州立大学図書館で貸し出された、『Basic Principles of Speech』と『Preface to Critical Reading』という2冊の本。

 貸し出されたまま戻ることがなく時が過ぎたのだが、2015年10月、同図書館の返却コーナーに、その2冊の本がいたって普通に返されていたという。また、返却された本は輪ゴムで止められており、間に「高校のスピーチの授業のため借りた」と説明された手書きのメモが。そしてメモには、こうも綴られていた。

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 「本を元の場所に返却すべきときが来た。期限が過ぎていることは百も承知。処理は任せる」

 このセリフに対して、多くの人から「何で上から目線の物言い?」「謝罪の言葉はナッシング?“返却すべきとき”とか超偉そう」「どういうこと?ただの借りパクなのに!」「とりあえず土下座」といった声が上がった。ただ一方で、「原文を読まないと上から目線かどうかわからない。訳し方で変わるはず」「そもそも英語には謙譲語・丁寧語のようなものがないので、翻訳のさじ加減でどうにでもなる」と翻訳された文章にトゲがあると指摘する鋭い声も。

 また、「『ごめんなさい』を言うと、全面降伏と捉えて賠償金を請求される国だしな。これが精一杯なんだろう」「メッセージに一言の侘びも入ってないのがアメリカらしい。謝ったら巨額の賠償金取られるもん」と“アメリカの文化によるところ”とする人や、「返したのは偉いと思う」「52年間も本を大切に置いてたんだな」「おそらく部屋を片付けてたら出てきたんだろうけど、年月考えたら『返す』という選択肢はないのが普通。きちんと返却したのはすごい」など、返却したことを称える人も見られる。

 中には、「2年延滞して、こっそり返したことがある」「私も15年くらい延滞してました…返却したら笑われました」など、同様の経験をした人も少なくないようだ。

 返却された図書館側は、延滞に対し罰金を科しておらず、どう対応したらいいか決めかねているとのこと。

 日本語のニュースでは削られていたが、手紙には“They have moved with me many times.”という文も書かれている。この文は“この2冊は、常にわたしと共に歩んできた”とも解釈ができ、返却者が52年間大切にしていたことが窺える。その上で、返却者の人生経験や環境が変わったことにより、遂に返却すべき“とき”を迎えたのかもしれない。ほっこりニュースなのか上から目線にむっとすべきニュースなのか分からないが、無事に戻ってきたので一件落着でいいのではないだろうか。