超一流エリートは働きながら休んでいる! 仕事の質を高める超休息術「アクティブレスト」とは

ビジネス

公開日:2015/11/1

『超一流の超休息術』(潮凪洋介/ワニブックス)
『超一流の超休息術』(潮凪洋介/ワニブックス)

 ブラック企業やブラックバイトなど、労働者の過重労働が社会問題になっている。しかし、総合商社や外資系金融業に勤務するエリートと呼ばれる一流ビジネスマンは、昼も夜もなく、週末でも飛行機に乗って世界を飛び回って休む暇もなく仕事をしている。いったい彼らはいつ休んでいるのか。

 『超一流の超休息術』(潮凪洋介/ワニブックス)は、作家・エッセイストとして多くの一流人と交流のある著者が、彼らに「どんな休息を取っていますか?」と聞き取りを重ね、まとめあげた超一流の休息術を紹介している。著者みずからの身体で実験して効果を実証したという休息術「アクティブレスト」とは、いったいどんなものなのか。

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デスクの引き出しを片付ける

 試験勉強で机に向かっているとき、仕事が溜まっているとき、いつの間にか部屋の掃除を始めてしまっていたという経験はないだろうか。普通の人は、無駄な時間を使ってしまったと後悔するところだが、掃除には不思議な力があるという。軽い運動で身体がほぐれる。気分がリフレッシュする。使っていなかった脳の部分を動かすことでアイデアも生まれる。そして周囲が整理整頓されていれば作業の効率も上がる。まさに理想の休憩法だと著者は語っている。掃除が苦手な人はデスクの一番上の引き出しだけ片付けたり、不要な物をひとつだけ捨てたり、簡単なことから掃除の習慣を身につけることを勧めている。

日曜日に1時間だけ仕事する

 日曜日の夕方ごろになると、翌日からの会社通いに憂鬱な気分になってしまう「ブルーマンデー症候群」に陥っているサラリーマンは多いと思う。せっかく休んだのに気分が晴れず、休日が台無しになってしまう。そうした不安や憂鬱を解消するためには、日曜に1時間だけ仕事をするのがいいそうだ。実際に仕事を仕上げる必要はなく、作業の段取りを考えたり、プレゼンの準備をしたり、やりかけの作業でもよい。仕事から逃げる心理を、仕事を追いかける心理に変えることで月曜日からのスタートが楽に迎えられるのだという。

朝5時に起きる

 仕事に追われ、納期が迫り、退勤時間になっても作業が山積みで残業になる。そんな状況下での仕事は余計に心労や疲労を溜め込んでしまい、1日の疲れを翌日に残して悪循環になる。そうならないためには早朝から起床し、前倒しで一日を始める「早起き」が有効だという。世間がまだ眠っている時間帯にすでに動き出している自分に自信が生まれ、精神的に余裕を持っているほど仕事はスムーズに進むので無駄に疲れないという。「早起き」が効果的な証拠として、著者の出会った一流人の多くは「朝型人間」だったとか。

睡眠を改善する

 疲れを取るにはやはり睡眠が一番手軽な方法だ。しかし、ただ疲れたら眠るのではなく、予定を組んで計画的に眠り、仕事と睡眠の効率的なサイクルを作る方法を紹介している。例えば、疲れが溜まる週の真ん中の水曜か木曜日あたりを熟睡デーと決めておき、早めに仕事を切り上げて帰宅したらすぐに寝てしまう。移動時間や休憩時間があればできるだけ仮眠にあてる。徹夜での作業を強いられるときも、2時間働いたら効率のために1時間は必ず寝る。昼寝や仮眠を短時間でも取れるのであれば早起きでも辛くないのだそうだ。

太陽にあたる

 仕事をしていて「疲れた」、「だるい」と感じたら、それはセロトニン不足かもしれない。セロトニンはホルモンの一種で、人間の体調管理や精神状態に良い影響を与える。少しの時間だけでも日光浴をすることでセロトニンの分泌が活発になり、仕事への緊張感やイライラがなくなりストレス緩和になる。またセロトニンが不足していると不眠症、うつ病になりやすいともいわれている。太陽のあたらない部屋で一日中デスクワークをする人や、夜型生活が続いてしまっている人には注意を訴えている。

 

肉を食べる

 疲れているときの食事は、消化に優しいあっさり系のものを口にしがちだ。しかし、疲労回復には肉を食べるのが一番良いのだという。その理由には前述したセロトニンが関係している。肉にはセロトニンの材料であるトリプトファンという必須アミノ酸のほか、セロトニンの生成に必要なビタミンB群、ミネラルが豊富に含まれている。またタンパク質は肉体の損傷を癒やし、脂質は再び身体を動かすためのエネルギー源となる。著者も人から勧められて肉を食べるようになると仕事へのやる気や持久力のアップを実感したという。

 著者は、たびたび「休息は人生で最も重要なこと」と強調する。一流人にとって休息とは、仕事のクオリティを維持するために必要不可欠な行為なのだ。上記で紹介した以外でも「お風呂に入る」「音楽を聴く」「本を読む」「映画を見る」「旅行に行く」など、いまさら当たり前のように思えるリラックス法を挙げているが、それぞれにより効果的に休息するための一工夫があり、道理にかなっている。そしてなにより簡単なのが素晴らしい。エリートなどではない私のような一般人でも今日からすぐに始められることばかりだ。仕事の疲れにお悩みの方は、この休息術を試してみてはいかがだろうか。

文=愛咲優詩