毎日10分、10ページのメモを書く! これで会議でのツッコミも怖くなくなる!!

ビジネス

更新日:2016/1/13


『頭が真っ白になりそうな時、さらりと切り返す話し方』(赤羽雄二/ベストセラーズ)
『頭が真っ白になりそうな時、さらりと切り返す話し方』(赤羽雄二/ベストセラーズ)

 職業柄、いろいろな人と話す機会があるのだが、当然ながら事前情報は収集していく。それでもその道のプロと相対すると、急ぎ仕入れた浅知恵など、却って邪魔になることが多い。理解したと思っていたことが見当違いだったとなれば、アタマが真っ白になるものだ。で、それを挽回しようとして恥の上塗りをしてしまうという悪循環を味わった人も多いのではなかろうか。

 そんな崖っぷちの状況をいかに切り抜けるのか。それを指南してくれるのが『頭が真っ白になりそうな時、さらりと切り返す話し方』(赤羽雄二/ベストセラーズ)である。

 本書はアメリカのコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」で経営戦略の立案や新規事業の立ち上げなど、多くのプロジェクトを担当した赤羽氏が、自身の持つノウハウを著した実用書。それによれば、考えの浅い人、自信がない人は頭が真っ白になりやすいのだという。

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 頭が真っ白になるのはどういう時か。それは自分が想定していない質問が飛んできた時だ。考えが浅いから、想定外のツッコミにどう答えていいか分からずうろたえる。結果として自信を失っていくのだ。では、そうならないようにするにはどうすればいいのだろうか。赤羽氏は、毎日A4用紙に感心したことや気になったことをさっとメモ書きするのがよいと解説する。

 方法としてはA4用紙に横書きで、1分の間に4~6行を書く。4つぐらいの項目を各20~30字でまとめるのだ。この1分というのが重要で、素早く書かないとあっという間に過ぎてしまう。つまり思いついたことをすぐさま紙に残すことが重要なのだ。それを10分、ページ数にして10ページを毎日続けるのが効果的という。これは物事に対して常に興味を持ち、あまり考えすぎないよう「瞬間的に」判断する力を養うための訓練である。相手の質問に瞬時に対応しなければならない場面で、この訓練は非常に役立つはずだ。

 このメモの応用として、筆者は会議やプレゼンの前に「発言予定メモ」を書いておくことを推奨している。会議で発言する内容を、簡単に3点ほどメモしておく程度でよい。これを元に進行すれば、少なくとも大事なことを言い忘れることはなくなり、質問者の発言により集中することができる。要はカンニングペーパーを用意して、それを見ながら話をするということだ。別に悪いことではないし、それで会議がスムーズに進むなら御の字である。さらに会議の進行に伴って状況が変わった場合、何度も修正して対応していくのがよいと氏は語る。ちゃんと備えておけば、どんな質問にも慌てず対処できるのだ。

 そもそもこのメモを作る方法論の下地には「何にでも自分の意見を持つ」ということがある。自分が興味を持ったことについて調べたり、より深く考えたりすることが大切なのだ。何に対しても無関心であったなら、A4メモを書くことすら難しいはずである。何を書いていいかすら分からないからだ。例えばニュースで目に留まった記事に対して、瞬間的に思ったことを書き連ねる。これだけで1枚分が成立するのだから、まずはやってみるのがいいのかもしれない。

 ただ、日記をつけても3日と持たなかった私からすれば、毎日10ページのA4メモを継続してやり遂げられるかというと、まったく自信がない。もし実行できるとしたら、それは「頭が真っ白になる」ことが切実な問題となっている人なのだろう。実際、本書のターゲットが会議やプレゼンの多い企業勤めの人であろうことは、イヤな上司への対処の仕方みたいな内容が書いてあることからも分かる。真面目に「毎日10ページ」を続けられるなら、本書は非常に役立つはずだ。その自信がある人は、ぜひとも手に取っていただきたい。

文=木谷誠(Office Ti+)