本音とタテマエを見抜ける部下になれ! 評価される部下のやり方とは?

ビジネス

公開日:2015/11/9

『上司のタテマエと本音―なぜ、あなたは評価されないのか?』(濱田秀彦/SBクリエイティブ)
『上司のタテマエと本音―なぜ、あなたは評価されないのか?』(濱田秀彦/SBクリエイティブ)

 上司の言葉を鵜呑みにして自分の頭で考えられない、もしくは誤った解釈をしていることに気づかない、そんな「残念な部下」はどんな企業にもいることだろう。かくいう私もそんな部下のひとりで、上司の意図がなかなか汲めず、大目玉をくらうこともしばしば……。間違いを指摘してもらえるのはありがたいが、いつまでもそうは言っていられないのが職場というもの。会社は学校じゃない。ダメな部下は遅かれ早かれ、上司に見限られてしまう。

 そうならないために、「残念な部下」はできる限りの努力をしなくてはならない。しかし何をどうすればいいのか見当がつかないという人も多いだろう。『上司のタテマエと本音 なぜ、あなたは評価されないのか?』(濱田秀彦/SBクリエイティブ)は、そんな上司からの評価に悩む部下たちのために、ビジネス・コミュニケーションのセミナー講師として活躍している著者が、上司のひと言に込められた意味を具体例で紹介・解説している。

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 「期待しているよ」と上司に言われたとき、部下はこの言葉をどう解釈するか。励まされていると思うか、プレッシャーに感じるか、それとも何か裏があると勘ぐるか……。解釈の仕方はその時々で異なるのだろうが、いずれにしても上司がこの言葉に込める意味合いに共通しているのは「おれを喜ばせてくれ」という心理なのだと著者は説く。それが言葉どおりの期待から出たものなのか、力不足を遠まわしに指摘するタテマエなのか、そのあたりの真意を見抜いて上司の思いに沿う行動を取れるかが重要なのだ。

 上司と部下の意識の一致度を調査した結果、上司の意図を正確に把握できていた部下はわずか3%しかおらず、残り97%の部下は上司の言葉の真意がつかめないまま仕事をしているという。おまけに、約8割の部下が上司の査定に不公平感を抱いているとのアンケート結果もある。これだと、上司と部下の間でかなりの軋轢が生じていることが容易に想像できるが、一体なぜ、そんなことになるのか。

 例えば上司の「コストダウンを徹底しろ」という指示に対して、部下が具体的には何をどうしたらよいか質問したとする。ところがこのとき、上司の方も上からの指示をそのまま下へ流していて、細かい内容がよくわからない。こういった指示に対して「わかるように説明してくれない上司が悪い」と感じる部下もいるかもしれないが、ここで部下に求められているのは質問ではなく提案なのだ。具体案を出して、双方の溝を埋めること。これこそが上司の真意を部下が把握した「3%」の答えであり、目指すべき理想像といえる。

 他にも本書では、社会人としての押さえておきたい基礎教養をはじめ、気づきさえすれば改善していけそうな事案が満載だ。例えば上司と一緒に食事へ行って「好きなものを頼んでいいよ」といわれた部下の振る舞いとして正しいのは、嬉しそうに「いいんですか?」と反応すること。あとは上司の反応を窺いつつ、上司が指定したものか、それより安いものを注文すればいい。太っ腹なところを見せたい上司に、気持ちよく奢らせてあげることが大事なのだ。一見、部下が上司に媚びを売っているように思われるかもしれないが、これはれっきとしたビジネススキルなのである。

 私は上司と食事に行くたびに「気が利かない」「常識がない」などと叱られてばかりだが、社内で済めばまだましだ。もし社外の人に失礼をしてしまったら、会社の信用を失いかねない。だからこそ、まずは上司の真意を見抜く注意力を身につけて、適切な対応ができるようになる必要があるのだ。これができれば、社外へ出しても恥ずかしくない部下として認めてもらえるはず。3%の優秀な部下と、そうでない部下との差は、ここにあるのかもしれない。私もそうあるために、まずは「何度言ったらわかるんだ!」と叱られたときにその真意を……いや、何度も注意されないようにガンバリマス。

文=上原 純(Office Ti+)