トイレに行くだけでストレス解消!? からだの不調に効くセルフヒーリング

健康

公開日:2015/11/10


『薬にたよらない心療内科医の自律神経がよろこぶセルフヒーリング』(竹林直紀/青春出版社)

 いつも通りの日常を送っているだけなのに、原因不明の動悸やめまい、頭痛、不眠に悩まされることはないだろうか。今日も明日もやることがある。それだけでなく、1週間先、1年先まで予定がつまっている――。そんな「なんとなく気が抜けない」緊張が長く続くと、ストレスが原因で「自律神経」のバランスが崩れ、からだに不調が出てしまう。

 とはいえ、今抱えている仕事や家事を投げ出すわけにはいかない! だったら、その自律神経やらと、うまくつきあっていけばいいじゃないか。そこで、自分ひとりでも実践できる自律神経の整え方を伝授してくれるのが『薬にたよらない心療内科医の自律神経がよろこぶセルフヒーリング』(竹林直紀/青春出版社)。

 自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類から成り立っている。「交感神経」はいわば車のアクセルで、おもに「日中の活動」や「運動」をするときに働き、「副交感神経」はブレーキの役割を果たし、「休息」と「栄養補給」を通じてエネルギーを再生する。ストレスを解消し、自律神経を整えるには、この2つのバランスを整えることが大切だ。

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トイレに行く時間を有効活用

 本書によると、ストレスは起床から就寝までの約17時間、時間の経過とともに確実にたまっていく。本来は、就寝までに失ったエネルギーを睡眠によって補う。また、金曜日までにたまったストレスを、週末に解消する。ところが、しっかり充電されなければ、ストレスはすこしずつ蓄積され、エネルギーは減り続けていく。そうならないためには、1時間に一度でもいいから「気分転換の時間」を作るとよい。

トイレのために、席を立って、歩く。それだけでも、まずは十分に身体的な変化がもたらされます。そして、これが重要なのですが、気分転換になります。単にトイレに行くのではなく、「いまは気分転換の時間なんだ」と意識しながら歩くのです。

イヤな出来事や不安は水に流す!

 人間、毎日生きているだけでも様々な不安やイライラがつきまとう。「さっきの一言が相手を傷つけてしまったのではないか」「相手へのイライラが鎮まらない」といった現在進行形の悩みから、「明日の仕事はうまくできるだろうか」「老後は大丈夫なのか!?」という未来や将来にまつわる不安まで。この「不安になる思考癖」がものすごくエネルギーを消耗するらしい。そして、残ったエネルギーで現実に立ち向かおうとしても前に進めず、新たなストレスがたまる。まったく悪循環である。そこで、不安やイライラを「ためない、抱えない」ために実践するのが「川に流すワーク」だ。

(1)目をつぶって、川の流れをイメージします。上流から下流へ。その流れをただ眺めています。
(2)川の表面に落葉が浮かんでいます。落葉も川の流れとともに下流へと流れ去っていきます。
(3)途中で雑念や「不安な自分」が浮かんでくると思います。それを小さく丸めて川に流してしまいます。
(4)このようにして、3分間ずっとその川を眺めます。
(※一部省略)

 3分間できるようになったら、徐々に時間を増やして1回10分間できるとベスト。移動中、入浴中、就寝前など、できる時間を探して毎日繰り返し行い、このリズムに心身を慣れさせることが大切だとか。

 そもそも“セルフヒーリング”とは、薬を使うのではなく自分の中にある「治癒力」を高めること。そのためには「自分が治す」という意識が大切で、その方法を自分で探すことも重要となる。

 本書の最終章では、自分に合ったセルフヒーリングを探すためのメニューも添えられている。「眼球をキョロキョロさせると、脳が直接刺激され、イヤな情報が書き換えられる」といった仕事の合間にできるものから、「入浴後に頭のてっぺんなどのツボにドライヤーを当てると、全身の気が流れる」など自宅でできるものまで。緊張をほぐしたいのか、それともイライラを鎮めたいのか。加えて、すぐに実行したいのか、30分ほど時間があるのか。状況によってメニューが選べるので、楽しく飽きずに実行できる。

 他にも、ポジティブになるための言葉の使い方や呼吸法、食事で気をつけることなど、本書で紹介されている方法は多岐にわたり、やる気さえあれば簡単に実践できることばかり。一生つきあっていく自分のからだは、心地よいほうがいい。そして、現代を生き抜くためには「ストレスとうまくつきあっていく」ことが必要だ。

文=麻布たぬ