11月11日「ポッキー&プリッツの日」仕掛け人が語る“企画”の極意とは?

ビジネス

公開日:2015/11/11

『面白い企画がなぜ、残念な商品・サービスに変わってしまうのか?』(太田昌宏/クロスメディア・パブリッシング)
『面白い企画がなぜ、残念な商品・サービスに変わってしまうのか?』(太田昌宏/クロスメディア・パブリッシング)

 気がつけば午前2時。明日までに「企画を出せ!」とこっぴどく言われたものの、アイデアはまったく浮かばず、途方に暮れてしまう。筆者も時折おちいることだが、企画というのは「出そう」「出さなきゃ」と追い込まれるほど出てこないのがさがである。

 そんなジレンマに悩まされる中で、ある一冊の書籍が目に留まった。ポッキーブランドの仕掛け人だった商品開発コンサルタント・太田昌宏さんの『面白い企画がなぜ、残念な商品・サービスに変わってしまうのか?』(クロスメディア・パブリッシング)である。

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 太田さんは江崎グリコ在籍時に、メンズポッキーやムースポッキーなど数多くのヒット商品を手がけたひとり。表題のとおり、お菓子の独特な形にちなんだ「ポッキー&プリッツの日」制定にも関わった立役者だ。

 太田さんは自著の中で、企画の原点は「人を好きになること」だと語る。思い返せば、商品を購入してくれるのも、サービスを利用してくれるのも人。そのため、喜んでもらいたいなら「まず『人』に興味を持つ」のが大切であり、また、人への興味がなければ「市場を観察していてもやらされ感(仕事だからやっている)が強くて長続きしません」と話す。

 では、人ありきで企画担当者はどのように世の中を見るべきなのか。「ターゲットの嗜好は、さまざまなジャンルがお互いに影響し合って変化します」という太田さんは、第一に、自分たちの業界だけではなく、ターゲットの興味や関心のある違う分野にも「常に目を向けましょう」とすすめる。

 同書での事例を取り上げると、例えば、女子高生やOLをターゲットに据えるときには、売りたい商品、または利用してほしいサービスに関わるものだけではなく、彼女たちに人気のあるブランドや芸能人、レストランなど、ターゲットに沿った情報をできる限り集めてみる。

 そして、流行は繰り返すともいわれるため、人気のあるものについては時代に限らず情報を集めて、その理由を「なぜ?」と自問自答してみる。その上で、常識にとらわれないためにも、時には他人を巻き込みアイデアをもとに議論する。太田さんは「口が悪くても、話好き、流行モノ好きを集めることがコツ」と語るが、これは、企画で大切なのは“違和感”であるという理由からだ。

 太田さんは「社内でもめた企画ほどヒットする」と主張する。例えば、会議の場面では、批判や反論、疑問といった懐疑的な意見が出るほどいい。参加者がはなからこぞって賛成する場合には、過去の既成概念や常識に縛られた、いわば“ありきたり”なものである可能性が高いという。

 企画担当者に「休みはない」と太田さんは語る。いってしまえば、寝ている時以外はいつでも、アイデアのヒントを求めているからだ。企画を考えるというのは日々、自分自身が抱いている問題意識の積み重ねともいえる。

 今回、紹介した内容はあくまでも入り口に過ぎない。そのため、アイデアや企画に悩むみなさんにはぜひ、同書からそれぞれの“突破口”を見出していただきたい。

文=カネコシュウヘイ