那須塩原は「混浴AV」撮影の聖地!? 『温泉批評』が迫る「混浴AV撮影の実態」とは?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/17


『温泉批評 2015秋冬号』(双葉社)

温泉批評 2015秋冬号』(双葉社)は、温泉に特化した専門誌。表紙だけを見ると、お堅い内容ばかりが詰まっていそうだが、硬派な記事から軟派な記事まで、温泉に関わるありとあらゆる情報が載せられている。特に、2015年秋冬号には我々一般庶民にとっても、どうしても見逃せない項目がある。それは、「混浴AV撮影の実態」。今年6月、塩原温泉郷にある混浴露天風呂「不動の湯」が、露出マニアやAV撮影によるわいせつ行為などの風紀の乱れを理由に、無期限閉鎖となったことを受けた取材記事(※)だ。(※「不動の湯」は、2015年8月1日より再開されている)

 AV業界にとって、「温泉露出モノ」は、ひとつのジャンルとして確立されているが、なかにはパッケージを見ただけで、温泉が特定できるものも少なくないようだ。『温泉批評』によれば、「不動の湯」は都内近郊で撮影しやすいスポットとして、もっともポピュラーな場所だったらしい。その他にも、同じく塩原にある「もみじの湯」や「岩の湯」、群馬にある「尻焼温泉」、西伊豆の雲見温泉「赤井浜露天温泉風呂」など、あらゆる混浴温泉が、AVの撮影場所として利用されてしまっている。いずれも、開放的で管理の目があまり行き届かない混浴露天風呂が「混浴AV」の撮影地としての共通点だという。

 かつてAVの温泉モノといえば、貸し切り風呂や密室での撮影が大半だった。だが、ここ数年は、無料でエロ動画が見られる動画配信サイトが大盛況している背景から、素人動画投稿サイトが、かなり過激になってきているという。そんな状況下でAVを売るためには、とにかく過激でマニア受けするものを作らざるを得ない。よりスリリングな場所で撮影しようとするのは自然の成り行きらしい。製作スタッフが「公然わいせつ」で捕まるリスクがありながらも、公共の場で許可をとらずに「ゲリラ撮影」することが当たり前となっているようだ。

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 しかし、決して儲かる世界ではない。メーカーから製作会社へのギャラは経費を含めて50万円程度。女優が手にするのは、手取りで3万~5万円程度。『温泉批評』の取材に対し、AV女優歴11年のTさん(32歳)は、「ギャラは年々安くなっているけど、他に仕事もないしねー。“バレちゃったらどうしよう”なんて不安はないよね。そんときはそんとき」とアッケラカンと語ったという。おまけに「温泉で撮影と聞いたら、ギャラがもらえて温泉にも入れるなんてラッキー!って感じです」とすら、自慢げに語ったというのだから、驚かざるを得ない。その姿からは、あらゆる名湯で「風紀の乱れ」が問題視されていることなど、視界に入っていないようだ。

 『温泉批評』は、温泉の秘密に独自の視点で迫ってみせる。その他にも「混浴温泉巡礼」「日本人はなぜ温泉を飲まないのか?」など、読んでみると、思わず「へぇ~」と唸らされる記事が盛りだくさんだ。読み慣れた雑誌ばかりではなく、たまには、こんな専門誌を手にとってみてはどうだろうか。そこには、我々が知りたくても知り得なかった、深~い情報が隠されている。

文=アサトーミナミ