ファッションに必要なのはセンスではなくロジック! 最速でおしゃれになる一冊

暮らし

公開日:2015/11/14


『最速でおしゃれに見せる方法』(MB/扶桑社)

 ネットでは「○○に行くための服がない!」という常套句がよく使われている。実際に外に着ていくための服を一着も持っていないという人は、ほとんどいないとは思うが、それでもちょっとしたイベントやデートにふさわしい服を持たないファッション難民は多いのではないだろうか。ファッションに対して知識のない、ファッション難民にとって、異なる種類の服を組み合わせて、自分の格好をおしゃれにするということは、ジグソーパズルを作り上げること以上に難しいことだ。

 誰だっておしゃれになって、異性にちやほやされてみたいという願望はあるだろう。特に男性の場合は、ファッションセンスによって女性からの視線も変わってくる。男性が女性にモテたいのであれば、おしゃれな着こなしができることは必須条件だ。ただ、モテたいと思っている男性の中でも、ファッションにこだわりのあるおしゃれな人は、決して多数派ではない。職場では、ビシっとカッコよくスーツを着こなしている人も、一歩職場を離れればダサダサな格好をしている、というのはよくあることだ。そんな日頃のおしゃれに疎い人は、この『最速でおしゃれに見せる方法』(MB/扶桑社)を読んで気軽にはじめられるおしゃれに目覚めてほしい。

 本書では、プロのファッションバイヤーであり、オシャレ関係のサイトを手掛けるプロブロガーのMB氏が、誰にでもはじめられるおしゃれの“コツ”を紹介している。氏が語るおしゃれなファッションには「センス」ではなく「ロジック」が必要だと言う。人それぞれ価値観がまったく違うのにもかかわらず、「あの人はおしゃれだ」という価値観だけは、なぜか一致している。これは“おしゃれには一定のルールがある”という証明だとMB氏は、本書の中で語っている。確かに、誰が見てもダサイと思う服装は、ほとんど同じだし、おしゃれな人と言われるモデルなどの格好も、何かしらの共通点があるように思える。

advertisement

 MB氏は自身の経験からおしゃれの共通点を見つけ、人をおしゃれに見せるおしゃれのロジック「おしゃれの大原則」を発見した。自分の服装をおしゃれに見せるためには、服の質も、ブランドも関係ない。すべては、おしゃれの黄金律に気をつければいいという、大原則だ。MB氏が語る日本人のファッションの黄金律はドレス(スーツなどの礼装)が7割、カジュアル(普段着っぽさ)が3割の「7:3」が日本人男性をカッコよく見せる割合だ。本書では、この黄金律に従って男性がおしゃれに見えるルールを紹介していく。「服はボトムス(ズボン)から揃える」「色はモノトーン(単色)+一色に抑える」などファッション上級者からすれば、当たり前のことなのかも知れないが、これからおしゃれになりたいというおしゃれ初心者にとっては、たったこれだけのことでも、十分に服を選ぶ基準になる。

 また本書の中で、実際にMB氏がおしゃれの解答とも言うべき組み合わせを紹介しているので、本書の内容の答え合わせとして、MB氏のファッションを参考にするのも、おしゃれ初心者にはおすすめだ。上下の服の選び方だけでなく、よりおしゃれに見せる靴と服の合わせ方や、コストパフォーマンスに優れたファッションアイテムの選び方も本書では紹介しており、こちらはおしゃれ上級者も十分に参考になる内容となっている。

 一昔前以上に、おしゃれの幅が広がったが、選択肢があまりにも増えすぎて、どんな服を着ていいのか迷ってしまう人は多い。それに今までおしゃれは“センス”が大事だと言われていたことから、「自分にはファッションセンスがない」と無難な服を着ることを選んで、おしゃれをするのをやめてしまった人も少なくないだろう。そんな人でも、この『最速でおしゃれに見せる方法』を読めば改めておしゃれに挑戦したくなるはずだ。おしゃれのロジックを学び、自分を美しく見せる外見を手に入れてほしい。

文=山本浩輔