最大のパワースポット“伊勢神宮”の基礎知識

暮らし

公開日:2015/11/19


『伊勢神宮』(Kankan:写真/JTBパブリッシング)

 江戸時代より“お伊勢参り”といえば、「一生に一度はしたいもの」として、誰もが憧れたものだった。2013年に、20年に一度の式年遷宮が行われたこともあり、今、再びその人気が再燃してきている。伊勢神宮広報の発表によると、2013年には1420万、2014年には1086万もの参拝客が訪れている。

「神宮」と名の付くものは、伊勢神宮のほかにもいろいろある。明治神宮、熱田神宮、鹿島神宮などだ。しかし、「神宮」が正式名称であるのは、1つだけ。それが伊勢神宮だ。

 では、そもそも「神宮」とは何なのか。「神宮」とは、もともと天皇陛下が国のことを祈るための場所である。つまり、本来個人的な願いごとをしてはいけない場所なのである。あなたはこれまで私的なお願いごとをしてしまってはいないだろうか? ここでは“お伊勢参り”をするのならぜひとも知っておきたいことを紹介していく。今からご紹介する知識は、すべて『伊勢神宮』(Kankan:写真/JTBパブリッシング)に掲載されている。興味を抱いたなら、実際に本を手にとって詳しく見ていただきたい。全ページカラーで写真も豊富に掲載されているため、よりイメージしやすくなるだろう。

advertisement

式年遷宮

 まずは、伊勢神宮に多くの人々が訪れるきっかけともなった“式年遷宮”についてみていく。式年遷宮とは、御社殿の横の敷地に新宮を建設し、大御神にお遷りを願うお祭りのことだ。簡単にいえば、新居へのお引っ越しのこと。1回目は、690年に行われており、戦国時代には約120年行われていない時期もあったが、2013年に62回目を迎えた。20年に1度しか行われないこのお祭りが62回目を迎えたということから、その歴史の長さがうかがえるだろう。ちなみになぜ20年を一区切りとするのかについては、御社殿が新しさを保つ限度が20年であるからという説や、建築技術や神宝作製の技術を次の世代に継承するには20年が限界だからという説など、いろいろな説がある。

三節祭

 20年に1度行われるという式年遷宮以外に、伊勢神宮ではどのくらいの祭祀が催されているのだろうか。その数は、なんと1年間で、1500にもなるそうだ。1日に2度、途絶えることなく行われてきたものに、“日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)”というものがある。これは、神々に大御饌(お食事)を献上するものだ。

 また、大きなお祭りだけでも40を超えるが、中でも特に大きなお祭りに、三節祭というものがある。これは、10月の神嘗祭(かんなめさい)、6月・12月に行われる月次祭(つみなみさい)の3つを指す。“伊勢の正月”と呼ばれる神嘗祭は特に大きなものだ。神輿をかつぐ力強いお祭りとは異なった、厳かな雰囲気の中執り行われるお祭りをぜひ一度目にしていただきたい。

神宮を取り巻く自然

 伊勢神宮を訪れた際には、その自然にも目を向けてほしい。参道を挟んだ手水舎の向こう側には、清盛楠(きよもりぐす)と呼ばれる古木がある。樹齢800年というこの木は、平清盛に枝を切られても、伊勢湾台風で中央部が二つに分かれてしまっても、いまなお参拝客を見守り続けている。この木が過ごしてきた歴史に思いを馳せれば、不思議と自分の抱えていた問題がたやすく解決できるものに思え、肩の荷を下ろせるかもしれない。また、御正宮の前には、鯉や水鳥、亀の現れる御池がある。木漏れ日が水面にきらめくその様子は、古来より人々を魅了し続けてきた。秋になり一層澄み渡った水面にきっとあなたも魅了されるだろう。

 その他、この本には、伊勢神宮の歴史を詳しく学べる文化施設、一度はぜひとも立ち寄りたいおかげ横丁(伊勢路を再現した飲食店の立ち並ぶ通り)の名店、オススメの参拝モデルコースなどが掲載されている。伊勢神宮に足をのばしてみようと思った方は事前にこの本で知識を身につけていってほしい。

文=藤田ひかり