中川大志「キレイにまとまらずに、汚れ役にも挑戦したい」―17歳、初の恋愛映画を経験して。

映画

更新日:2015/11/24


 2009年のデビュー以来、TVドラマ『家政婦のミタ』や『水球ヤンキース』などに出演し、みずみずしい存在感で注目を集めてきた若手俳優・中川大志。シーブリーズのCMで、テニス部の後輩・広瀬すずが恋をする爽やかな先輩として、彼の姿をご覧になった方も多いだろう。現在は、今月からスタートしたばかりの『南くんの恋人』(フジテレビ)で、超イケメン設定の南瞬一を好演中だ。

 今月21日には、高校生の恋愛模様を描いた主演作『通学シリーズ 通学途中』の劇場公開も控えている。原作は、小説投稿コミュニティ「E★エブリスタ」での閲覧者数と、集英社ピンキー文庫より発刊された書籍の販売部数を合わせると、読者数が500万人を突破した大ヒットラブストーリー“通学シリーズ”。そのなかで最も女子中高生の間で人気があった『通学電車』、『通学途中』の2作品を順次公開していく。

 本作で中川演じる大人びた高校生「コウ」と、ヒロインの「ユキ」。そして彼女が恋する男子の、きらめくような高校生の日々とともに描かれる切ない三角関係。この秋、銀幕の中から多くの女子たちをキュン死にさせること必至の彼が、主演作の公開にあたってインタビューに答えてくれた。

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――意外にも恋愛映画の主演は初だったんですね。手応えはいかがでしたか?

中川 恋愛映画は、ただただ未知の世界だったので、やってみたいジャンルの一つでした。ただ、実際に演じてみると、恋愛ジャンル特有のキラキラ感を出すのがむずかしくて。とはいえ、僕が主演した『通学シリーズ 通学途中』は、ファンタジックな印象の『通学シリーズ 通学電車』に比べると落ち着いたトーンで、より内面の深いところを描いていく作風だったので、恋愛のキラキラだけを意識しすぎることもなく、着実に一つ一つ積み上げていくような気持ちで撮影に望んでいました。

――今回公開される2作品の魅力をどう感じていますか?

中川 『通学シリーズ 通学電車』と『通学シリーズ 通学途中』はストーリーがリンクしていて、同じキャラクターたちが登場します。試写で2本続けて見たときに、おお! と思ったのは、同じ世界観なのに、色も雰囲気も全然ちがったところ。見比べたときが面白かったですね。

――他校の男子に片思いをするヒロイン「ユキ」を見守る、クールで知的な「コウ」は中川さんのハマり役に見えました。普段のご自身と比べていかがですか?

中川 いや、僕とコウは全然ちがう人間でしたね。コウは、才能があって、天性のものを持っている子。なんの意識もしていないのに、出てくる言葉も、描くものも、独特で雰囲気がありました。すごく魅力がある、かっこいい子だな、と思っていたんです。

――試写を拝見すると、女子として一度は聞いてみたい、夢のようなセリフが満載でした。

中川 そうそう、コウは普通は言えないようなロマンチックなセリフをどんどん言うんですよね。これはコウの独特のキャラクターあっての言葉だから、もう役にどっぷり入って、浸り切らないと言えない……と思って。その点、コウのアトリエのムードには救われましたね。彼のアトリエのセットがすごくオシャレで、素敵で。あの部屋に初めて入った瞬間に「あ、そういうことか!」とわかった気がして、一気にテンションが上がって、気持ちが作りやすくなりました。


――役に浸り切ることができたんですね。コウのセリフがすごく自然だったので、これが中川さんの“素”なのかな、と…。

中川 いえいえ、まさか(笑)。こういう甘いセリフは、みなさんにどういう受け取られ方をするのだろう……と不安に思ったこともありましたが、コウの独創性、人と見えている世界が違うというキャラクター設定があったので、それが絵や佇まいにも出ていれば成立するのだろう、と思って演じました。

――知的な印象の「コウ」は本もたくさん読みそうなイメージがありましたが、中川さんはお気に入りの本ってありますか?

中川 本! うーん……実はあんまり読まないんですが、SFの『宇宙への秘密の鍵』は好きです。確か、博士が開発したスーパーコンピューターが宇宙空間に扉を開いて、書斎から宇宙に飛び出せる、というストーリーなんです。

――(スマホで調べて)ホーキング博士のスペース・アドベンチャーとありますね。彗星の群れを見たり、土星を旅したり……面白そうな本ですね!

中川 そうなんです。僕が好きなのは、ブラックホールからの脱出方法! 全編通して夢がありつつ、宇宙の写真や図も参照されているところがいいんです。現実とファンタジーが絶妙に融合していて、面白かったですね。

――そういえば、映画の中でコウも、アトリエの天井いっぱいに宇宙の星空を描いてました。

中川 あれっ。そうだった。宇宙が好きなところも似てましたね。そういえば、絵を描くのが好きなところも似てるかな? 僕も小さい頃から絵が大好きで。そうそう、本作で初めて油絵を描きました! 楽しかったですね。

――絵もお好きだったんですね。ちなみに、中川さんは“家庭科”もお得意だとか。

中川 料理が好きなんですよ。といいつつ実は、編み物も少々。授業で初めてマフラーを編んで以来、ハマってしまい、さっそく道具を買いに行って、あとは家でひたすら深夜まで……。凝り性で一回やりはじめると、とことんです(中川さん、編み物の構え)。

――凝っているものといえば。公式ブログでは、釣りの話もされてましたね。

中川 そうなんです。もともとバス釣りが大好きで、車で遠出して、川釣りによく行きました。でも、最近は忙しくなってしまって……。そこで発見したのが、気軽に行ける都内の釣り堀です。最初は友達と行ったんですが、それ以降は一人で。一度行ったら、2時間、3時間とひたすら釣ってますね(中川さん、釣りの構え)。


――マフラーを編む構えと、釣りの構えがほとんど変わらないですね(笑)。

中川 あ、ほんとだ(笑)。地味に没頭できる作業が好きなのかもしれません。釣りは、魚の種類や、海、川、釣り堀といった環境によって、やり方が変わるし、面白さも違うんですけれど、なぜか強烈に惹きつけられるものがあるんですよね。友人とも「なんでだろうね」って話してたんですけど、やっぱり「狩りだから」ってところに落ち着きました。捕獲する楽しさは男の本能なのかなぁ。もう、暇さえあれば釣り堀に行って、捕獲したいです(笑)。

――捕獲したい! といえば。強引で恐縮ですが、中川さんが好きな女性のタイプって?

中川 基本的には明るい人がいいなぁ! 面白くて、ノリがあって、二人で一緒にいると楽しくなれる人がいいです。ヒロインのユキは静かで内気なタイプでしたが、がんばってお化粧して、失敗しちゃうところなんかはすごく可愛いキャラクターだと思いました。

――では最後に、俳優として今後チャレンジしていきたい役はありますか?

中川 どういう役にせよ、それぞれ課題があって、難しくて、やりがいがあります。僕はこれまで、コウのようなカッコイイ役を頂くことが多かったのですが、本当の僕はかっこよくなくて……。サラッとできないから、頑張って格好をつけている、というのが正直なところです。もちろん、それはそれで勉強になるし、楽しいんです。でも本当は、三枚目の役の方が僕にとっては自由が多くて、チャレンジしていける気がしています。これからは、もっともっと崩れたい。キレイにまとまらずに、汚れて、ごちゃごちゃした人間になりたい。犯罪者の役や狂人の役も頂けることがあるのなら、僕はすごくうれしいですね。


 大人びた端正な顔に高い身長、甘い声。絵の中から抜け出てきたようなルックスながら、その話しぶりは気さくでコミカル。時折、高校生らしい無邪気な一面をのぞかせたかと思えば、どこまでも真摯で謙虚な仕事人の顔に戻りもする。秘めたるパワーはまだまだ未知数。はたして今後、彼はどんな成長を見せてくれるのか? 間もなく公開の最新作『通学シリーズ 通学途中』で、恋の三角関係のゆくえとともに旬の才能をぜひチェックして!

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⇒映画『通学シリーズ 通学電車』『通学シリーズ 通学途中』公式サイトはこちら http://tsugaku-movie.jp/

取材・文=矢口あやは