ハリウッド版『DEATH NOTE』に見え隠れする原作改変―困惑する一方で期待の声も

マンガ

公開日:2015/11/19


 連載終了後もTVドラマ放送や、新実写映画版決定など、話題が絶えないマンガ『DEATH NOTE』。同作はハリウッドでの実写映画化も進められており、このたび「女性主人公役に新人女優のマーガレット・クォーリーがオファーを受けている」と報じられた。ハリウッド版『DEATH NOTE』が現実のものになり始めている一方で、ファンからは困惑する声が上がっている。

 2003年~2006年の間に『少年ジャンプ』で連載されていた、大場つぐみ&小畑健の『DEATH NOTE』。前後編+スピンオフで実写映画化、TVアニメ化、そして、2015年にTVドラマ化もされ、さらには2016年に新作映画「デスノート2016」(仮)の公開も決定している傑作サスペンス漫画だ。

 同作は高校生・夜神月が、名前を書くとその人を殺すことができる死神のノート“デスノート”を拾ったことから物語が始まる。その後、世界中の犯罪者を次々に殺していく月(通称:キラ)、キラを追う天才名探偵・Lとの推理合戦を主に展開。第2のデスノートを持つ弥海砂、Lの後継者候補・ニア&メロ、ヨツバグループ社員など、多くのキャラクターが次々と登場、最後まで息をつかせぬストーリーでファンを魅了した。

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 そんな『DEATH NOTE』のハリウッド版でメガホンを握るのは、2011年のスプラッター映画「サプライズ」や、2014年のスリラー映画「ザ・ゲスト」で注目を集める若手監督のアダム・ウィンガード。両作共に国際的な映画祭で上映されており、自然と『DEATH NOTE』にも期待は高まる。また、主人公・月は、恋愛映画「きっと、星のせいじゃない。」で盲目の青年役を演じ、高い評価を受けたナット・ウルフで、月役が決定した際はファンから「地味でいい!」「いい人そう」などの声が上がった。

 そして、先頃報じられた「女性主人公=マーガレット・クォーリー」というニュース。1995年生まれのクォーリーは、2014年に放送開始となったミステリードラマ「LEFTOVERS 残された世界」や、2016年に全米公開予定のラッセル・クロウ主演のミステリー映画「The Nice Guys(原題)」に出演するなど、いま評判の若手女優だ。まだまだ日本での知名度は低いものの、『DEATH NOTE』で女性主人公の主演を務めるとなれば、注目されることも間違いなしだろう。

 さて、この決定に日本のファンからは「誰?」「初めて聴く名前だな」といった声と共に、「女性主人公ってどういうこと?」「ライトと主人公が別にいるの?」「完全オリジナルってことなのか?」という戸惑いの声が上がっている。

 すでに説明しているが、原作の『DEATH NOTE』は、月とLのバトルが主。主人公もそのふたり(Lのポジションはニアへ)であり、女性主人公は出てこない。にも関わらず、ハリウッド版『DEATH NOTE』には、女性主人公というものが存在するらしい。こうなると、原作に忠実な物語ではなく、オリジナルストーリーが展開されることが予想でき、ファンが困惑するのも納得。

 一方で、「ハリウッドらしい本格サスペンスにしてくれ」「死神とか変に原作リスペクトせずにやってほしい」「ハリウッドのほうがうまくやりそう」「原作どおりにやってもライト死ぬだけだし、オリジナルで滅茶苦茶にしていただきたい」など、ハリウッド・オリジナルを期待する声も多い。確かにサスペンスである以上、結末がわかっていると面白さは半減してしまうし、こうした声が上がるのも当然かもしれない。

 脚本は「ファンタスティック・フォー」のジェレミー・スレーター、プロデューサーには海外ドラマ「HEROES」で、「ヤッター!」と叫ぶヒロ・ナカムラでお馴染みの日本人俳優のマシ・オカが参加する。日本のアニメや漫画がハリウッドへ渡ると頓挫してしまうこともあるが、同作は良い意味でファンを裏切る作品として公開までに至ってほしいものだ。


■『DEATH NOTE(文庫版)』1巻
作画:小畑健
原作:大場つぐみ
価格:720円(+税)
発売日:2014年3月18日
出版社:集英社