「自転車は自由だ!」舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR~2つの頂上~、東京公演ゲネプロレポート

エンタメ

公開日:2015/11/22

 コミックス累計発行部数1,400万部を超え、3期のアニメ化も決定した大人気自転車漫画「弱虫ペダル」を原作とした、舞台『弱虫ペダル』。このシリーズ7作目にして最新作、舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR~2つの頂上~が上演された。

 本作は2015年10月8日(木)、名古屋・日本特殊陶業市民会館 フォレストホールにて開幕、東京、大阪公演を経て、11月8日(日)福岡はキャナルシティ劇場で大千秋楽を迎えた。この公演は、なんと日本全国80館、および海外9館(台湾、香港、韓国)の映画館でライブビューイングが開催されたというから、すごい。

 さらに終演後、舞台『弱虫ペダル』 総北新世代へ突入! 2016年3月に東京・福岡・大阪・神奈川での公演開催が発表された。

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 今回はその東京公演ゲネプロ(公開稽古)を振り返りつつ、囲み取材のもようをお届けする。

 物語は新世代へと思いをつないだ、ふたり──千葉県立総北高校の巻島裕介(廣瀬智紀)と神奈川・箱根学園の東堂尽八(北村諒)の出会いと小野田坂道(小越勇輝)、真波山岳(植田圭輔)たち後輩へと思いを託すまでがつづられる。

 スーパー買い物号(ママチャリ)で山道をなんなく走り回っていた箱根の温泉旅館の息子、東堂尽八は同級生の糸川修作(大野瑞生)に勧められレースに参加。頂上を目指す楽しさに心奪われてしまう。

 一方、自転車に乗りたくて総北高校自転車競技部に入部した巻島は、しかし、その極端に左右に揺れる漕ぎ方を先輩たちに指摘され、心を閉ざす。そんな彼をレースに推薦する部長の寒咲通司 (安里勇哉)は、巻島の隠れた努力と秘めた才能に気付いていた。

 かくして、出会う巻島と東堂。

 それぞれの高校の自転車競技部を巡る二年間が回想として、彼らの視点で描かれる。やがて異なる進路を選ぶふたりが、互いの後輩へと思いをつなぐ場面は切なくも潔い。

 森羅万象を肉体で演じるという、西田シャトナーの演出は今回も健在。数多のレースのコースや町並み、自動販売機から女子高生、果ては燃え上がる焚き火(!)までキャストたちが自らの身体で表現。インターハイで優勝した総北自転車競技部メンバーが、小野田に連れられ秋葉原に向かう場面では、キャスト全員で町並みを伝え、東堂と真波のメイドさん姿に会場が沸く一幕も。

 涙あり、笑いありの、初めて観る観客にも、今まで観てきた観客にとっても楽しめる舞台は大盛り上がりの内に幕を閉じ……そして、次の世代への幕開けが告げられた。舞台『弱虫ペダル』、総北新世代を描いた公演は2016年3月に上演決定。彼らのレースはまだまだ続く。


 当日の囲み取材の模様はこちら。※東京公演開始時に行われたものです

──名古屋公演を終えての感想をお願いします。

廣瀬:舞台『弱虫ペダル』としては今回で7作目となりますが、公演はW主演ということで、巻島と東堂がメインで、それぞれの過去も描かれるということで、より一層身の引き締まる思いで臨んだ公演でした。名古屋では、今までにない大きさの劇場で公演ができたことに一安心しました。今回、少しも気を抜けない舞台ということで、名古屋でいいスタートを切って東京、大阪、福岡につなげていける公演にしたいと全力で挑んだので、とても気持ちがよかったです。

北村:インターハイ3日目というひとつの山場を越え、また新しい舞台『弱虫ペダル』をやるということで、僕らにもどういう感じになるかという予想がつきませんでした。ただ、今回、東堂、巻島がメインでやらせていただけるということが本当にうれしくて、名古屋のお客さんの温度も感じることができたので、その熱を持って、東京でも走れたらいいなと思っています。

小越:今回が初参加で、稽古場からどういう風になるんだろうと不安もある中で、稽古を続けて名古屋で初日を迎えました。自分では初めての経験もたくさんありましたが、実際に舞台に立ったときに、”この作品はお客様と一緒に作り上げていくんだな”と実感することができて、すごく楽しく舞台に立つことができました!

植田:シリーズ最大規模の劇場、シリーズ初の名古屋公演ということで、ぼく自身も身の引き締まる思いで舞台にたちました。また、初の2人座長公演ですが、舞台『弱虫ペダル』というのはお客さまと作り上げる作品なので、名古屋で作ったベースに、東京公演は東京公演にしかない『ペダステ』になるんじゃないかと思います。名古屋の想いを背負って東京、大阪、福岡も走りたいと思います。


──改めて、今回の見どころ、意気込みをお願いします。

廣瀬:自分自身の話をすると、今回、僕が演じる巻島と東堂の過去も描かれているので、より深くキャラクターを演じることができているかなと思っています。今回、特に”つないでいく”というテーマがありますが、小野田坂道や真波山岳といった横で走ってくれているキャラクターたちに向け……自分自身の尊敬できる役者さんが周りで支えてくださっているので、座長として、自分たちの全力の走りをお届けしたいです。

北村:今回、巻ちゃんが言ってくれたように、”出会って、つなげる”というのがテーマにあって、総北高校の巻島裕介と箱根学園の東堂尽八、それぞれの絆や関係も描かれています。なので今回、総北とハコガクのチームカラーのちがいもしっかり見せたいし、僕は僕が演じる東堂として真波につなげたいと思います。

小越:今回は2人の先輩のお話なので、2人が戦うだけじゃなく、友情や絆もすごく見どころです。先輩たちが、坂道と山岳につなげていくバトン、僕らだけでなく次の世代に渡していく姿も詰まっているので、そういうところを観ていただきたいし、その姿から普段の関係性も見えるんじゃないかなと思います。

植田:3人ともが言うとおり、”つないで託されて”というお話が主になっていますが、それはそのまま『ペダステ』のカンパニーにも通ずるものだと思います。毎回新しいカンパニーができて、新しいチームで戦って、と演じるので舞台の内容だけでなく、お芝居にも通ずるものがあるんじゃないかなと思いながら、いつも参加しています。なので、そこも感じてほしいです。
 真波としては、新しい相棒の坂道くんに小越くんを迎えて、自慢のライバルだと胸を張って言えますので、そこも楽しみにしていただきたいです。


──お客さまへのメッセージをお願いします。

植田:公演数も最多で、観にきてくださる方に体の心配をされる役者もなかなかいないと思うんですけど、僕たちはそういう集団です(笑)。その熱量や、本気で走っている姿や汗は、僕らが一生懸命になればなるほど皆さまに届くと信じてやってきました。今回は2人の座長の背中をしっかり追って、作品のタイトルにもあるとおり、頂上を目指したいと思います。

小越:名古屋で感じたものを背負いながら、この東京から最後までみんなで舞台『弱虫ペダル』の魅力を全力で伝えていきたいと思います!

北村:僕らにできることを全力でやって、しっかりと客席を包み込んで客席も含めてみんなで走れるような、そんな公演にしたいです。

廣瀬:僕が出ていなかった公演も含めて、シリーズ7作目の今作ですが、その当時から振り返る物語でもあるので、その集大成としても自信を持ってお見せできる作品だと思っています。そして、あの……自転車は……過酷さも…なんだっけ?(両方をちらちらと見て助けを求める)

北村植田:困難も!(笑)

廣瀬:そう、困難も!(笑)本当に楽しさに変えてくれるんです。皆さんが応援してくださるパワーだったり、自転車の楽しさを皆さんにお伝えできたらと思っています。ありがとうございました。

取材・文=おーちようこ






●舞台『弱虫ペダル』公式サイト
http://www.marv.jp/special/pedal/

●公演情報
舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR〜2つの頂上〜 ※公演終了
10月8日(木)〜12日(月・祝)【名古屋】日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
10月22日(木)〜25日(日)【東京】TOKYO DOME CITY HALL
10月29日(木)〜11月3日(火・祝)【大阪】梅田芸術劇場 メインホール
11月7日(土)〜8日(日)【福岡】キャナルシティ劇場

原作:渡辺航「弱虫ペダル」(秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載)
演出・脚本:西田シャトナー 
音楽:manzo

【キャスト】
巻島裕介:廣瀬智紀
東堂尽八:北村諒

小野田坂道:小越勇輝
今泉俊輔:太田基裕
鳴子章吉:鳥越裕貴
田所迅:章平
金城真護:郷本直也

福富寿一:滝川英治
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:植田圭輔

水田信行:桝井賢斗
糸川修作:大野瑞生
寒咲通司:安里勇哉

パズルライダー:一瀬悠、掛川僚太、伊藤玄紀、河野智平、廣瀬真平、村上渉

●シリーズ初のBlu-ray&DVD発売決定!
http://www.toho-a-park.com/yowapeda/#dvdirregular
発売日:2016年2月17日(水)
価格:DVD 8,800円+税/Blu-ray 9,800円+税
発売元:マーベラス
仕様:2枚組(Disc1本編/Disc2ボーナスディスク)

●舞台『弱虫ペダル』
総北新世代へ突入!
2016年3月 東京・福岡・大阪・神奈川にて開催!!
続報は公式HPにて

(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)2008/弱虫ペダル製作委員会
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/マーベラス、東宝、セガ・ライブクリエイション