国防の要・人民解放軍にも不満渦巻く? 中国共産党が恐れる最悪の結末とは

海外

更新日:2015/11/25


『ほんとうは共産党が嫌いな中国人』(宇田川敬介/PHP新書)

 日中関係は今、かつてないほどに冷え切っている。南京大虐殺のユネスコ記憶遺産への登録、国際法を無視しての南シナ海岩礁の埋め立て。尖閣諸島問題が霞んで見えるほどに、中国の暴走が止まらない。

 世界はかつてないほどの不安定な状況に陥っているが、その一端を担っているのは中国と言っても過言ではないだろう。顔も文化も似ているのにもかかわらず自己中心的で、拝金主義的な側面を見せる中国人のことを理解できるという日本人は少ない。

 むしろ彼らの行動に、驚き、不信感を抱くという人の方が多いのではないだろうか。口では「政治と経済は関係ない」と言いつつ、平気で歴史問題をもち出し「抗日」と呼ばれる反日活動を行う彼らの行動原理は、この『ほんとうは共産党が嫌いな中国人』(宇田川敬介/PHP新書)を読めばわかる。

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 習近平の政策に疑問を持ち、人民のことを憂いながらも自らの保身のために行動を起こそうとしない中国共産党の高官。偉大なる中華民国復興のための玩具にされ、習近平に煮え湯を飲まされ続ける人民解放軍は「釣魚島のために命をかける価値はない」と語り、私腹を肥やす華僑は共産党という組織を利用することしか考えない。日本人が今まで知り得なかった衝撃的な真実が本書の中で、数多く語られている。

 どの国でも一様に国政に対して不満の声はあるだろうが、中国は――習近平政権はそれを誰にも許しはしない。共産党政権への不平不満、習近平への恨み、そして不平等を憎む人々の声に耳を傾けるどころか、本書のインタビューに答えたことが判明すれば、きっと彼らは何かしらの形で罰を受けるか、殺されることになるだろう。

 そのような恐ろしい抑圧された社会が長続きするはずがない。本書の内容を見る限りでは、中国人民の不満は限界まで達しつつあるようだ。たくさんの黒子(中国国籍を持たない中国人)を率いるマフィアのボスのもとに習近平の殺害依頼が来ていることも、本書では語られているし。農民たちや自治区の人々は、毛沢東の時代から続く、抑圧に怒りをつのらせている。

 まさに「爆発したら最後」の中国人民たちの堪忍袋の緒が切れつつあることがうかがえる内容となっている。

 中国の国防の要である人民解放軍も、習近平に対する不満をつのらせている集団のひとつだ。日本人にとっては天安門事件で、同じ国民を戦車で轢き殺したおそるべき軍隊だが、彼らの中にも忠誠を誓うべき共産党への不平不満が渦巻いている。著者のインタビューに答えた、人民解放軍の軍人たちは、どの立場であっても、中国の未来を悲観している――だけではない。彼らの中には「釣魚島のために命をかけて戦えるはずがない」と語る人物もいた。

 中国の、共産党のために本来ならば戦わなければならないはずの、最前線の兵士が中国を信用していない。また下士官を管理し、来るべき日に戦場へ送り出さねばならない軍の上層部も、そのことを危惧している。人民解放軍が外交の玩具になっていることに対して不満を抱えるだけでなく「軍隊は必ず復讐する」とインタビューに対して最後通告とも思える言葉を発するほどに、彼らの怒りは限界に近づきつつあるようだ。

 もしも、この状態でアメリカや日本と戦争になってしまったら、中国一体はどうなってしまうのだろうか? 少なくとも、今のような栄華が続くことがないということだけは確かだろう。

 中国共産党――習近平が恐れる最悪の結末は、本書を読む限りでは近づきつつあるように思える。最前線で戦う軍隊からも命を狙われ、同じ共産党員の高官も習近平の政策を見限って、海外へ逃げつつある。国内の不満も高まり、その生命を弄ばれ続けてきた戸籍を持たない黒子たちも、彼らを支援する他の存在が現れれば、簡単に鞍替えするに違いない。数多の中国人が抱える不満が、何かの拍子に爆発すれば、最高指導者である習近平が安全に暮らせる保証は、どこにもない。

 中国共産党が恐れる、最悪の結末“国家崩壊”の危機は目前に迫っている。そして、それは海外からの圧力による崩壊ではなく、中国人民たちの手による国内からの崩壊という、中華人民共和国の根本を揺るがす危機だ。

 これから先、中国という国がどのような状態になるにしろ、中国人を知ることが大切になってくるはずだ。何も知らずに、ただ中国という国とその国の人々を恐れるよりも、彼らのことを正しく知ることの方が、真の日本人と中国人の関係改善につながるだろう。

文=山本浩輔