「英単語」が美少女に擬人化! 萌えて学べるオンラインゲーム奮闘記『MOE 召喚しませ!おとめなえいたんご』

マンガ

公開日:2015/11/28


『MOE 召喚しませ!おとめなえいたんご』(旭蓑雄/電撃文庫)

 「オンラインゲームを舞台にしたライトノベル」と聞いただけでは、いまさら珍しくもないと思う人もいるかもしれない。今回ご紹介する『MOE 召喚しませ!おとめなえいたんご』(旭蓑雄/電撃文庫)は、擬人化ゲームを題材にしたオンラインゲーム小説だ。擬人化もゲームでは珍しくない。すでに戦艦、刀、城、重機や工具などテーマも様々なタイトルがある。だが、本作で擬人化するのは奇抜も斬新、中学や高校で学ぶ「英単語」なのだ!

 英語教育の向上のために開発された『えいたんご☆ますたあ』は、2000語以上の擬人化キャラが登場し、プレイヤーは固有AIと特殊能力を持つ英単語美少女を召喚してクエストを進め、新しい英単語をコレクションしてく萌え擬人化ゲーム。中高生の間で爆発的なヒットとなり、英語が普及した2050年の未来が物語の舞台だ。

 萌えながら英語を学べる『えいたんご☆ますたあ』が、もし学生時代にあれば苦手な英語の授業が好きになっていたかもしれない。いや、むしろ英語に惚れていただろう。きっと今ごろネット上のSNSで「イングリッシュがキュートすぎてデスる!」とか呟いていたに違いない。

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 本作の主人公小島映太郎(HN:エイタ)は、そんな英単語にすべてを捧げた変態だ。そんじょそこらの変態ではない。ゲーム屈指の超人気キャラ、銀髪貧乳ツンデレ幼女の英単語【explode】(動詞:~を爆発する)を”俺の嫁”として崇める生粋のエクスプローディアン(explodeの熱狂的信者)なのだ!

 高校入学と同時にVRMMO版にバージョンアップした『えいたんご☆ますたあ@Vあーる』へとログインしたエイタは、愛するexplodeを獲得するため、エクスプローディアンたちのギルド「EHSP(explodeをハスハスする会)」の仲間と共に、ライバル腐女子ギルド「フェニックス(腐ex)」と苛烈な競争を繰り広げる。

 あらすじだけ読むと、大変バカバカしい話に思えるだろう。しかしexplode獲得のためには超難解な暗号を解かなくてはならず、専門的な暗号学から、聖書や古典文学、はては世界史の知識を要求する難問の謎解きが見所だ。幅広い知識と鋭い観察力で難題を突破していくエイタの天才ぶりに感心するが、すべては銀髪幼女をハスハスするためなのだから、冷静になってみるとその熱意と学力をもっと有意義なことに使えないのかとドン引きである。

 しかし、擬人化ゲーム愛好家の中には、explodeに毒舌で罵られたい! explodeの足にストッキングを穿かせたい! あの絶対領域で膝枕して欲しい! そのためなら退屈な勉強だって辛くない!というエイタの想いに共感できるユーザーはいるはずだ。だって私がそうだからだ! 自分の好きなことに全力全開で「萌え」を爆発させているエイタたちの一途な情熱が胸を熱くし、心を滾らせるのだ!

 そして結局、エイタは愛するexplodeと出会うことができたのか、興味を持った方はぜひ本書を手にとって欲しい。

文=愛咲優詩