相手を不快にさせない「断り方」「反論の仕方」とは? 聞き方にはツボがある

人間関係

公開日:2015/12/1


『意外な展開から話が弾む モノの聞き方』(話題の達人倶楽部/青春出版社)

 友達とのランチ、職場での付き合い、好きな人との会話。どこにいても、どんな時も、その場を盛り上げ、より良い関係を築きたい時、コミュニケーション上手に越したことはない。相手をもてなし、一緒に会話を盛り上げるためにも、面白いと思ってもらえる話をしたいし、逆に、話しやすいとも思われたい。でも、どれだけ心の中でそう思っていても、その現場でコミュ力を発揮できるかどうかは、多くの場合、実際に発する「言葉」にかかっているのだ。

 相手が友達であれ、上司であれ、恋人であれ、より良い人間関係を築きたいと思うのであれば、その「言葉」を磨くことが必須となる。いつも話し上手なあの人は、天性の才能で会話を盛り上げているのだろうか。もちろん、生まれ持った才能で、とんでもないコミュ力を発揮している人もいるだろう。でも、コミュ力は磨ける。そのためにはまず、「モノの聞き方」を工夫してみましょう、モノの聞き方にはこんなツボがあるのですよ、そうしたノウハウを教えてくれるのが、『意外な展開から話が弾む モノの聞き方』(話題の達人倶楽部/青春出版社)である。本書では、「話しやすい」「話していて楽しい」と思われるコツや、お誘いの成功率を格段に上げる聞き方など、約500のフレーズを通して紹介している。

 例えば、特に気が重くなってしまうのが「断る」や「反論」といった、どうしても相手に不快な思いをさせてしまいがちなシチュエーション。「これじゃ絶対に売れない!」というような企画案を持ってきた相手に、そのことを指摘しなければならない時、あなたならどう伝えるだろうか。「これは売れませんよ」とストレートに指摘してしまっては、「その根拠は?」と逆襲されかねない。さらに相手には、多少なりとも「否定された」という不快感が残る。それを、「他社がまだ取り組んでいないのはどうしてでしょう」と聞くと、実現性がない理由をやんわりと考えさせることができ、それを根拠に、指摘されたことに対する「納得感」を得てもらうことができる。モノの聞き方一つ工夫すれば、相手のプライドを守りつつ、こちらの意図を伝えることができる。

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「断る」「反論する」というシチュエーション以外にも、褒めたり誘ったりする時や、ちょっとした雑談でも、「聞く」というスタイルがコミュニケーションを変える。例えば、相手のアイディアを褒める時。「いいアイディアですね」と単純に褒めるのではなく、「どうすればそんなアイディア思いつくのですか?」と「聞く」スタイルに変える。そうすることで、単なるお世辞ではなく、なかなかできない発想だから教えてほしいという気持ちが伝わり、褒め効果は格段に上がるという。料理を褒めたい時には、単純に「美味しい!」と言うではなく、「どうしたらこのような味が出せるのですか?」という質問に変える。すると、料理が上手であるということを前提に、誰でも出せる味ではないというニュアンスを含んだ質問で、相手の腕を褒めることができる。

 

 このように、どんなシチュエーションでも、相手にかける言葉を「質問」の形に変えたり、かける言葉にプラスして質問を加えたりすることで、自然と話が広がるきっかけになるのである。

 相手の心理を読み解き、さりげなく気遣ったり、思いやったりする表現がシチュエーション別に紹介されており、そこにはさらに「こう聞いてみるとこういう意図を汲み取ることができる」「こうした言葉が相手の不安を取り除く」といった、「なぜこの言葉が有効なのか」という部分を明らかにする解説が付いているので、「なるほど、確かに」と納得できる。人との距離をグッと近づけるための秘訣が詰まった、全ての人にオススメしたい一冊だ。

文=松尾果歩