「既読」はやっぱりプレッシャー? 現役高校生たちが奨めるLINEのルールとは

暮らし

公開日:2015/12/15


『高校生が教える 先生・保護者のためのLINE教室』(旭LINE同盟、佐藤 功:著/学事出版)

 「スマホ漬け」「LINE依存症」の高校生が急増している。友達とLINEで夜更かししてしまったり、返信がないと不安になったり、授業中や食事中でもスマホを手放せず、常にメッセージが来ていないか気にしてしまう。その結果、生活習慣が乱れ、LINEをめぐっていじめや傷害事件まで起きている。最近の高校生はどうしてそんなにもLINEにハマってしまうのか。

 『高校生が教える 先生・保護者のためのLINE教室』(旭LINE同盟、佐藤 功:著/学事出版)は、そんなLINEの問題を当事者である高校生の視点から解説している。「旭LINE同盟」は、大阪府立旭高等学校の在校生が立ち上げたワークショップ。高校生には当たり前でも、大人たちが理解していないLINEの実態を伝える活動を行っている。

 本書からは、LINEはコミュニケーションツールとして欠かせないものだと思いつつも、私生活を振り回されて苦悩する現代の高校生の本音がみえてくる。

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 「旭LINE同盟」が自校の1学年を対象にした調査によると、スマホを所持している生徒の98%がLINEを利用しているという驚きの結果が出た。メールではなくLINEを使う理由として上位に挙がったのは、1位「操作が簡単」、2位「手軽に使える」、3位「履歴が見やすい」、4位「スタンプがある」、5位「グループでやり取りできる」だった。「友達が使っているから」「無料だから」という回答もあったが、多くの生徒はLINEならではの機能を活用していることがうかがえる。

 また調査では「既読機能が便利」との回答も挙げられたが、「既読機能」については便利である一方で不満意見も多いという。LINEの既読とは、相手に送ったメッセージを相手が読んだか確認できるサインのこと。送られた側はメッセージを読んだことが相手に伝わってしまうため、「早く返信しなければ」という強迫観念に陥りやすく、約7割の人間が既読をプレッシャーに感じているという。それが必ず読んで返信しなければならないメッセージなのか、重要な連絡にだけ付け加えるように、利用者が設定できないのが問題なのだろう。

 問題点は「スタンプ」にもあるという。コミカルな画像を送信するスタンプは、文章を打つ手間をはぶき、簡単に喜怒哀楽を伝えられ、文字だけの会話をソフトにすることできる。だが、このスタンプも使い方を誤れば迷惑行為になってしまう。スタンプを連続で送信する「スタ連(スタンプ連打)」だ。スタンプを1件着信するたびに通知音が鳴り、これがとてもうるさいのだそうだ。会話中に寝落ちしてしまった相手を起こすためや、待ち合わせに遅刻している友達を急かすときに使うとか。仮に理由があるとしても、された方は気分がいいものではないだろう。

 LINEの機能でもとくに人間関係のトラブルの原因になりやすいのが「ブロック」と「強制退会」だという。自分の知らない不審者からのメッセージが届かないようにする「ブロック」、グループトークから部外者を追い出す「強制退去」は、どちらも利用者のプライバシーを守るために必要な機能だ。しかし、これを顔も名前も知っている友達やクラスメイトに行うと「LINEいじめ」に繋がってしまう。どの機能も便利なものだが、使い方には注意するべきだと高校生たちも感じているらしい。

 「旭LINE同盟」では、LINEを正しく使用するためにルール作りを推奨している。例えば「1日の使用時間を決める」「着信通知をOFFにする」「テスト期間中はやらない」「返信が遅くても催促しない」「他人の画像を勝手に載せない」など、友達と約束事を決めておくのだ。親も家庭内で子供の異変を見逃さない、教師も学校内での使用を制限するなど、大人が歯止めとなる仕組みが必要だ。しかし、高校生にもなると大人に勝手にルールを決められると反発してかえって逆効果にもなりかねない。親と子、教師と生徒のお互いが納得するまで話し合うことが大切なのだという。

 LINEだけでなくTwitterやFacebookなどのSNSは、まだまだ発達途上で危険も隠れている。自分の子供や大切な人を守るために、高校生だけでなく親や教師たちも知識をつけなければならない時代になってきている。

文=愛咲優詩