恋を忘れかけたオトナ女子は必読! 甘酸っぱすぎる純情ラブコメ『兄友』

マンガ

更新日:2015/12/18


『兄友』(赤瓦もどむ/白泉社)

 なんっじゃこの甘酸っぱすぎるラブコメは……!
 と身悶えさせられたのがマンガ『兄友』(赤瓦もどむ/白泉社)。あっつい! 師走なのに心がときめきすぎてぽっかぽか! やっぱり好きな男の人からは「可愛い」って言われたいし、守られたいし、でろでろに愛されて甘やかされたい。そんな願望を胸に秘めた女子は必読の一冊です。

 可愛いは作れる、なんて言葉がありますが、とくに学生時代にもてはやされる可愛さは素材の良さより作られた女の子らしさ。主人公のまいは、おそらく設定的にも見た目のスペックは高いほうだと思うのですが、いかんせん所帯くさい。染み抜きなんてお手の物だし、雨が降れば靴に新聞紙をすかさずつめるし、テンパると家事をするという主婦の鏡みたいな女子高生。だがしかし、色気はないので同級生にはモテない。恋に浮かれあがる友人たちの姿に「恋するってあんななの……?」と夢も希望もありません。

 ところが、超暴君の兄に似ても似つかぬ紳士で奥手な友人・西野が自分を「可愛い」と言っているのを聞いて以来、妙に意識してしまうように。薄い壁で筒抜けとは知らずに自分の想いを吐露しまくる西野に身もだえたのは、まいだけではないでしょう。

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 想いを伝えたあとも、これって付き合ってるのかなあと悩んだり、自分の知らない彼の交友関係に嫉妬したり、嫌われちゃうんじゃないかと怯えてみたり、はたから見ていたら全部取り越し苦労ですよと突っ込まれるようなじれったい葛藤も、すべてラブコメの醍醐味で必要不可欠なエッセンス。

 昔は切ない片想いモノとか好きだったんですけど、年のせいでしょうかね、こういういたたまれなくなるくらい甘酸っぱいラブコメにずいぶん弱くなりました。それなりに世間知った気になって妙に冷めた恋愛観とか口にしたりもしてたけど、やっぱりこんな恋には憧れるよね! どんなにすれ違っても自分を見ていてくれて、最後には必ず好きだと言ってくれる彼氏とかほしいよね! てな感じで全力で乙女な気分にさせられます。

 そして超暴君なわりに面倒見がよくて実は生徒会長で学校中からモテモテという少女マンガには欠かせないツンデレお兄ちゃん(ツンが9.5割くらいだけど)も、ときめきポイントのひとつ。とにかくきゅんきゅんしたい、とくに恋を忘れかけたオトナ女子にはぜひ読んでもらいたいと思います。

文=立花もも

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