イケメンだらけの人物事典がたまらない! こんな日本史なら好きになること間違いなし!!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16


『超ビジュアル! 日本の歴史人物大事典』(矢部健太郎:監修/西東社)

小さい頃に読んだ歴史の学習マンガに出てくる登場人物は、殆ど「パッとしない顔」だったと思う。少女マンガに出てくるとしたら、脇役であること間違いなしの、「フツメンキャラ」が主役で、歴史的大事件を起こしたり、戦ったり、政治を担っていた。

当時はそれが当然だと思っていた。が、もしもこの主人公たちが「イケメン」だったら……。もっと歴史に興味を持てたのではないだろうか。その「もしも」を実現してくれたのが、『超ビジュアル! 日本の歴史人物大事典』(矢部健太郎:監修/西東社)である。

漢字にはふりがなを振っているような「子供向け日本史事典」だが、その内容は色々な意味で濃い。濃すぎる。日本史の教科書に出てくる重要人物250人の経歴や、逸話などが載っている中、注目すべきはビジュアルである。みな、こぞってイケメン&美女ばかりなのだ。まるで乙女ゲームに出てくるようなイケメンに、某有名な戦国ゲームに出てくるような服装、髪型をした歴史上の人物が勢ぞろい。

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「それって史実じゃないでしょ?」「子供が勘違いしたらどうするの?」なんて野暮なことは言わないでほしい。これをきっかけに「日本史大好き!」と興味を持つ子供が増えることを期待したいと思う。脇役フツメンキャラの人物事典よりも、こちらの方が何倍も読んでいて楽しいのは、紛れもない事実だ。

そこで、筆者の独断によるイケメンベスト5を紹介したい。

第1位 坂本龍馬
実際の写真をご存じの方も多いのではないだろうか。だが、そんな写真が残っていようが関係ない。このビジュアル重視の人物事典では、どこか福山雅治に似た坂本龍馬になっている。現代風のイケメンだ。

第2位 前島密
「この人、誰?」と思う方もいらっしゃるだろうか。彼は明治時代、日本で郵便事業を始めた先駆者だ。お堅い歴史の参考書では、どうにも「パッとしない」顔で書かれていることが多い中、この前島密は、イギリスのジェントルマンを思わせるような気品と整った顔立ちをしている。白い手袋がまた良い。

第3位 一休
アニメ「一休さん」でもお馴染み、一休さんまでもイケメンに描かれているのが、この人物事典のすごいところ。「僧侶だから、坊主頭」なんて固定観念は捨ててほしい。この一休さんは茶髪の短髪。野性的な少年系男子だ。

第4位 真田幸村
来年の大河ドラマ主人公の真田幸村。堺雅人もびっくりのイケメンに描かれている。歴史に親近感を持てない一番の原因は、髪型だと思う。坊主だったり、頭の一部分が禿げていたり(月代【さかやき】といって、敢えて剃っているのだが)して、好きになれない人が多いのではないだろうか。けれど、安心してほしい。この真田幸村は茶髪のポニーテールだ。

第5位 聖徳太子
誰もが知っている聖徳太子は、ナイスミドルなおじさまに描かれている。幞頭【ぼくとう】(被り物)から垂れているパーマがかった髪の毛がまた素敵。もみあげと繋がりそうな顎鬚もセクシーで、体格も良い。

紙面の殆どがイケメンだらけなので、敢えて5人を選ぶのがとても難しかったが、ランキングするならこうなるだろうか。

ちなみに、美女ベスト3は1位:淀(豊臣秀吉の側室。正統派クール系美女)、2位:ねね(豊臣秀吉の妻。天真爛漫ツインテール美女)、3位:光明皇后(聖武天皇の妻。萌えアニメ系美女)といったところだろう。

また、惜しくも選外とはなったが、ぜひ注目したい人物が、ジョン万次郎、島津義弘、支倉常長、源義家、二宮尊徳の5人だ。ジョン万次郎は、麦わら帽子を被った青年だし、島津義弘は最早ゲームのキャラクターである。支倉常長はヨーロッパに渡った男というだけあり、異国を思わせるような格好だ。源義家はなぜか目が青い爽やか美少女風イケメン。二宮尊徳に至ってはただただかわいい少年ではないか。

見ても読んでも楽しい本書、ただ、すごいのはビジュアルだけではない。「内容の濃さ」も素晴らしい。情報量がとても多いのに、難しく感じない。地図や合戦図なども豊富なビジュアルによって紹介されており、教科書を読んだだけでは分からないイメージが、どんどん湧いてくる。人物ごとに面白い逸話も掲載されており、歴史上の人物により興味を持ってもらえるような工夫が多くなされている。

こんなに面白くて、内容も濃い人物事典。自分の子供には、絶対に買い与えたいと思うが、大人が読んでも楽しめると思う。歴史が苦手な人も、大好きな人も、超ビジュアルを堪能してほしい。

文=雨野裾