京都の老舗料亭「菊乃井」直伝! “和食”の決め手「割合」を知って、和食を得意料理にしよう!

食・料理

更新日:2016/3/14


『割合で覚える野菜の和食』(村田吉弘/NHK出版)

 2013年に“和食”がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは、まだ記憶に新しいことだと思います。「野菜をたっぷり使っていて、ヘルシーである」ことが和食が海外からも注目されている理由のひとつ。油も控えめ、火を通してかさを減らすことでたくさん食べるなど、和食には野菜を摂るための知恵が集約されているとも言えます。そんな野菜の和食レシピをまとめた『割合で覚える野菜の和食』(村田吉弘/NHK出版)が発売されました。著者の村田さんと言えば、あの京都の老舗料亭「菊乃井」の三代目主人として、数多くのTV番組などにも出演されたりする和食のエキスパートです。そんな村田さんが、これさえ覚えておけば絶対に味が決まるという“割合”をわかりやすく、丁寧に紹介しているので、料理初心者にとっても安心して作ることができるレシピ本です。和食というと、どうしても繊細な味のイメージのため、料理の中でも難しく捉えてしまう方も多いと思いますが、この割合さえマスターすれば恐れること何もありません! 今回はこの中から、和食の定番である、煮物、酢の物、汁物の3品を実際に作ってみました。

厚揚げのべっこうあんかけ(P.18)


 厚みを半分に切った厚揚げを、サラダ油を熱したフライパンで両面こんがりと焼きます。鍋にしょうゆ、みりん、だしを合わせた煮汁を入れて火をかけ、沸騰したら水溶きかたくり粉を加えてとろみをつけます。器に盛った厚揚げの上からあんをかけ、しょうがをのせたら完成。

 和食上手になるための第一歩としては、まずは煮物を作れることとあったので、挑戦してみました。基本の煮汁は「しょうゆ:みりん:だし」が「1:1:8」であることだそうです。これさえマスターすれば、ご飯が進む、こっくりした味の煮物が作れるのだとか。この割合で作ったあんは、確かにしっかりした味付けながら、べっこう色の見た目ほどはしつこくなく、優しい甘辛さでした。このあんのおかげで、焼いた厚揚げにかけただけの料理が、一気に本格的な味に変身し、自分で作ったとは思えないくらいの美味しさでした。

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大根のあちゃら漬け(P.53)


 だし、みりん、酢を鍋に合わせて火にかけ、沸騰直前で火から下ろして冷ますと、甘酢の完成です。拍子木形に切った大根に塩をふってしばらくおき、水けを絞ったら、甘酢の中に赤とうがらしと一緒に加えて2時間以上つければ完成。

 合わせ酢の中でも、和食で欠かせない甘酢を使ったレシピがこちら。「だし:みりん:酢」を「1:1:1」の割合で合わせたものなのですが、砂糖ではなく、みりんを使うのであっさりした甘酢になります。「あちゃら漬け」とは、赤とうがらし入りの甘酢につけたもののことを言うそうなのですが、この赤とうがらしのピリリとした刺激がとても良いアクセントになって、これなら大根半分くらいはパクっと食べられそうな勢いでした。

かぼちゃのみそ汁(P.73)


 かぼちゃは食べやすい大きさに切り、電子レンジで加熱して柔らかくしておきます。このかぼちゃと油揚げ、だしを鍋に入れて強火にかけ、沸騰したら火を止めてみそを溶き入れます。最後に細ねぎを上からかければ完成。
みそ汁の割合は、「みそ:だし」を「1:15」で合わせるそうです。イメージとして、2人分であれば、みそ大さじ1と1/3に、だし300mlという感じ。ここに、今回はかぼちゃと油揚げが入ったのですが、ホクホクしたかぼちゃにやさしいみそ汁の味がしっかり染み込んで、とても体の中から温まるみそ汁でした。初めてみそ汁にかぼちゃを入れたのですが、想像以上に合ったのでおすすめです。

割合さえマスターすれば、和食も得意料理へ
 和食は難しいものという思い込みから、普段どうしても避けがちだったのですが、村田さんの割合を知ることで、「なんだ、簡単じゃないか!」と思ってしまうほどでした。でもこのシンプルな割合で、和食の味が左右されるというのは、やはり繊細であり、奥深いですよね。せっかく日本人に生まれたのだから、しっかり割合をマスターして、胸を張って和食が得意ですと言ってみませんか?

文=JUNKO