なぜ、あの人は信頼されるのか? 「一流の存在感」3つの秘密

人間関係

更新日:2016/3/14


『「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール 』(丸山ゆ利絵/日本実業出版社)

 「一流の人」だけが持っている存在感やオーラ。そこにはどんな秘密があるのでしょう。『「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール』(丸山ゆ利絵/日本実業出版社)から、3つのポイントを見ていきましょう。

 もうすぐ社会人5年目のA君は仕事にも慣れ、すこしたるみ気味。仕事は覚え工夫して取り組んでいるし、お客さまとも楽しく喋れる。外見だって最新のファッションをチェック済み。でも、上司や取引先の偉い人と比べると何か足りない気がする……。そろそろもっと強い自信や存在感を持ちたいと思っています。

 そんなある日、社内でこんな会話を耳にしました。
B子:「部長って、なんだかオーラがあるよね。なんだか他の人とは違って、スマートだし、信頼できるっていうかさ」
C子:「わかるわかる! 一流の人のオーラっていうのかな? 部長に頼まれるとなんだか断れないし、この人のために頑張ろうって思うんだよね」
A君:(部長、評判が良いなぁ。たしかに、オーラっていうか、不思議な存在感があるな)
 そんなことを思っているA君。仕事もそこそこに、2人の会話に聞き耳を立て始めました。
B子:「……部長の名刺交換って何度か見たことあるんだけど、堂々としていて、この人が担当者なら任せよう!って相手に思わせる、交換の仕方なの」
C子:「へー! 私は見たことないや。でも、部長ならありえそう」

advertisement

Point1 一流の名刺交換

 名刺交換のマナーに自信はありますか? 名刺交換はビジネスパーソンが社会人になって一番初めに覚えることです。しかし、意外に「自分の名刺交換に自信がある!」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。名刺交換に必要なのはマナーに加え、「自分の役職や格にふさわしい態度の名刺交換」をすることです。新人は相手から一段下がった丁寧さが残る態度、ベテランは堂々とした、余裕や威厳のある渡し方が必要となります。名刺交換する一瞬で、相手からの信頼感は大きく変わるのです。

下にへりくだったような印象もダメですし、「横柄」「エラそう」はさらにダメです。名刺交換は、もし単なる顔合わせでも、ビジネスのスタート地点です。最初の印象はとても大事で、心理学では「初頭効果」と言い、その良し悪しが後々の判断に強く影響することがわかっています。
(55ページ)

B子:「……そうそう、私はこの前ね、接待に使うお店を悩んでたら部長が色々とアドバイスしてくれたの。私は高級なお店や新しいお店をピックアップしてたんだけど、部長は先方に対するおもてなしと満足のために、思いつきもしなかったお店を選んでくれたのよね」
C子:「お店の選びのセンスが良いって、それだけで尊敬しちゃう!」

Point2 一流は「高級=相手が喜ぶ」という理由で店を選ばない

 接待というと、まず「高級なお店で相手をもてなす」と思いつきます。しかし、それだけでお店を選んでしまうようでは、一流の振る舞いとはなりません。「相手の方の仕事にとって、プラスになるお店とはどのようなものだろうか」、「今日は楽しくお話ししていただくために、店員のきめ細やかな接客が売りのお店にしよう」といったように、店選びから接待は始まっているといっても過言ではありません。もちろん接待の内容は大切ですが、相手への気遣いや、今後を見据えた内容から柔軟に店選びをできる人は「できる人」であるといえます。

接待を成功させるには、目的を達成するための「計算」と、先方に好意や信頼感をもってもらえるような「心からのもてなし」の両輪が必要です。相手の大事な時間をもらっていることを忘れて、ただ食事を相手にあてがうだけでは、何の印象も与えられませんし、結果も残りません。
(79ページ)

C子:「あとはなんと言っても、いつもビシッと決まってるスーツが素敵だよね」
B子:「うんうん! 形は定番だけど、ネクタイだったり、胸元のチーフだったりさり気ない色使いが上手だよね」
C子:「そう、そんなに派手な色を使ってるわけじゃないのに、その時の組み合わせで、若くみせたり、誠実さをだしてる!色の使い方が他の男性とは段違いだよ」

Point3 一流は人の気持ちを「色」でコントロールする

 スーツの「色」が大統領を決めた、と言われるエピソードはご存知でしょうか? 1960年の米国大統領選、対立候補であったニクソンとケネディ。その形勢が逆転したのは、その時代に初めてテレビ中継された大統領候補同士の討論会だったといいます。その勝利した理由の一つが、ケネディのスーツの「色」。重厚さを感じさせる一方で古臭いイメージの茶色のスーツを着用したニクソン。対して、ケネディは濃紺のスーツで理性的で精悍なイメージを強調し、ケネディの方が新しい指導者にふさわしい印象を与えたのです。

着る色には必ず理由があるのです。ネクタイの色ひとつでも無造作に選ぶようなことはなく、会う人や案件によって、一日に数回ネクタイを変える人もいるくらいです。一流の人は装う色ひとつにも人への配慮、自分自身のコンディションやモチベーションに対する意識を持っている
(163ページ)

A君:(へー、名刺だったり、お店選びだったり、そういう所で違いって出るんだなぁ。部長と俺の違いって、相手に与える印象を意識した振る舞い方の違いなのかな。もしかして、俺も真似できるかも! )

 まだまだ、2人の話は終わりそうにありませんが……。A君は話を聞いている中で、部長が持つ「一流の存在感」の正体がほんの少しだけわかったようです。「オーラ」や「存在感」は、特別な人だけが持つものではありません。人に与える印象を意識し、ふだんの振る舞いを少しずつ変えることで誰でも身につけることができるものなのかもしれませんね。

文=日本実業出版社