読み聞かせに最適な絵本『なきごえバス』―「にゃあ〜」「だれのこえ?」と親子でなきごえ遊びが楽しめる!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16


『なきごえバス』(えがしらみちこ/白泉社)
『なきごえバス』(えがしらみちこ/白泉社)

 「ごじょうしゃのかたはないてくださーい」「おや だれのこえ?」と、次々になきごえとその動物が登場する絵本『なきごえバス』(えがしらみちこ/白泉社)。子育て情報誌『kodomoe(コドモエ)』(白泉社)の付録として制作され、大好評だった1冊が絵本となりました。

 主人公のはるちゃんは、こぶたちゃんと「なきごえバス」を作ります。「ごじょうしゃのかたはないてくださーい」という掛け声をかけると、にゃあ~、わんわん、けろけろ、こけこっこーとたくさんの動物たちのなきごえが。「おや だれのこえ?」とページをめくると、その動物が待っています。にこにこ笑顔のはるちゃんと動物たちの絵もかわいらしく、読むと思わず顔がほころびます。

 この絵本が楽しいのは、親子で一緒に読んで、子供がなきごえのマネをしたり、ないた動物を当てっこしたりできるところ。作者の江頭路子さんが自身のブログで「一緒になきごえ遊びをしてもらえたら嬉しいです」と語るように、まさに絵本が子供との遊びのきっかけとなってくれるのです。

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 そこで、私も早速3歳の娘に読み聞かせをしてみました! すると、娘が「おかあさん、だれのこえ?」と質問してきたり、「これはねこちゃんだよ」と教えてくれたり。リズムのよい展開が子供の耳に残りやすいのか、3回ほど読むと、今度は娘が1人で「ないてくださ~い」「わんわん!」と読み始めました。すっかりお気に入りの様子で、今では、ねかしつけ時の読み聞かせ絵本ラインナップに仲間入りしています。

 我が家の娘のように、すでに動物の名前やなきごえを覚えている場合ももちろん楽しめますが、これから動物のことを知ってほしい、1~2歳ぐらいの子にも、とてもおすすめ。ストーリーの流れで自然に動物となきごえがつながっていくので、にゃあ→ねこ、わんわん→いぬ、と自然に覚えられるはずです。やさしい色合いながらしっかり特徴が描かれた動物たちは、“初めて”の動物絵本にぴったりなのでは。

 物語の最後に「はるちゃーん わたしも のせてー」とママらしき人が登場するのも、ほっこりできるポイント。また、お話が終わり裏表紙を見ると、すやすやとお昼寝をしているはるちゃんが。「夢の中でなきごえバスの運転手さんになっていたのかな…」と思わせる1コマなのでした。

 ほのぼのとした絵と心温まるストーリーで楽しませてくれる『なきごえバス』。ぜひ親子で一緒に読んでみてください。そして、「最近疲れぎみで癒やされたい…」という大人にも、実はおすすめの1冊です。

文=野々山幸

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