朝井リョウ原作『武道館』がドラマ化。NEXT YOU演じるJuice=Juiceインタビュー【後編】

エンタメ

公開日:2016/1/26


 2月6日からフジテレビ系列で放映開始されるドラマ『武道館』。原作の同名小説(文藝春秋)は大のアイドル“信者“として知られる直木賞作家・朝井リョウによるベストセラーである。

 放映に先駆けて、劇中ユニット“NEXT YOU”を演じるハロー!プロジェクトの5人組アイドルグループ・Juice=Juiceのメンバーへインタビューを敢行。前編では、配役やそれぞれのキャラクターについて語ってもらったが、後編では、撮影時の裏話やアイドルへの思い、そして、2月3日リリースのシングルについてのポイントを伝えていく。

左から、高木紗友希(安達真由役)、宮崎由加(鶴井るりか役)、植村あかり(堂垣内碧)、宮本佳林(日高愛子役)、金澤朋子(坂本波奈役)

撮影では“間”の取り方に苦戦

――Juice=Juiceとしては一昨年の舞台(演劇女子部「ミュージカル-恋するハローキティ-」)以来、連続ドラマ出演は初めてですが、演技というお仕事はいかがでしたか?

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宮崎「ライブやミュージカルとは違う発見がたくさんありました。自分たちは無知だし、何も知らない状態だったのでささいなことにもワクワクしていましたね。例えば、NEXT YOUのCDを差し出すシーンではカメラへ見せるためにふだんとは異なる角度で手渡したり、撮影現場で飛び交う言葉も新鮮で、毎日『今日はどんな発見があるんだろう』と感じていました」

宮本「カメラワークも勉強になったね。どこから撮られているのかをより強く意識するようになったし、仕草ひとつで伝わり方も変わるんだって。焦ってみせるためにはどうすべきかとか、目線の角度でも意味が変わるんです。撮影前には台本を読みながら、日々『どうしようかな』と考えるのが緊張しつつも楽しかったですね」

――演じる上で、みなさんが苦労された部分はどこだったんですか?

植村「1つのシーンを色んな角度から撮られるのが難しかったです。同じシーンでもアップで撮られている時と、すごく引いた位置からも撮られている場合があって。撮り終えた直後にモニターでチェックするんですけど、私は『スタート』と言われると口元に力が入ってしまうという、自分の癖に気がつくこともできました。細かな目つきや表情も見えるというのは、発見でしたね」

高木「みんなそれぞれ、課題があったのかなって思います。ミュージカルでは台詞をポンポンと『テンポよく繋げて』と言われていたんですけど、ドラマでは“間”が必要になるというのが勉強になりました。無言の瞬間が個人的には苦しくて、初めのうちはスタッフさんや出演者の方々を『待たせちゃってる』と思ってしまい不安もあったんです。映像を確認してみると自然に見えていて、怖がっていた沈黙にも慣れていきました」

宮本「“間”の取り方は苦労したよね。ステージや舞台では目の前のお客さんたちに伝えるけど、ドラマでは『フラッシュバックを入れるので“間”をください』と言われたり。現実とは違い、気持ちを繋げたまま次の台詞へ繋げるのがいちばん大変でした。気持ちが途切れてもいけないし、台詞を言う前に共演者の方の目を見てはいけなかったり、ドラマならではの伝え方は難しかったですね」

――ライブシーンも見どころのひとつですが、ドラマとして見せるという上ではやはり違いはありましたか?

高木「撮影されながらというのは独特の緊張感もあり、ふだんとは違う感覚でしたね。映像になったら『どうなるんだろう』とドキドキしていました」

宮崎「ファンのみなさんが、エキストラとして協力してくださったのも嬉しかったよね。スタッフの方が声をかけるとみなさん『ウォー!』と一瞬で盛り上がってくれて。じつはふだんから『私たちが何もしなくても盛り上がってもらえるのかな』ってちょっと切なくなったけど(笑)。実際にドラマとしてどんな風に放送されるのかは楽しみです」

――共演者の方々も含めて、現場の空気はいかがだったんですか?

高木「初めてお会いする方々ばかりで、初めのうちはメンバーみんなで『もう無理』ってお腹が痛くなるくらい緊張しっぱなしでした(笑)。でも、撮影が始まってからはアドバイスをいただいたり他愛のない話をするようになって、空気も暖かかったですね。スタッフさんや共演者の方、みなさんが好きになって、収録を終えるのが嫌だなって気持ちも変わりました」

金澤「私は共演者の木下ほうかさんにアドバイスをいただいた時があって。2人のシーンで緊張した私に『緊張しなくて大丈夫だよ』と声をかけてくれて、おせんべいをいただきました(笑)」

アイドルとは“みなさんに何かを届けていく”職業

――みなさん原作の感想はいかがだったんですか?

金澤「ドラマが決まった時は『読んだことがある作品だ』と思って、みなさんにも親しまれる作品に出演できるというのが嬉しかったです。あるあると思う部分もありつつ、自分が『こういう風に見られているんだ』という感想もありましたね。ファンのみなさんが思う“アイドル像”を考えるきっかけにもなりました」

高木「作中にJuice=Juiceをモジッたような“fruits=fruits”が出てきたのも嬉しかったですね。ふだんは本を読むのが苦手なんですけど、自分たちとNEXT YOUを重ね合わせながらいつの間にか読み終えていました」

宮本「色々なことを考えさせてくれる作品ですね。アイドルは“みなさんに何かを届けていく”職業と実感しているんです。ステージに立ち、歌って踊るのも自分たちが楽しむだけではなくて、まわりのみなさんがいてくれてこその職業だなって。ただ、ドラマ内でもメンバーごとに葛藤があるけど、ふつうの女の子とアイドルの共存を考えさせられたり、ファンのみなさんやアイドルの私たち自身のそれぞれで捉え方が変わる作品でもあると思います」

――アイドルの内面が伝わってくる作品ですが、ドラマ内でもどう表現されているか楽しみですね。そして、放映直前にはCDのリリースも決まっていますが曲のポイントを教えてください。

宮本「NEXT YOUの『Next is you!』は、つんく♂さんがライナーノーツに書いていた『初めて「アイドル」の為に作ったのかもしれません』という言葉が強く残っていて。曲中のアクセントやリズムがつんく♂さんっぽくて、NEXT YOUの前向きさが重なっているのが印象的ですね」

高木「もう一度、自分たちが違うグループ名でデビューする機会はなかなかないし、つんく♂さんが久びさに手がけてくださったのもすごく嬉しかったですね」

――つんく♂さんならではのポイントとは、どういった部分ですか?

金澤「フレーズのアクセントにこだわるのは、つんく♂さんっぽいなと思います。振り付けにもこだわっていて、リズムと上手く組み合わせるために、ダンスも練習していくうちにパターンが変わっていったんです。感覚的な話ではあるんですけど、ふつうなら入らないタイミングでアクセントが強まるのもつんく♂さんらしいと思うし、歌っていても踊っていても存在を感じます」

――Juice=Juiceとしての新曲「カラダだけが大人になったんじゃない」もつんく♂さんによる楽曲ですね。印象はどうですか?

植村「初めてタイトルを見た時は『何だろう?』と思ったけど、言葉の選び方がつんく♂さんならではだなと感じました。大人っぽいのかなって思っていたけど、ステージで披露していくうちにイメージも変わりました。でも、じつは個人的にこれまでの中でいちばん苦戦した曲かもしれません。キーの上がり下がりに付いていけなかったり、遅れたり早まったりとリズムの取り方も難しくて。ディレクターさんにアドバイスをいただきつつ、乗り越えられました」

――植村さんにとっての“努力の結晶”のようにも思えますが、注目してほしいところですね。新曲のリリースと共に、NEXT YOUと同じくJuice=Juiceとして表題の武道館をめざしてツアーも続いていますね。

金澤「ドラマ出演のお話がちょうどツアー中だったのもあり、運命的にも感じました。Juice=JuiceとしてもNEXT YOUとしても、武道館をめざすというのはリンクしていたので特別な感情もありましたね。撮影中にもハロプロの先輩方の武道館公演を観て、目標が重なっていたJuice=Juiceだからこそドラマにも気持ちを込められたと思います」

――Juice=JuiceとしてもNEXT YOUとしても、武道館のステージに立てる日を陰ながら応援したいと思います。それでは最後に、ドラマを楽しみにしてくださっているみなさんへのメッセージをお願いします。

宮崎「日頃から応援してくださっている方々だけではなく、アイドルを知らない人たちにも見てほしいですね。かわいい衣装を着て歌って踊るというのが一般的なイメージかなって思うんですけど、舞台裏でどんなことが起きているかにも注目してもらいたいですね」

宮本「ライブシーンではファンのみなさんが自作のグッズで盛り上げてくださったりと、まだ足を運んだことのない人たちにも空気感を感じ取ってもらえると思います。アイドルをテーマにしているドラマなんですけど、すべての人たちにとって心に刺さるような言葉やできごともたくさん盛り込まれているんです。だから、たくさんの方々に『楽しいな』『おもしろいな』と思っていただきたいですね」

 Juice=JuiceとNEXT YOU。ドラマの内容はもちろん、ドラマと現実の垣根を越えて実際のステージで活躍するグループの今後にも要注目だ。

◎ドラマ『武道館』
フジテレビ系列 2月6日(土)夜11時40分~スタート
スカパー! 2月10日(水)夜9時~スタート

◎両A面シングル「Next is you!/カラダだけが大人になったんじゃない」
2016年2月3日リリース


取材・文=カネコシュウヘイ、写真=武田敏将