映画『スター・ウォーズ』の世界を4つの角度から楽しむ本!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16

全世界のファンが待ちわびたシリーズ最新作にして新たなる3部作の第1弾『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』がついに公開。壮大なるスター・ウォーズサーガの世界をより深く楽しむための関連書籍も続々と刊行されている。そんな中から今回は4冊をピックアップ、自らも大のスター・ウォーズファンだという担当編集者がご紹介!

当時の制作現場の熱い息吹が貴重写真とともに伝わる豪華本

『スター・ウォーズ コスチューム大全 エピソード4・5・6』ブランドン・アリンジャー:編著 富永晶子:訳 高貴準三:監修/講談社 1万2800円(税別) 本書は旧3部作に登場するキャラクターたちの衣装・コスチュームを網羅した図典です。ジョン・モロをはじめとする衣装デザイナーたちの序文にはじまり、約580点に及ぶオールカラー写真やデザイン画と併せて、スター・ウォーズの衣装・コスチュームがどのように作られたのか、その舞台裏までをインタビューや詳細なリサーチによってあますところなく伝えてくれる一冊になっています。

担当編集:西嶋 誠さん

ダース・ベイダーやボバ・フェットなどのキャラクターの誕生にコスチュームのデザインが与えた影響がわかるスケッチや貴重な証言、これまで公開されていなかったお蔵出しの貴重な写真も数多く掲載されていて、スター・ウォーズファンなら隅から隅までじっくりと楽しめること間違いなしです。そして、スター・ウォーズの世界観を作るため、衣装・コスチューム制作に関わった何人もの人たちの熱意が伝わってくるんですね。これだけの人が心をひとつにしたからこそ素晴らしい映画になったんだなと、ひしひしと感じました。そんな制作当時の現場のエネルギー、熱い息吹をぜひ味わってください。

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戯曲ならではの心情独白が熱い! こだわりの異色パロディ

『もし、シェイクスピアがスター・ウォーズを書いたら まこと新たなる希望なり』イアン・ドースチャー:著、河合祥一郎:訳/講談社 1500円(税別)『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』の脚本をシェイクスピアが書いていたら、こうなっていたはず! そう確信してしまうほどの意外な相性の良さに驚く一冊です。ジョージ・ルーカスはジョセフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』という神話研究本をスター・ウォーズのモチーフにしており、同書の元ネタのひとつになっているシェイクスピアとは実は共通点が多いんですよ。

担当編集:李 佳欣さん

映画では語られなかった、それぞれのキャラクターの熱い心情がシェイクスピア風の長台詞になって表現されているところも戯曲という本作ならではの新鮮な魅力です。R2-D2の頭の良さと毒舌ぶりが表現されたかわいらしい独白は必読ですよ。スター・ウォーズの世界を中世の舞台風にアレンジしたイラストの数々や、力の入ったマニアックな注釈、思わず笑ってしまう多彩なパロディもお楽しみのポイント。続刊もあるので、ご期待ください!

ファンが愛する名台詞が一冊に シリーズのおさらいにも最適

『スター・ウォーズ ファンの心に響いた111の言葉』スター・ウォーズの言葉を通じて生活を向上させる評議会:編/講談社 1200円(税別)

シンプルながら記憶に残る名台詞の数々はスター・ウォーズシリーズの魅力のひとつです。本書はディズニー公式ページで日本のファンに向けて投票を行い、そこで「心に響いた!」と票を集めた台詞を集めた日本オリジナル企画です。エピソード1から時系列に沿って台詞を原文と日本語訳で掲載し、その台詞が登場したシーンの背景、実生活に役立てるヒントを収録しています。数々の名台詞を読んでいくことで読者の皆さんの心の中でスター・ウォーズがきっと甦ってくるはず。「イヤな予感がする」「フォースとともにあらんことを」といったお約束の台詞登場シーンの総まとめページもあり、新作を見る前のシリーズおさらいにもぴったりの一冊です。

ダース・ベイダーの人生から現代社会を生きるヒントを学ぶ

『ぼくたちは、フォースの使えないダース・ベイダーである』ダース・ベイダーを通じて生活を向上させる評議会:編/講談社 1200円(税別)

ダース・ベイダーはパワハラの被害者だった!? 本書はそんな発想から生まれました。自業自得のところもあるとはいえ、ジェダイでは誰よりも強いフォースを持っているのにマスターになれず、皇帝の威勢のいい言葉を信じて暗黒面に堕ちてみたらコキ使われてばかり。どの組織でも上司に恵まれず、不遇ばかりなんですよね。そんな現代を生きるサラリーマンの苦悩にもつながるダース・ベイダーの人生から教訓を学ぼうというコンセプトの一冊です。ジェダイ時代の夢と葛藤、暗黒面での苦労、最期にライトサイドに戻ってきた彼の心情を見つめ直すことで「本当に自分がしたいことは何か」ということを考えるヒントがきっと見つかると思います。

取材・文=橋富政彦
写真= 鈴木慶子
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