デキ杉くんよりカツオを選べ! 成功するのはフットワークの軽いバカ

ビジネス

公開日:2016/2/3


『バカなのにできるやつ、賢いのにできないやつ』(千田琢哉/PHP研究所)

 世の中には「バカ」と「秀才」がいる。勉強ができるかできないかという意味でのバカと秀才だ。だから、学生にどちらになりたいかを尋ねたら、おそらくほとんどの人が「秀才がいい」と答えるだろう。就職試験でもたいていの場合は、学歴と成績がいい秀才が選ばれる。でも、本当に成績がいいというだけで秀才を選んでもよいのだろうか?

 仕事をするうえで評価されるのは必ずしも秀才ではない。一見バカっぽいのに仕事のできる人と一見賢そうなのに仕事のできない人がいるからだ。そこで、バカの中でも成功するバカと、賢そうなのに出世しない秀才の違いについてわかりやすく説明している『バカなのにできるやつ、賢いのにできないやつ』(千田琢哉/PHP研究所)を紹介する。

「バカなのにできるやつ」と「賢いのにできないやつ」は近くにいる!

 社会に出ると学校での成績はあまり関係なくなる。学力は高くなくてもチャレンジ精神が旺盛で他の人が考えないことを次々と考え出す人や、フットワークが軽く細かい所によく気がつく人は、たまに大きな成果を生み出す。その一方で、学歴が高く成績も優秀なのに、机上の空論ばかりを展開して全く行動を起こさない人や、他人に対する文句とやらないことの言い訳ばかりを繰り返す人は、一歩も前進せずに何の成果も残せない。あなたの周りにもいないだろうか? そんなできるバカとできない秀才が。

advertisement

バカは頭が悪いという意味ではない

 この本の中でいうバカは決して頭が悪いと言う意味ではない。だから当然学校の勉強ができない方がいいと言っているわけでもない。それこそ、学力があるうえに他の人ができない斬新な発想ができ、がむしゃらに働くことができたら無敵と言えるかもしれない。しかし、学校の勉強ができる人は頭で考えることが多すぎて、結果ありきの行動をしてしまいがちな点がバカに負けるというのだ。

 バカは、普通の人であれば躊躇するようなことでも失敗を恐れずにチャレンジしてしまう。周りが止めようとお構いなしだ。器用に何でもこなすタイプではないが、ひらめきがあり、それを何とか形にしようと試行錯誤するのが成功するバカだ。

 ということは、学校の成績はイマイチでも、行動力があり、周りの人の協力をうまく引き出すことができるサザエさんに出てくるカツオはできるバカというのにふさわしいかもしれない。いくら勉強ができないキャラでもドラえもんに出てくるのび太は仕事のできる「バカ」にはなれないタイプだろう。自分で考えて動き、人の先を行けるフットワークの軽さができるバカの必須条件だ。

バカでも成功できるのではなく、バカだから成功する!

 この本を読んでいくと、「バカでも成功できる」という言い方は間違いだということに気付く。「バカでも」ではなく「バカだからこそ成功できた」と考えるべきなのだ。勉強ができ、あれこれ考えを巡らせる頭のある人は、行動を起こす前に絶対に失敗しないと言い切れるだけの情報を集めようとする。だから出遅れる。結果がうまくいったとしても、先に他の人が始めている可能性が高く、大成功とはならないのだ。

 その点、バカは他の人が「無理だ」「あり得ない」と言うことを平気でやることができる。だから、成功したときの勝ち幅が大きい。もちろんどんなバカでも成功できるわけではないが、大成功する人は他人とは違うバカな部分を持った人と言えるだろう。

石橋を叩きすぎる秀才は出世しない!

 ドラえもんに出てくるデキ杉くんは、身体よりも頭の方が先に動く秀才タイプ。何事も慎重に時が来るのを待つタイプだろう。勉強のできる秀才は、リスクを嫌って考えすぎてしまうことがある。この方法で大丈夫か? 本当に大丈夫なのか? もう少し様子を見ていよう…と言っている間にチャンスを逃してしまうのだ。その点、考えるよりも先に身体が動いてしまうような人は、リスクは大きいが他の人がまだ手を付けていない世界に入り込める可能性がある。石橋も叩き割ってしまうほど叩きすぎる秀才より、「端ではなく真ん中を歩いて行けば大丈夫!」というくらいの大胆さを見せるバカの方が出世できるのだ。

優秀な人に支えられる人が成功する!

 バカが成功する裏には優秀な協力者がいるとこの本の中には書かれていた。つまり、いくら少数派で他の人が考えないようなことを考える人であっても、周りが見えていない単独行動するバカは、仕事のできないバカで終わってしまうということだ。本当に成功するバカは、そのバカな考えに乗ってくれる優秀な人が周りにいる人。そして、周りにいる優秀な人が支えてやりたいと思えるような人なのだ。

出世するのは突破口を開くことができるバカ!

 もう1つこの本の中にはおもしろいことが書かれていた。世の中にはリーダーになりたがる人が多いが、人の上に立ちたい一心でリーダーになろうとする人はリーダー向きではないというのだ。本当の意味でのリーダーは、周りがどう出ようか様子をうかがっているときに突破口を開けられる人。決断を間違えることを恐れていつまでも決断できない人より、結果的に決断が間違っていても決断が早い人に周りは付いて行くという。確かにそうかもしれない。

 この本を読み終わって、花沢花子の人を見る眼はスゴイと感じた。カツオは将来花沢不動産を大きくできる逸材に違いない。でもアニメ界でNo.1のできるバカはカツオではなくもしかしたら花沢さん本人なのかもしれない。

文=大石みずき